Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2017-12-02 21:53:24 | 日記

  3回程の休憩の後、まだ麓の見える内に、ガイドさんは「私はこれで」と私に言葉をかけて、再度「行かれますか?下山しませんか?」と再確認するように言葉を掛けられました。私が登山を続けると意思表示すると、彼女は挨拶して登山道を下り始められました。

 「鎖に沿って登って行ってください。鎖の傍が登山道です。上に行ったら、羅針盤のある場所が頂上ですから。」

彼女は私にそう言い残すと去って行かれました。他の皆にも順次言葉をかけて、彼女は岩壁を下って行かれました。

 程無くして、私は出発しようと思い登山道に戻ると鎖に取り付きました。去って行く彼女を振り返って見送ってみると、登って来た岩壁はかなりな急斜面で、地上に食い込むように下りて行っているのがよく分かりました。私は内心もの凄い急斜面だと驚きました。ここを登って来た事が他人事のようで信じられない気持ちでした。私は初めてウルルの登山道の急勾配を目の当たりにしたのでした。

 が、それでも私は下りて行かずに登山道の上を見上げました。そうして、このまま進む事にしました。『ここへ来られる事はもう無いだろう。』そう思うと、この今の登山が私にとってのただ唯一のウルル登山となるのだと、ここで終える事が酷く勿体無く感じられるのでした。

 私は頂上までの距離も時間も全く把握できない状態でした。ガイドさんと別れた次の休憩かそのまた次の休憩時、私は「時は金なり」を思い浮かべると休んでいる時間さえ惜しく感じるのでした。しかし、登山道に向かって戻り始めた私は、「命あっての物種」の言葉も思い浮かべるのでした。無理は禁物と思いながらも、鎖を手にもう少し先へ進んで見る事にしました。上を見上げれば先には多くの先陣が溢れるほどに隊をなしていました。  まだまだやれそうだ、先陣の隊列の中に交じる年配者の姿に励まされて、私は上を見上げて進むことにしました。鎖に掴まりせっせと歩を運びました。下を見ないで上を見る事がこの登山のコツかもしれないと、自分勝手な考えを心の中で呟きながら、兎に角上へ上へと私は遮二無二向かって行ったのでした。そして、この先、私が鎖を手に見上げる登山道の斜面は、見下ろしたのと同じ様な急勾配を見せ始めるのです。


美湾

2017-12-02 17:15:00 | 日記

 私はウルルに登る前に大地で軽く足の屈伸などして筋肉をほぐしていました。やはり自分の齢のことを考えると、準備運動は怪我をしない為の欠かせない下準備でした。そして、私はたまたま登山道に入る前に目についた、麓のプレートの文字を読んで来ました。英文字でしたが、何となくガイドさんの心配が朧気ながら分かるのでした。

 本格的な登山道に入ると岩には金属の杭が撃ち込まれ、その杭を鎖が繋いでいました。登山者は鎖に沿って登って行けばよいのです。上りの鎖に平行するような形で下りの杭や鎖も張られ、そちらの登山道にも、もう下りの人の列が出来ていました。見ていると、脚に覚えのあるような人は鎖に頼らずどんどん登って行きます。鎖から離れた岩肌をどしどし登って行く人も何人かいました。また、鎖の傍から離れた岩肌に腰を下ろして休んでいる人も何人かいました。鎖に沿って登る人、少し離れて登る人、またそこから離れて地面に平行に並んで座って休む人、景色を眺める人、ウルルの登山道付近には様々な人の列や人の散らばりができ、鎖の道を中心にありの行列のように登山者の集合模様が出来ていました。

 登山道と一口に言っても、ウルルの登山道は普通の山の登山道とははっきり異なっています。山の草木の緑と山肌や砂利だけで出来た道との境界がくっきりと分かれている登山道ではありません。ウルルは写真などでも見てわかる通り赤茶けた岩肌だけです。鎖の傍が登山道と言えば登山道になるのだろうという、所によっては登山者のズックで磨かれた滑らかな部分もあり、そう酷くごつごつした場所というのは無い様でしたが、やはり足元に気をつけて登るに越したことの無い、境目の無い砂岩色一色だけの完璧な岩壁なのでした。

 私は初めの頃は鎖につながって登ったり、手を離して人波の横を登ってみたりと、案外元気にウルル登山に挑戦していました。最初は一気に頂上を目指す気でいましたが、暫く登ると、20メートル程でしょうか、座って休んでいる人の事情が身をもって分かって来ました。私も登る人の行列から外れると、岩肌に腰かけてひと休みしました。最初はガイドさんのリードの本、休憩ペースを合わせていたかもしれません。新婚さんやフルムーンのご夫妻、同じツアーの見慣れた方達が側にいたように思います。他の方達はハイペースで登って行かれたのかもしれませんし、私達より出発が早めだったのかもしれません。この登りの登山道では目にしなかったようです。


美湾

2017-12-02 12:23:06 | 日記

 必ず戻ってきてくださいねとガイドさんに念を押され、

「時間までに戻って来れるように頑張りますね。」

と腕時計を見て、にこやかに私は出発しました。ガイドさんの話では無理せず途中で下山しても良いという話でした。また、降りてこない人も中にはいるという事でした。

 降りてこないで登ったままの人はここで何をしているのだろう?と私は不思議に思ったのですが、登山に浮き立ちその事にばかり集中していた私にはさっぱり彼女の言葉が理解できないのでした。登山したからには頂上に立ち、その後降りてこないと、登山にならないのではないかしら?とウルルの頂を見上げて考えていました。兎に角やるしかない!私の決意は変わりませんでした。寧ろ強まったと言った方が良いかもしれません。

 私が岩に登る列に入ると、ガイドさんも「自分も行きます。」と列に入って来られました。私は地面でガイドさんに続いてドキドキしながら登る順番を待っていました。地面から岩が出ている部分へ、いよいよ私の最初の1足をウルルの岩にかけるのだと思うと、緊張と期待、憧れの気持ち、夢が叶うという興奮が胸に湧くのですが、私は平静に気持ちを静めながら、第1歩を赤茶けた岩にかけました。実際、この時せり上がる岩のどの部分に最初の1足を掛けたらよいのかと迷いました。自分にとって無理のない、地面から程近い場所にそおっと足を下ろし、静かに登り始めました。

 トントンと2、3歩登って行く間も胸には緊張や興奮があるのですが、ドキドキ確かに動機のような物も感じましたが、ガイドさんにあれだけ言われたのです、私は気持ちを静かに落ち着けて、案外慎重に足を運んでいたと思います。足下には見た目の泥の塊のような柔らかさでは無く、確りとした硬い岩盤を感じていました。しかもひんやりしていたようです。私はその感触をズックの底に確りと感じ取って進んで行きました。そして私は次第にこの岩への歩みに慣れて行きました。


思い当たらなくて

2017-12-02 12:18:14 | 日記

 新作は全然見る事が出来ませんでしたが、久作は何時もテレビで見ています。

 何回もみたものばかりなので、今年のベストと言われても最近の物ばかりが印象に残っている感じです。ラストアクションヒーローとか、16ブロックとか、トゥームレイダーとか、キングソロモンの秘宝とか、自分自身もマンネリ化しています。

 ベスト映画、今年、と言っても、新しく見た映画が無いので、困ってしまいます。