その日の夜はシドニー湾ディナークルーズでした。さぞや美しいだろうと期待してしまいます。美湾のナイトクルーズです。旅疲れしていた私は予定時間まで自室でのんびり過ごしていたと思います。入浴して身支度を整えていたかもしれません。
「ディナーというだけに改まった服装でお願いします。」と皆は同行ガイドさんに言われていました。パンフレットにも書かれていたかもしれません。それで私はそれなりに見られる服という事で、夏用のツーピースをリュックに入れて持って来ていました。靴も持って来ていたかもしれませんが、サンダルだったかもしれません。お化粧も普段より念入りにして、その日のディナーの準備は整いました。
エレベーターを降りて、1階のロビーというか、入り口付近に来ると、催事された場所に一頭のアルパカが繋いでありました。ウルルの土の色と同じく赤茶色の毛色をしていました。もぐもぐと口を動かして呑気そうに4本足で佇んでいました。静かな動作で雰囲気も温和、大人しい性格のようでした。…。
私はアルパカという動物をこの時に初めて見ました。名前は知っていましたが実際に目で見るのは初めてです。当然興味をそそられて近くで観察してみたいと思いました。この時のアルパカは立っていると背丈が高く、その為でしょう、この動物との触れ合い用に直ぐ横に木でやぐらが組んでありました。そのやぐらを登って皆アルパカの頭や体に手を触れています。微笑ましく可愛らしい光景でした。そこで、ご家族連れのお母様と「私達も見て来よう。」という話になり、うきうきとご一緒しました。順番に並んで、木が並べられた坂を登り、先ずお母様が手を触れられました。頭をナデナデです。私は次の番をじーっとを待っていましたが、内心は待ち遠しくてそわそわしていました。