私は3階の渡り廊下で、きー君と並んで2人で話をしていました。
先ほどFさんから、今なら、渡り廊下にきー君が1人でいるからと聞いて来ました。
彼女に、すぐに行って話して来て欲しいと頼まれたからでした。
ここへ向かう途中の教室廊下を歩きながら、私はいったい何から話し始めたらよいかと言葉を探しました。
そう思う内にも、もう渡り廊下の入り口の扉が目に入ってきました。
そうね、ここは合格おめでとう
から言った方がよいわねと思います。
きー君、此処にいたの、聞いたわよ、合格おめでとう
、付属中学に行くんでしょう
、良かったわね。
と、切り出したような気がしますが、この件は自発的な出来事ではないので、私の記憶は定かではありません。
ご近所なので、私とは昔からそれなりの顔馴染みであるきー君は、特に驚く様子はありませんでした。
なんだ、Junさんかという感じで終始にこやかでした。
ただ、年2、3回しか話した事がない私がこんな所で急に話しかけて来るのですから、
当然何だろうと内心身構えていたと思います。
私は彼が最優秀だという事を、試験の結果を聞かなくても父の日頃の噂話から聞いて知っていました。
試験結果を聞いて、やっぱりねと思ったものでした。
さて、どんな理由で私が話しかけてきたのだろうと、当然きー君は思ったようです。
ありがとうのお礼の言葉の後に、何か用?
と聞かれて、
特に言う事も見つからない私は、流れのままに話します。
私も受けたかったけど、お父さんが駄目だと言って受けさせてくれなかったの。
よかったわね、受けられて、と言うと、なあんだ
という感じで、またか
という感じでもありましたが、
Junさんが受けてたら受かってたよ。ときー君に言われます。
思わず私は笑顔になって、2人(きー君
&Fさん
)して同じこと言って、と確信を深めます。
私なんて駄目よ、受けても落ちていたと思う。と言いながら、
やっぱり付属中学の方に行くんでしょうと聞きます。
きー君はうんと言っていましたが、いや、実は迷っているんだと言い出しました。
やっぱりFさんの言う通り迷っているのかなと、何故?折角受かったのに、何故迷っているの?
と、
私は迷っている理由を聞こうと思います。真実が知りたいのです。
きー君の迷っている理由はどんな事何でしょうか。