先日のプロ講師養成講座で面白いことをやった。発表したW氏は、TOC理論(制約理論)に詳しい。来日したTOC理論のゴールドラット博士ともお会いしているそうだ。その一環の話なんだろうか、面白いことを我々受講生にやらせてみた。
図のように、1,2,3・・20、とA,B,C・・T、と〇△▢・・〇、の20行3列の文字や図形を素早く書いてみようというものだ。
初めは、1,2,3の数字の全部書いてから,A,B,Cのアルファベットを書く、最後に〇△▢の図形を書く、という縦書きだ。二度目は、1、A、〇、2、B、△、という風に、横に書いていく。
書く内容は同じだから、時間も同じかというと、これがだいぶ違う。横に書く場合、アルファベットの順番を思い出さないといけない。図形も順番をチェックする必要がある。この手間を製造業でいうと、段取り替えという。
一斉にスタートして、終わった人から手を上げるのだが、縦書きの1回目と横書きの2回目とでは、約2倍の差があった。
縦書きは、中小企業診断士の世界で言うと、専門化のメリット(スケールメリット)、「規模の経済」という。資本や従業員数が多い大企業が取るべき手法である。一方、横書きは、いくつもの仕事をへ並行してやる、マルチタスクだ。こちらは、「範囲の経済」という。一人が何種類もの仕事をこなす場合を言い、企業では、中小企業が目指す手法である。
ただこの比較は、縦が20個という多数の仕事がある場合の比較だ。縦が2,3個しかない、(つまり、1,2,3の3行しかない)場合は、それほど差はつかない。
残念ながら、数が多いと大企業の方が効率はいいようだ。中小企業は数が少ないから、段取り替えする手間を惜しまなければ、少ない人数でも十分対抗できる。負けるな中小企業!