企業研修、それも業界内の新入社員の研修の時だった。カーボンニュートラルという単語が出て来た。業界では、新興国等における環境保全プロジェクトにより創出されたCO2クレジットで相殺すること(カーボン・オフセット)により、地球規模では、この天然ガスを使用してもCO2が発生しないとみなされるLNG とされているため、新入社員にこの説明をした。
その後、ガス業界の状況について、日本ガス協会のパンフレットで説明しようと下調べしていたら、カーボンニュートラルLNGとカーボンニュートラルメタンが出てきて、おや、どう違うんだろう調べた。上の説明は、カーボンニュートラルLNGの説明だった。
どうもガス協会のパンフレットでは、カーボンニュートラルメタンとカーボンニュートラルLNGを使い分けているようだ。そして、カーボンニュートラル、さあ、こりゃ大変、業界は、結構すごいこと考えてるんだと気がついた。
次の時代は水素だとよく言われる。水素は作り方によって、グレー水素、ブルー水素、グリーン水素に分かれる。グリーン水素なら二酸化炭素は排出されない。(図の出典は、経済産業省HP)
カーボンニュートラルとは、水素を作り、その水素と二酸化炭素からメタンを作る。合成メタンだ。(これをメタネーションという) そのメタンを既存の都市ガス導管網に流して、ガス事業を営む、もちろんガス器具でガスを燃焼させると二酸化炭素は出て来る。
しかし、製造段階で二酸化炭素を回収して、消費段階で二酸化炭素を排出する。回収と排出を行うから、トータルで二酸化炭素は増えない、カーボンニュートラルだ、という意味だ。
出典:経済産業省HP
意味は分かるが、これを2050年に原料の90%に適用しようとしている。これって、化石燃料のLNGをほぼ全廃してしまう計画だ。ホントかいな。二酸化炭素を吸収するのは、植物の光合成だ。これを都市ガス原料の90%に置き換えるのか。
昨年のパンフレットにはこんな記述、全くなかったから、まあ、思い切ったことを書くものだ。30年後だからね。30年後といえば、私は96歳、もういないだろうし。ということで、カーボンニュートラルメタン、すごいことを考えるもんだ。の巻。
写真は3年前、欧州出張でメタネーションプラントを見学したときのもの