♪ある晴れた日に その40
逝く夏やあまたの栗を拾いけり
紋黄揚羽の雄が由比ヶ浜真っ二つ
名月や五人揃いし美人かな
道端に魚の尻尾が落ちていた
水に漬け叩きつけたるわがパソコン
おんどりゃ誰じゃあ正体明かせ
オラオラ、オンドリャガアア~
片脚を置いてどこかへ消えた人
一ヵ月発注がない怖さかな
彼岸花刈られず残りし力かな
月下美人誰一人見ず散りにけり
紺碧の翡翠熱帯魔境に消ゆ
この場所で死んだ人を覚えている
暮れなずむ夕陽か
はたまた朝焼けか
わが心なる行き合いの空
生きることは苦しきことなり
朝毎に
私の骨は激しく痛む
輪舞 輪舞 輪舞
三組の蛇の目蝶のカップルが
生き合いの空を舞っていた
道端に栗がひとつ落ちていた
誰も見ていなかったので
拾って帰った
卒中の後遺癒えざるも
理髪師は
巧みにわれを切りたり
紺碧の翡翠
故地を
魔境に変える
佐渡の空
発信カードつけて飛び立ちぬ
100%中国産のニッポニア・ニッポン
ご丁寧に発信筒をつけられて
佐渡の空に放たれしは
中国産ニッポニア・ニッポン
結局は
他人がやっていることには興味がない
ということになるんだな
ドミンゴもフレーニもゼフィレッリもみな若かった
クラーバーがオテロ振りし
76年12月7日ミラノの夜
スカラ座の罵倒にめげず
オテロ振る
カルロス・クライバーの雄々しき姿
われのみが
段ボールを捨てるらし
雨音しげき火曜日の朝
この場所で
確かに人は死んだのだ
世界は死に塗れている
誰もが知っている
小さなことを
ひそやかに語りたい