碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「イチハチ」が見習うべきだったテレ東「この日本人がスゴイ。らしい。」

2011年02月08日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週取り上げたのは「この日本人がスゴイらしい。」(テレ東)だ。

“教養エンタテインメント番組”として高く評価した。

同じ海外取材でも「イチハチ」とはひと味違っていたので(笑)。


実質的打ち切り「イチハチ」が見習うべきだった「日本人がスゴイ」

以前の「世界を変える100人の日本人!」をリニューアルさせたのがテレビ東京「この日本人がスゴイらしい。」である。

先週のテーマは「地下施設」だった。

新宿三丁目の駅は地下鉄副都心線と都営新宿線の両方が乗り入れている。

だが、2つのトンネルの間は何と11センチしかない。

これを可能にしているのがGPS衛星でコントロールされたトンネル掘削機「シールドマシン」。

そして、経済成長著しいインドの地下鉄工事現場で活躍しているのが日本から赴いた女性トンネル技術者なのだ。

この展開は見る側の興味をうまくつないでおり、インド取材も文化の違いまでを伝えていて納得の出来だ。

他にも群馬県上野村にある揚水式地下発電所や、岐阜県神岡鉱山の地下1000メートルにあるスーパーカミオカンデなども紹介していた。

特に、宇宙最小の物質のひとつであるニュートリノを発見した神岡の施設は、今や世界的な研究所だ。

普段なかなか見ることのできないその内部と研究内容に「日本人も頑張ってるじゃん」と感じた視聴者は多いはずだ。

やらせ騒動のTBS系「イチハチ」が実質的打ち切りともいえる3月終了を発表した。

「お嬢様タレントが所有するニューヨークの不動産物件」を見せることにどんな意味があるのか。

制作陣はこの番組を参考に一度自問して欲しかった。

(日刊ゲンダイ 2011.02.07)