碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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大相撲「3月場所」中止と毎日放送「イチハチ」打ち切り

2011年02月06日 | テレビ・ラジオ・メディア

新聞の報道によれば、日本相撲協会は6日の臨時理事会で協議するが、「既に中止の方針を固めている」らしい。

確かに、このままの状態で3月場所の開催は無理だろう。

石原慎太郎東京都知事の「八百長は昔から当たり前、だまされて見てればいい」という発言もすごいけどね(笑)。

まあ、この辺りで一度、「スポーツ」と「興行」の関係を、きちんと考えてみるのもいいかもしれない。


一方、MBS毎日放送「イチハチ」やらせ疑惑問題。

4日に「ご報告とお詫び」と題する文章が公開された。

当社制作番組「イチハチ」(水曜午後10時からTBS系28社で放送)の1月12日放送分について「出演した女性タレントがニューヨークに所有する物件として紹介した部屋は、実際は現在売りに出されている物件で所有者は別の人である」という指摘が視聴者から寄せられました。

当社では、事実関係を確認するため特別チームを立ち上げ、調査を進めております。
出演した女性は、去年12月のニューヨーク取材の際には「撮影した部屋は投資目的で所有している」と話していましたが、放送後、上記の指摘を受けた後は当社に対し「その部屋は1月に売却した」と説明しています。

このため当社は、女性に対し、物件を所有していたことを証明してほしいとお願いしてきましたが、いまだに所有を証明できる書類の提出は受けていません。

また、当社でニューヨークの不動産登録を確認したところ、撮影した部屋の所有者は出演した女性ではなく、外国人名義となっていて、その名義は、去年から現在に至るまで変更されていませんでした。このことはニューヨークでの関係者の聞き取り調査でも裏付けられました。

女性は、放送後「家族や親族、会社名義などの物件もあるが、そうであっても広い意味でそれも自らの所有物件であると考えており、撮影した部屋は自分の所有に違いない」と主張しています。しかし、この関係者名義の所有を裏付ける書類についても、女性からの提出はありません。女性は終始、プライバシーを守りたいと主張しています。

こうしたことから当社としては、現在までの調査結果からは、女性が自分の部屋だと紹介した物件は、女性の所有だったとは証明できず、客観的にみて、1月12日の番組は事実と異なる放送をした可能性が極めて高いと言わざるを得ない、と判断しました。

さらに「ニューヨークに23軒の家を持っている」と紹介した残りの物件についても、その所有を裏付ける書類を提出するようお願いしてきましたが、これについても女性からの提出はありません。

「イチハチ」をめぐっては、去年11月17日に放送した内容が、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会から「情報確認を怠り、その結果、番組が商業的に利用された疑いがある」との指摘を受け、この件は現在、同委員会で審議の対象となっています。

チェック体制の強化などを進めていたにもかかわらず、情報の確認が不十分だったことから今回の事態を招いたことを視聴者の皆様に深くお詫び申し上げます。
(MBSホームページ 2011.02.04)



さらに、MBSはこの番組の3月終了も発表した。

事実上の“打ち切り”だが、説明では「騒動とは関係なく4月に新番組を予定しており、もともと終了予定だった」とのこと。

うーん、そうですか(笑)。

そもそも、「お坊ちゃまお嬢様芸能人No.1 決定戦」というテーマ設定や、「世間一般とかけ離れたお金持ちの生態」という内容自体、どうなんだろう。

制作側は、こういうものを「見せたい」「伝えたい」と思って作っているんだろうか。

それとも、「視聴者が求めている」から?

もしもそうなら、制作側の視聴者像は「この手のものを見たがる人たち」「こういうものを見せれば喜ぶ人たち」なわけで、それって、実は相当低いレベルに視聴者を設定してはいないだうか。

「視聴者が見たいものを作る」というのは、一見正論のようでいて、いろんな“落とし穴”がそこにはあるのだ。