碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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『ヒアアフター』の“アフター(その後)”

2011年02月21日 | 映画・ビデオ・映像

クリント・イーストウッド監督の最新作『ヒアアフター』を観てきた。

主演、マット・デイモン。

ヒアアフターは「来世」と訳すのかな?

「死後の世界」という意味でもある。

霊能力者、つまり“見えちゃう”人生も辛いんだね。

でも、それによって救われる人たちもいるわけで。

イーストウッド監督の「死」に対する真摯な思い、死者への敬いが感じられた。

それは同時に、「生」を大切にすることでもある。

たぶん、この映画は、“不安の時代”に対するイーストウッドの答えのひとつなのだと思う。

パニックシーンもあったりするが、全体は静謐なトーンだ。

マット・デイモンはもちろん、双子の少年を演じたジョージ&フランキー・マクラレン、そしてジャーナリスト役のセシル・ドウ・フランスもいい。

監督自身による音楽も、ずっと聴いていたくなる。

しかし、エンドロールになった時、まだこの物語の続きがあるような気がして、しばらく席を立てなかったのも事実。

「これで終わりですか?」という、かすかな物足りなさ。

ないものねだり。

でも、やはり終わりなんですね(笑)。

“この先”というか、“その後”は、それぞれがイメージすればいい。

そんなふうにイーストウッド監督は言っているんでしょう、きっと。

そうそう。

冒頭のシーン。

海辺のホテルから見える風景。

向かいにある島、手前の海岸線。

「あれ?見覚えがある」と思ったら、このシーン、やはりマウイ島でロケをしていました。



(マウイから見たラナイ島)