直木賞受賞作品の「黒牢城」(こくろうじょう)を読む。お城が出てくるミステリーだ。いつものようにネタバレしないよう、あらすじはちょとだけ。
戦国時代、織田信長の配下、荒木村重が信長に反旗を翻した。丹波は明智光秀が戦っている最中のため、中国地方に遠征していた秀吉は毛利との間で、孤立してしまう。村重の本拠は有岡城。今の伊丹市あたりに籠城する。
この城の中で殺人が何件か件起きる、その原因が謎だ。これを主人公荒木村重と、牢屋に入っている黒田官兵衛が解き明かしていくという、戦国時代のミステリー小説だ。
感想を三つほど。一点目は、史実はどうなんだろう。有岡城に籠城したのは史実で、登場人物も史実らしいが、登場人物の行動はさ作者の創造だろうか、史実と小説の境がよくわからない。
二つ目は、時は戦国時代、その槍、刀、などでの殺され方や、首実検など、かなり残酷な内容が出て来る。敵将の首は、首実検の際に、化粧をするが、これは女性の仕事。今なら気持ち悪くてとてもできないが、当時は普通だったようだ、はあ。
もう一つ、黒田官兵衛は、解決のヒントを出すが、牢屋に繋がれている割に、よくこれだけ想像できるもんだと思う。黒田官兵衛の天才ぶりを、ポアロや金田一耕助に例えているんだろうが、ちょっと出来過ぎだ。
最後に、この有岡城、石垣の一部が今も残っているようで、JR伊丹駅そばに公園になっているそうだ。百名城でもなく続・百名城でもないが、歴史の舞台、一度訪問してみたいな。