『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。
今週は、「夢は日本のハリウッド」(TBS)について書きました。
テレビユー山形の力作です。
リポーターの騒がしさが残念だった映画村ドキュメンタリー
「建国記念の日」の朝、第21回JNN共同制作番組「夢は日本のハリウッド」(TBS)が放送された。
山形県にある「庄内映画村」に密着したドキュメンタリーだ。
庄内地方で撮影された映画としては「蝉しぐれ」や「おくりびと」などがある。
背後には映画撮影の誘致や支援を行う組織「フィルム・コミッション」の協力があった。
庄内映画村はその発展形であり、地元の法人や個人が出資した株式会社だ。
ここをけん引しているのが映画「蝉しぐれ」の元プロデューサーと元市役所職員。
番組は二人の取り組みを追いながら進んでいく。
映画関係者のロケ地探しに同行し、行政側に支援を求め、オープンセットの建物を増やすために奔走する。
映画撮影が行われれば観光客を呼べるし、地域の活性化にもつながるからだ。
しかし、誘致は簡単ではない。映画「兵隊やくざ」は中国ロケに変わり、「のぼうの城」は山梨県で撮影されることになる。
成功例だけでなく、事業の難しさもしっかり見せている点がこの番組の良さだ。
また1年間の長期取材は地元のテレビユー山形の頑張りである。
本木雅弘のナレーションは、「おくりびと」で世話になった庄内地方への思いを感じさせる温かみがあった。
一方、リポーターである映画コメンテーターのLiLiCoが、ただ騒がしいだけだったのは残念だった。
(日刊ゲンダイ 2011.02.14)