このコーナーは、来年出版される予定の資格本の原稿の一部ををアップしていきます。出版予定の資格本は、年代別(ex20歳代・・)に有用な資格とその活用方法を解説していくものです。第2回は50歳代の温泉ソムリエです。
(1)温泉ソムリエとは
日本人にとって、いや最近はインバウンドで外国人にとっても温泉は人気があります。まずはこの資格のメリットについてご紹介しましょう。
温泉ソムリエ協会のホームページから文章を拝借しますと、「温泉愛好家にとっては、1回の温泉旅行分の費用で温泉の資格が取れ、温泉の楽しみが10倍に! また、温泉宿にとっては、温泉施設としてより正確な情報をお伝えでき、信頼いただける。」となっています。事実、私もこの資格を取得して以来、いろいろな温泉に行きましたが、以前のように漫然と入っていた風呂も、泉質や温泉の効果を知って、一層楽しみになっています。
そしてこの資格の上位資格として「温泉分析書マスター」があります。この資格は、温泉場に行くと、脱衣場にその温泉の効能書きが書かれていますよね。あの分析書の読み方です。結構難しいので、この部分だけは、単独の資格になっています。
例えば、ある源泉には、「カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩・炭酸水素塩(低張性 中性 高温泉)」 という長い名前の泉質が付けられています。これを読むときには、泉質は、特殊成分-陽イオン-陰イオンの順で、カッコ内は浸透圧、水素イオン濃度、泉温が書かれており、これを読み解きます。
また、よく全国に美人の湯という自称が付けられていますが、これは、不要な角質を取る効果のある物質や、弱アルカリ性の場合が該当します。
このようにいくつもの泉質が問題として出され、学習していきます。タレントの西村知美さんや釈由美子さんなども資格を取るのにセミナーに参加したようです。
(2)温泉ソムリエの楽しみ、温泉法に入浴法
温泉ソムリエの資格を取っての楽しみは何といっても「温泉巡り」。日本三名泉(有馬、草津、下呂)や日本三古湯(道後、有馬、白浜)(いずれも異説がある) とかいわれている温泉は、いい泉質でしょうね。
私は、有馬温泉に入るのは念願でした。なんせ自宅(埼玉県)から遠いですからね。有馬は鉄分を多く含む、含鉄塩化物泉、ラジウムを含む放射能泉、そして炭酸を含む炭酸水素塩泉があり、空気に触れると色が変わる金泉と透明な銀泉に分かれています。もちろん私は、金泉と銀泉にハシゴして入りました。古くからある温泉ですが、戦国時代に秀吉がおねと入ったことも有名ですね。
また、草津温泉は、関東地方から近いため、何度か行ったことがあります。日帰りできますよね。草津の泉質は酸性泉や硫黄泉で、pHは2前後の強い酸性です。 舐めてみると酸っぱいですよね。また強い殺菌作用があり、万病に効くとはこの辺からきているようです。
あと道後温泉は、宿泊した旅館の温泉には入りましたが、ここは何と言っても、木造三階建ての道後温泉本館の坊ちゃんの湯です。私が行ったときは満員で入れませんでした。いつかまた行きたいものです。
温泉とは何か、温泉法の学習を少ししましょう。資格には関係法令がつきものですからね。
温泉というのは、温泉法で定義があります。温泉は、 (1) 源泉温度が25℃以上であること。または、(2)「溶存物質の総量」「リチウムイオン」「水素イオン」など19の特定の条件のうち、1つ以上規定値に達しているものをいいます。つまり、25℃以上であれば、成分がなくても温泉、成分があれば冷たくても温泉となります。意外でしょ。
そして温泉ソムリエは、入浴法も学習します。温泉ソムリエには入浴五か条があります。①入浴前には一杯ずつの水を飲む。②入浴前には足先など心臓の遠くから順に十分なかけ湯をする。③頭には濡れたタオルをのせる。(冬の露天風呂は暖かいタオルを、夏の内湯などは冷たいタオルを)、④一気に長湯せず、分割浴、⑤疲労回復には、ひざ下の暖冷交互浴を。資格を取ると、これが、黄色い「温泉ソムリエタオル」として戴けるため、有資格者のシンボルになっています。私もこのタオルを2本持っていて、温泉に出かける際には持参しています。
(3)温泉ソムリエを取得するには
この資格は、もともとは新潟県の赤倉温泉が発祥の地です。これが広がって、現在温泉ソムリエの認定者は、約1万名(平成28年3月現在)になっています。温泉ファンに受け入れられたんでしょうね。
この資格は温泉の定義や温泉の効果などの基礎知識、自宅での入浴と温泉での楽しみ方の違いなどのセミナーを受講するだけで、試験はありません。一番短時間だと、東京で半日講習を受ければ、認定証をもらえますから、お手軽です。また全国の温泉場で入浴の実習付きの講習も開催されています。さらにステップアップすると、温泉分析書マスター(既出)という温泉分析書を学習する資格もあります。
詳細は、温泉ソムリエ 公式サイト をご覧ください。
(4)温泉に関するその他の資格
温泉に関する資格はこれだけではありません。全国に十数種あります。各地の温泉が事務局になっている資格が多いですね。
山形肘折(ひじおれ)温泉の「スパリエ」、福島いわき湯本温泉の「温泉保養士」、岡山湯原温泉の「温泉指南役」、草津温泉の「温泉観光士」、熱海温泉の「温シェルジェ」などです。
ちょっと紹介しましょう。まず、「温泉入浴指導員」、これは2日間の講習で取得できます。この資格は温泉入浴プログラムを指導できる能力と、身体測定、生活指導、応急手当てができる方に与えられます。
また、「温泉観光士・温シェルジェ」、こちらは、3日間で温泉学や温泉野外実習があります。
いずれにしても、温泉に親しんで、充実した、楽しいセカンドライフを過ごしたいものです。