Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2017-12-18 20:11:29 | 日記

 行き成り方向転換するのも不自然で、相手を嫌っているようで失礼だと思いながら、それでもこのままでは真っ直ぐに彼まで直進する事になります。何故か丁度辺りに他の人影はなく、2人の間に誰も人がいないという状態なのも困りました。この時、私のこの動きを自身で想像すると、それだけで私は酷く困惑し、思わず恥じらってしまうのでした。早くこの動きを止めたいと焦りました。

   『何とか軌道修正しないと。』

そう心の内に呟いて、私は急いであれこれ思索しました。先ず何とかさりげなくこの歩みを別の方向へ持って行き、視線も彼から外したいと考えるのでした。既に彼もこちらを見ていて、私が真一文字に彼に近付いて来るのだと思っている気配でした。彼は私の動きに気付くと困った感じでしたが、逃げ出すという事もせず、表情も微笑みなど浮かべて極めて社交的でこちらに対応する決意のようでした(私見)。そう見てとると、尚の事、私は彼に対して失礼にならないようにと慎重に配慮するのでした。

 私は一旦下を向いて、足元に注意するふりをすると、視線を彼から外しました。さりげなく周囲の様子を見てみます。丁度右手に順路がありました。これだわ!と、私はその通路に自分の注意を引くものがあったというような動作、表情を浮かべると、通路に向かって方向転換し、ゆっくりと歩を進めました。後は通路に入り込み、一目散に彼から遠ざかって行くだけです。

   私が入った順路は木立が植えられ、気付くと上り坂になっていました。私は心配になって直ぐに胸に手をやりました。動悸は考えたより落ち着いていました。坂は更に急な上り坂になって行き、私はこちらの道に入った事を後悔したのですが、本当に心臓の方はもう大丈夫なようでした。

   坂の上に差し掛かると、右手の方向にコンクリートの飼育場がありました。気付いて見下ろすと灰色の細長い生物が多数視界に映りました。私がその生物の姿をハッキリと視界に捉えると、それはあの大トカゲ達なのでした。『ああ、あの観察施設の上がここなんだわ。』私は合点しました。


美湾

2017-12-18 19:45:33 | 日記

 少し落ち着いて、事なきを得たと感じた私は、注意深く心臓の様子を見ながら集合場所の入り口に向かって歩き始めました。そこで静かに皆を待った方が良いと判断したからでした。

 『午前にウルル登山をして、心臓が疲れていたのだろうか、それでこんなに衝撃が大きいのだろうか。』

そんな事を考えていました。少しずつ歩を進めていくと、如何やら鼓動は静まったままで、体調は落ち着いて普段通りの様子になっているようでした。私はほっとして、進む先に男性が1人立っている事に気付きました。若い白人の成人男性のようでした。私はその男性を見るともなしに見ていました。

 髪の色は、異国の人だけに如何いってよいのか分かりませんが、ダークな色が混じったようなとび色、金茶色、亜麻色?といったような私には表現が難しい色合いでした。長さはごく普通の長さで、髪型もごく普通の髪型で、髪質は巻き毛ではありませんでした。

 私はその人に何となく目が行ってしまうので我ながら不思議に思っていましたが、彼は遠く、私とは50メートルは離れているだろうというような場所に1人で佇んでいたので、その全体像がよく見えました。

 その内私は気付きました。『ああ、ギリシャ彫刻のようなバランスの良い体系なのだわ。』つまり、スタイルが良いという事です。オクタビアヌス像とか、ローマの兵士像のような均衡のとれた体格を彼はしているのでした。

 成る程、と私は納得しました。思わず上から下、下から上とその人の全体の姿を眺めながら、異国の人はスタイルがいいなぁと感嘆してしまいます。そして、徐にハッと我に返りました。

『はしたない、若い男性に目を奪われるなんて!』

しかも、その人は私が向かっている動物園の入口の傍にいたのです。このまま私が歩みを進めて行くと、その人に向かって一文字に歩いて行く事になるのです。しかもまじまじとその人を見詰めながらです。私は表面やや微笑みながら、内心かなり焦りました。


美湾

2017-12-18 19:10:12 | 日記

 大トカゲの観察施設の入り口には年嵩の方の御子息が1人おられて、如何やら傍らに説明のプレートが有った様でした。私は如何したものかその説明書きには全然気付かなかったのです。

 「そういった事が書いてあるよ。」

と御子息がお母様に仰っているのが聞こえました。お母様が如何しようかと仰り、入るのを迷われているようでしたが、お2人は取りあえず入ってみる事にされたようでした。

 私は入り口から施設へ入って行かれるお2人の後ろ姿を見送って、施設前の広々とした道路に歩み出しました。次は何処へという当てもなく2、3歩歩み出したのですが、急にドクドクと大きく胸の鼓動が打ち始めたので、ふうっと息を吐きました。自分ながらに非常に驚きました。一旦収まったはずの動悸が、また更に大きくなって戻って来たような感じでした。胸に手を当てて心臓の部分を摩ってみます。このまま動悸が収まらなければ危ないのではないか、そんな思いが脳裏を過ぎりました。何とか静まって欲しいと切に願うのでした。

 そんなかなり真剣で深刻な思いの内に、私が胸を摩っていると如何やら動悸は静まって来ました。私は更に胸を摩り続けながら自分の心臓を労って、注意深くその場に佇むと、自身の体調を気遣って胸の鼓動に神経を集中するのでした。

 一体どうしたというのでしょう?今までの健康診断で心臓関係の注意をされたことはありませんでした。それが、大トカゲの襲撃にかなりショックを受けたとはいえ、いきなりこんなに鼓動が大きく乱れることがあるものなのでしょうか。一旦収まったと思っていたものが、再び大きく波打ってくる事など今まで全く皆無な事でした。私はここが異国の地でもあり、かなり不安に思うのでした。

 『中に入らなければよかった。』そう思ってそっとトカゲの施設入り口を振り返りましたが、ご家族連れのお母様とお子様はもう入口から姿が消えた後でした。


特にありません

2017-12-18 19:06:03 | 日記

 夜は出歩かないので、特にありません。

 LEDライトになってからイルミネーションが復活して、冬の夜はまた綺麗になりました。でも寒いので、若い頃に比べると外出してまで鑑賞したいとは思わなくなりました。家でのんびり映画鑑賞です。