Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2017-12-29 18:28:16 | 日記

   ホテル玄関のガラス戸を通り過ぎ、外に出た私は透けたガラス窓越しにホテル内にいるアルパカを見やりました。するとご機嫌な顔付きでうきうきとした様子にみえました。人なら笑顔で嬉しそうな感じでしょう。『ごめんね、私は人間でアルパカじゃないから、あなたの相手はできないのよ。』そんな事を心の内に呟きながらホテルを後にしました。

   私はホテルの傍を歩きながら、かつて飼っていた鳥達や親戚の家にいた犬などを思い出していました。彼等はよく慣れて私の指や足に絡みついて来たものです。それを思い出すと、とてもあんなに大きなアルパカの相手は出来ないのでした。溜息と共に懐かしい動物達を思い出します。彼らはもう追憶の中にだけしかいないのでした。

  ふと気付くと、ホテルの横の壁に沿って小さく直線状に緑が植えられています。花壇には可愛い八重の白い花が咲いていました。クチナシのようでした。クチナシは香りのよい花を咲かせます。道を歩いていた私は思い立って白い花に近付くと身を屈めました。自分の鼻を花に寄せてそっと香りを嗅いでみます。花は全くの無臭でした。なんの香りもしません。そこで屈んだついでに近くでその花や葉の形、葉の緑の濃さをしげしげと眺め直してみました。こうやって改めて見直して見ても、その花は全くクチナシにそっくりでした。

   この土地では花の香りが無くなってしまうのかしら、そんな事を思いました。私は前にもケアンズでパイナップル・セージを見かけ、私の好きな甘い香りの花だからと側に寄って香りを嗅いだのですが、全く葉にも花にも香りがなくて首を傾げてしまいました。その時にも私は改めてその植物を見直してみたのです。赤い花の色や形、明るい黄緑の葉先や楕円の葉の形、葉に寄る皺の加減、茎の様子やその草の容姿を確りと眺めてみました。どう見てもパイナップルセージだと不思議に思いました。その時はよく似た違う草なのだろうと思い、納得しようとしましたが、全くのそっくりさんでしたから、私には別の草とはどうしても思えなくて、香りの無いのが何とも不思議で仕様が無かったのでした。

   この目の前のクチナシの無臭で、この土地へ来て2例目になる同じ出来事に、私は土の違いのせいなのだろうかと考えてしまうのでした。土に鉄分を多く含む、そんなウルルの土地の説明が思い浮かんで来ました。又は先住民の人々の怨念のようなものがあるのかしらと、非科学的な事も考えてしまうのでした。夕刻という時刻のせいでしょう。自分でもオカルトめいた考えだと思うのでした。


美湾

2017-12-29 11:02:47 | 日記

 何とかしなければと私は思いました。アルパカの眼付は『やる気だな、こいつ!』というような喧嘩を売られた野生動物の眼差しでした。私は内心相当焦りました。出来るだけ作り笑顔を作り、目を丸く細め、よしよしというように相手を宥める目付になると、軽く頭を摩ります。摩るというよりけに少し触れる程度です。

 すると、私の笑顔(何方かというと丸く弧を描いた目つき)を見たアルパカは、急に雰囲気が変わりました。蹄をカツカツというような戦闘体制から、フーッと鼻息が漏れるといった感じになり、体全体がほわっとしたピンク色の雰囲気に包まれた感じになりました。るんるん気分というような感じになり『喧嘩じゃない、お誘いだったんだ。』という声が聞こえるような感じになりました。あくまで私見です。真実は分かりません。

 これは、と私が笑顔のまま立ち竦んでいると、傍らにおられたお母様が「行きましょう。」と、ね、このまま行きましょう。とそろそろとやぐらを下りられます。私も、ええ、とアルパカが何かしらの感情(感情があればの話です)に気を取られている間にこっそりと板を下りて玄関入り口へとやって来ました。

 「では、出発します。」

ガイドさんの一声で、ツアー一行はナイトクルーズに出発しました。


美湾

2017-12-29 10:26:02 | 日記

 その後、何事も無く無事お母様と交代して、順番が来た私は目の前で口をもごもごと反芻しているアルパカの頭に軽く触れてみました。頭の毛はふっくらもっさりした見た目の割には、水っぽくてべたべたしていました。とても触り心地の良い毛とは言えませんでした。何方かというと反対の気分です。それでも私は続けてそっと撫でてみました。毛だけの手触りで頼りなく、頭本体に全くコンタクトできませんでした。何だか物足りない気分になりました。

 それでもう少し力を入れて撫でてみました、が、やはりアルパカの地肌を掌に感じる事が出来ません。私はこの瞬間を楽しみに待っていたこともあり、地肌に触れないとスキンシップ出来ない気分で収まりが付きませんでした。それで更に力を入れて撫でてみました。これで手に頭部を感じただろうと思いましたが、本当に全く全然手応え無しでした。アルパカの頭部というのは、毛が相当分厚い頭頂部なのでしょう。…。

 そこで、私はより一層掌に力を込めて、これでどうだという感じでグイっとアルパカの頭を撫でました。漸く私は手に頭部本体を感じとる事が出来ました。やったー!と思った瞬間、アルパカの全身、頭頂部から胴体、足の先にまで伝わる様なビシッとした電気ショックの様な反応が走りました。もしかしするとこの動物は、毛根が相当発達していてそれが神経を刺激したのかもしれません。痛かったのかもしれませんね。痛みは電気ショックで脳に伝わると言いますから。正にアルパカは一瞬電気に感電した様な感じで身を震わせました。

 『ドキッ!』

と私は罪悪感に襲われました。そして、直ぐに不味い事をしたと思いました。その瞬間、アルパカは頭をひねり、片目上目遣いでキッ!と私の顔を見上げて来ました。その時の目付と来たら、如何にも恨みがまし気で、まつ毛がグーンと伸びた感じでジローッと斜めに私の目を見上げて来るといった感じでした。その目は思わず私に、『性悪なんだ、このアルパカっていう動物。』と思わせたくらいです。この時非常に切迫した感じを私は受けました。


美湾

2017-12-29 09:34:33 | 日記

 私はもともと動物好きでした。それは生来と言っても良いものだと思います。初めて好きになったのは多分蝶だと思います。地面に足がついて離れられない自分達人と違い、ひらひらと宙を飛ぶ蝶に憧れや夢のような物を見たのでしょう。よく飛ぶという姿の真似をしました。羽をパラパラと飛ぶ準備に動かすところから始まり、ふわりと宙に浮きあがるところ、足のつぃーっと花から離れる瞬間、そんな飛翔場面を実際に真似する事で、自分も宙に浮けるような気がしていました。蝶が飛び上がる瞬間をメージしては自身の手足をその様に動かしてみました。何度もその事に集中してせっせと蝶を真似たのを覚えています。その時の見本はアゲハ蝶でした。身近にいて大きく観察しやすかったからでした。余談です。

 さて、ついに私にアルパカの頭に触れる瞬間が来ました。ドキドキします。まず顔を眺めてみました。何だかラクダに似た顔だなと思いました。細長く楕円形の大きな目元などラクダそっくりなのではないかと思いました。待っている間に見ていた体の方は、馬みたいな体形で毛がもさもさだと思い、そんな胴体から垂直に真っすぐ伸びている首が異常に長く見えました。初めてみる私には、アルパカは何だか異形な体をしている動物だと感じました。一風変った動物だと思い奇妙な感じがしたものです。

 私はその時迄に、頭の前に体の毛をそっと撫でていました。それはごわごわした毛でした。ご家族連れのお母様がまだ頭を撫でておられた時だったと思います。傍らで待ちきれなくてそわそわしていた私に、彼女は気付いて、体の方を撫でてもいいですよと仰ってくださったのかもしれません。多分仰ってくださったのだと思います。動物は敏感なので、2人であれこれいじると刺激が強いだろうと確かにこの時私は思っていました。私にとっては未知、初めて体験する動物です、その点私は注意していたように思います。だから触れてもごく軽く刺激の無いように手を触れたと思います。何かあると頭の方にいる彼女の方が危険な事はよく分かっていましたから。


楽しみにしているお正月番組

2017-12-29 09:24:18 | 日記

 テレビドラマのスペシャル版とか芸能人格付けチェックなどです。

昨年(今年)はどちらも見逃しました。こちらの地方では何方の番組もお正月の本放送の時期に放送されないので、地方では初めてでも再放送を見る訳です。放送日時が分からないので、気をつけていないと見逃す事になります。昨年がそうでした。毎年テレビ予約するのですが、それも忘れていて、今年(来年)はどうなるでしょうか。見る事が出来るでしょうか。