原発テロの対策はどうなってるんだろうと、不思議に思っていたが、今月の文藝春秋でぜんぜんダメなことが分かった。記事の筆者は元海上自衛隊の方、ストレステストにはテロ対策の項目はないそうだ。
まず行政、電力会社のテロ訓練から。ほとんどのシナリオは、数人の潜入者が原発の正面ゲートを突破して突入。それを取り押さえて訓練は終わり。対策本部では、待機していたスタッフが連絡網に沿ってシナリオ通り調整を行う。はっきり言ってこれは何の意味もない。ノルマのための訓練だ。訓練をしたという既成事実を作るためのようだ、と筆者は言う。うん、その通りだ。
そして実践的訓練にするには、自衛隊が攻撃計画を立てて、実際に攻撃をする。(ただし当然、破壊行動はしない)これによって弱点が明確になり対策が立てられるそうだ。なるほど。
もう一つ、原発テロに備えるには、3つのポイントがあるそうだ。(1)覚悟をする、(2)マインドリセット、(3)オーダーリミット、だそうだ。
3つ目のオーダーリセットとは、上に立つものは誰にでもオーダー(指示)をしていいわけではない。直近の部下に方針を示し、任せなければならない。大隊長は中隊長にオーダーしてもいいが、それを飛び越えて、小隊長にオーダーしてはいけない。現場にいない大隊長は現場が見えていない。修羅場では、情報が現場にとどまり、上に上がってくる情報は少ない。そのような状況では、間違ったオーダーをする危険性があり、黙って任せることが肝要だ。また報告させてもいけない。実況放送しながらボクシングはできない。
福島第一発発電所では、菅総理が、吉田所長に直接オーダーし、報告を求めたというが気持ちは分かるが絶対にやってはならないことだ。現場指揮官に任せる覚悟が必要だった。
実は、話は小さいが、私もこの様な経験を何度もしている。自衛隊の方は、修羅場での指揮命令の専門家である。きっと上記のとおりなんだろう。しかし、これがわかってる指揮官は以外に少なく、我慢できずいろいろ細かいことを現場に聞く方が多い・・