碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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江姫「上野樹里」の“のだめ度”

2011年02月18日 | メディアでのコメント・論評

発売中の『週刊新潮』(2月24日号)で、NHK大河ドラマ「江」についてコメントしています。


見出し:

江姫「上野樹里」“のだめ”がすぎますゾ

記事本文:

「どう見ても着物を着た“のだめ”だよなあ」

なんて、イビられるのは、NHK大河ドラマ「江」の主人公を演じる上野樹里(24)である。

のだめとは、ご存知、上野の当たり役で、音楽ドラマの素つ頓狂な主人公のピアニスト・野田恵の愛称。

「江」は、第6回までの平均視聴率が21.6%と、まずますの滑り出しをみせているが、赤い花柄の着物に、耳の横で髪を結ぶ赤い紐がトレードマークの江姫。

小走りで動き回り、鼻を膨らませ怒ったかと思うと、時にはのけぞって驚く。

「セリフが現代語訳とはいえ、カジュアル過ぎます」と笑うのは、碓井広義・上智大教授(メディア論)。

2月13日放送の第6回では、本能寺の変の顛末を聞き、「でも、明智様はなぜあのような・・・」。

でも、はないだろう。

光秀が、羽柴秀吉に倒されたと聞けば、「でも、でも、もう私はどなたにも死んで欲しくはありません」。

とにかく、第1回から、こうしたシーンの連続だ。

のだめお得意の「ぎゃぼー」の奇声はなかったが、酒を飲んでいた秀吉に、「おぬしは~」と叫んで馬乗りになるは・・・。

自分は神だと言う信長に向かって、「己を信じることと、己が神になることはちがうと思います」。

「“ちがうとおもいます”では、“が”にアクセントがありましたし、語尾も少し上がり調子で、“すう”も伸びた感じでした。のだめの“ですう”のような、若者のイントネーションのままでしたね」(先の碓井氏)


次回予告編によれば、柴田勝家との再婚を決意する母・市に向かい、江は言い放つ。

「好きでもないのに、嫁ぐのですかあ」―――。

(週刊新潮 2011.02.24号)


・・・・「江」を見るたび、のだめの「ちあきしぇんぱいい~」の声が聞こえてきそうで。

どうせなら玉木宏も出しちゃえばいいのに(笑)。

確かに「のだめ」がなければ、上野樹里も大河の主役を張ることはなかった。

しかし、だからといって、「のだめ」のコピペだけでは“大河”を渡り切れない。

役者にとって、ヒット作の功罪ってあるわけです。