あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

チャールズ・ブコウスキー著・中川五郎訳「死をポケットに入れて」を読んで

2022-07-30 09:25:45 | Weblog

照る日曇る日第1769回

 

73歳と7か月で亡くなった詩人が、死の少し前まで、タイプライターではなくパソコンで描き続けた、エッセイのような、短編小説のような、とても興味深い日記である。

 

そのさわりをアトランダムに引いてみましょうか。

 

「ものを書く時は、すらすらと書かなければならない。稚拙でとりとめのない文章になってしまうかもしれないが、言葉がすらすらと流れ出ているのであれば、書く喜びから生まれる勢いがすべてを輝かせてくれる。慎重に書かれえた文章は、死んだ文章だ。」

 

私はこの考えに完全に同意する。そしてこの考えは、それがエッセイでも、小説でも当てはまるが、一番ふさわしいのは、詩の文章だろう。

 

その一例。

 

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

つまり私が言いたいのは、母国語で書かれた日本国の憲法の第9条は、名実ともに優れた1編の詩、あるいは夢見られた詩、のようなものである、ということだ。

 

    東西の阿呆莫迦知事が決めたのでコロナなんかもう存在しない 蝶人

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

家族の肖像~親子の対話その83

2022-07-29 15:42:14 | Weblog

ある晴れた日に 第692回 

 

お母さん、大工さんいつ来るの?

金曜日の午前中だって。

分かりましたあ。

 

ぼく、逗子のau行きますお。

大丈夫? 我慢できる?

できますお!

 

コウ君、これからどうするの?

ぼく、お昼寝します。

 

鬼は外おおおお! 福は内いいいい! ぼく、言いましたよ。

 

速度おとすって、ゆっくり走ることでしょう?

そうだよ。

 

速度おとそうね。

そうね。

ゆっくり走ろうね。

そうだね。

 

オオヤさん、辞めるんだって。

ぼく、寂しいけど、頑張りますよ。

頑張ってね。

 

「お世話になりました」って書いてあったよ。

そう、良かったね。

 

ぼく、オオヤさんに、お手紙書きますお。

そう、書いてね。

 

実は、って、なに?

本当は、よ。

 

非常に、って、なに?

とっても、よ。

 

お父さん、爆発の英語は?

エクスプロージョンだよ。

なに?

バーン!、だよ。

バーン!!!

 

お父さん、気をつかう、って、なに?

それはね、つまり、気をつかう、ってことよ。

 

もしもし、お父さんだよ。

お母さんに代わって。

はいはい。

 

オオヤさん、新天地に行くんだってよ。新天地って、なに?

そうねえ、きっといいとこよ。

 

オオヤさん、ぼくは、握手しますお。

そうしてね。

 

オオヤさん、広末涼子に似てますお。

そうねえ、ちょっと似てるね。

 

ぼく、オウチ帰ったら、セイユー行きますお。

行こうね。

 

「お願いします」って、頼むこと?

そうだよ。

 

無くなるの、廃車?

そだね。

 

私はブロッケンジュニアなんです。ブロッケンジュニア好きだよ。

そうなんだ。

 

障害物って、なに?

邪魔なものよ。

 

ケンちゃん、「エール」みた?

みたと思うよ。

 

さつまいも、食べるものでしょう?

そうだよ。

 

極める、って、なに?

最後までいくことよ。

 

ヒライ先生、死んじゃったね。

そうね。

 

七面鳥、トリでしょう?

そうだよ。

 

年格好って、なに?

何歳くらいで、どんな体格をしてるか、だよ。

 

お母さん、おばあちゃんちで個展作ったでしょう?

そうねえ。

 

ところがって、なに?

そうだったけれど、よ。

 

たしなめるって、なに?

そんなことしないのよ、よ。

 

ミエコさんて、お母さん、ミエコさんでしょ?

そうよ。

 

ウクライナって、なに?

そういう国の名前よ。いまロシアから戦争を仕掛けられて困ってるのよ。

ぼく、戦争嫌ですお。

お母さんも。

 

シカゴは外国?

そう、アメリカよ。

 

 0・3カ月分1371円の賞与を頂戴し障害者施設より息子帰宅す 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西暦2022年文月蝶人映画劇場その6

2022-07-28 11:10:14 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2916~920

 

1)ヒュー・ウイルソン監督の「ポリスアカデミー」

1984年の第1作だが、その出たとこ勝負のアナーキーさがとても宜しい。娯楽映画はこれでいいのら。

 

2)イヴ・アレグレ監督の「美しい小さな浜辺」

題名はよろしいが、中身は悲惨1948年のおふらんす映画。ジェラール・フィリツプも下らない映画に出たものだ。

 

3)ゴダール監督の「決別」

原題は「Hélas pour moi」だから「決別」はナンセンスで、「可哀想なオラッチ」くらいでいいのではなかろうか?昔はゴダールという名を聞いただけで、凄い、素晴らしい、と反射的に賛嘆していたおらっちであるが、登場人物に言わせるゴダールの台詞に格別の意味を求めても所詮は詮無きことではないだろうか。映像もドパルデューがフリチンで出てきたりするが、所詮はゴダールの映画遊びの素材に過ぎず、退屈である。

 

4)ゴダール監督の「ゴダールの探偵」

映画というメディアを駆使して、映画と戯れながら、人間を、世界を、映画自体を考究していくのがゴダールの常套手段であるが、その回路と流儀は難解で、ゴダールその人は別に万人に分かってもらおうと思ってもいないようだ。

頭の良い人が、彼の映画の「意味」を解き明かすことが出来たと思っても、その当否はゴダール自身にも確言できないのは、彼が意味のある映画を作ろうとはしていないからだ。

世にいう「映画」のすべてを否定し、解体しながら、たえず更新しつつ再構築していくこと自体が彼の映画作法なので、それを観客が面白がるか否かは、ゴダールにとってはどうでもいいことになる。これは(も)、そういう意味を持った無意味な映画だ。

 

5)ゴダール監督の「メイド・イン・USA」

1966年のゴ監督の疑似犯罪喜劇政治なんでもかんでも映画だが、あまり機知も映像も冴えず、見どころは60年代末のカジュアル・ファッションくらいか。アンナ・カリーナの顔もアップになると鈍重ずら。

 

   われわれの識字の力を信じない参院選のかな文字ポスター 蝶人

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奥村晃作最新歌集「象の眼」を読んで

2022-07-27 13:44:58 | Weblog

照る日曇る日第1768回

 

2019年7月から今年22年の3月までの598首を精選した、尊敬する歌人の最新歌集である。

 

「象の眼」というタイトルは、「<象の眼>と妻が言いたり<象の眼>は疲れ切ったる時のわれの眼」という歌に拠るものだが、今年86歳という高齢ながらZoomを駆使して歌会にセミナーに日参。その若者を凌ぐ若さと情熱にうたれる。

 

氏の師匠は宮柊二であるが、ここでは「日中戦争と宮柊二の戦闘参加」と題された数首を紹介しよう。

 

 団長を二回務めき『山西省』<柊二の旅>に三度参加し

 柊二らが戦いし敵は中共の朱徳指揮下の八路軍なりき

 伸びきったゴムみたいだね七十万の日本兵中国に釘付けされて

 殺・奪・焼の限りを尽くす作戦を剿共作戦と書物は記す

 包囲され隊全員が殺されたいくさも数多「山西省」で

 

1939年以来5年間に亘って、大陸で中国兵と戦った宮柊二は、その戦闘体験を歌集「山西省」で生々しく歌っている。

 

 磧より夜をまぎれ来し敵兵の三人迄を迎へて刺せり

 ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば聲も立てなくくづをれて伏す

 息つめて闇に伏すとき雨あとの土踏む敵の跫音を傳ふ

 

まるで映画の中のワンシーンなのに、自分が主体になっている劇的な行為が、冷静かつ写実的に歌われている。この、自分と自分を取り囲む環境を、両の目玉が見た通りに描写する「只事歌」の極意を、奥村氏は、おそらく師から学んだのだろう。

 

奥村氏は、宮柊二が1986年に「歌集 純黄」で詠んだ代表歌、「中国に兵なりし日の五ヶ年をしみじみと思ふ戦争は悪だ」を再三再四に亘って引用し、直近のウクライナ戦争に際しても即時停戦を願う歌をツイッターを通じて発信されているが、それは世間一般の単なる反戦歌ではない。

 

それは師の作品と生き方に親近する中で、おのずから血肉化された、「宮修二直伝の反戦思想」であり、氏は戦後77年間、これを武器として老骨に鞭打ち、日々風化する日常に抗して戦い続けてきたのである。

 

  瓶の中にメダカの子供がいるかいないか確かめてから水捨てる妻 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.129」

2022-07-26 10:44:29 | Weblog

西暦2022年文月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第416回

 

  • 市民サッカー大会優勝祝賀会監督の謝辞

本日は、私たち「丹波ビクトリー」のために、かくも盛大な優勝祝賀会を催していただき、選手一同身に余る光栄と感謝、感激いたしております。*1

 

なにせ2年前に誕生したばかりのにわかサッカーチームなので、発足当初は、選手はいない、練習場はない、マネージャーはいない、お金はないはで、ナイナイ尽くしのスタートでありました。

 

たまたまブラジルのサンパウロに移住して、大きなコーヒー園を経営している私の友人がおりました。ある日電子メールで、そっちに中田選手より上手なブラジル選手がいたらユニクロ価格でこっちに輸出してくれないか、と駄目もとで頼んでみたのです。*2

 

そしたら、驚いたことには、半年後に突然精悍な顔つきのブラジル人が自宅にやってきて、「コンニチハ、寺尾監督いますか。私サッカー手伝います」と、片言の日本語であいさつするではありませんか。

 

それが、今日も決勝戦でハットトリックをやってのけた、わが「丹波ビクトリーズ」の司令塔アルシア・デ・ローラさんであります。デ・ローラさんの加盟によって「丹波ビクトリー」は生まれ変わりました。2つの遺伝子がミックスされて強力かつ斬新なスポーツ集団が誕生したのです。

 

私は痛感いたしました。こんなローカルな地方都市にも、いまや新しいインターナショナルな風がぶんぶん吹きまくっている。経済や文化と同様、21世紀のスポーツはサッカーでも野球でもプロでもアマでも本格的なグローバリズムの時代に突入しちゃったな、とつくづくそう思うのです。*3

 

ちなみに、デ・ローラさんは、現在うちのチームのMF以外にも、郡是市の郡是中学校の体育の先生として大活躍をされています。

 

市長さんの夢は、わが郡是市を、国籍や国境を乗り越えて世界中の人々が自由に働き、交流し、スポーツを楽しむ世界一のボーダーレスタウンに変身させることだそうですが、本日の祝賀会がその輝かしい出発点になればいいな、と心から願っております。

 

  • アドバイス
    • 1“ゼロからのスタート”で、見事に市民サッカー大会で優勝を飾った監督の苦労話である。スポーツマンらしく喜びを率直にあらわし、市民の支援に感謝すると共に、平素の思いを忌憚なく披露する格好の舞台である。
    • 2苦肉の策の海外選手強化策が実ったことで、国際的な人材交流の意義、グローバリゼーションの真価に目覚めた監督の感慨が実感をともなって語られる。
    • 3南北問題や先進国対発展途上国の貧富の差、デジタル・デバイスなどの難問は山積しているが、寺尾監督は地球市民の一員として新しい21世紀のサッカーを創造しようとしているようだ。

 

「棺」てふ漢字を眺めていても分からないまさか「ひつぎ」と読むなんてことは 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本日休演。

2022-07-25 22:19:14 | Weblog

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

池上彰・佐藤優対談集「真説日本左翼史」を読んで

2022-07-24 09:47:45 | Weblog

照る日曇る日第1767回

 

下巻を先に読んでしまったのだが、上巻もなかなか面白く勉強になりました。

どこが面白かったかというと、例えば、

 

「♪聞け万国の労働者」が、軍歌「歩兵の本領」と同じ栗林宇一の作曲だとか、日共の「所感派」と「国際派」の分裂、網野善彦選手が山村工作隊の指揮をしていたとか、いま60年安保条約文を読み直してみると、米国の日本防衛義務、国内暴動鎮圧権剥奪を明記してあるから、旧来よりそれなりに改善されていた、とか、共産党の野坂スパイ説とか、黒寛の反スタ論文や社青同解放派のローザ・ルクセンブルクに拠る反スタ論の先進性とか、2.1スト当時の共産党が(現在の党籍国籍規定とは違って)日本人、琉球人、朝鮮人によるインターアナショナル組織で世界革命を志向していたこと、などである。

 

いまや共産党は共産主義も社会主義も同義であるとみなし、天皇制はもとより日米安保、自衛隊まで容認する政策を大胆に打ち出しているが、「敵の出方」によっては暴力に訴える革命行動まで否定したわけではない。しかしおらっちが見るところ、ポスト上田・不破の志位、小池執行部に、そんなゲバルト根性があるとは到底思えないずら。

 

スポンサーからは広告料、消費者からは広告抜きの視聴料2重に儲けるユーチューブ 蝶人

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西暦2022年文月蝶人映画劇場その5

2022-07-23 08:19:25 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2911から915

 

1)ジョン・ヒューズ監督の「ブレックファーストクラブ」

1985ん年の懐かしい青春映画。こういう映画はもう2度と現れないだろう。

 

2)アリ・アッバシ監督の「ボーダー 二つの世界」

2018年のスウェーデン製のSF映画。生き残りの異端的人類が現代社会に細々と生をつなぐ侘びしい姿よ。

 

3)アンヌ・フォンテーヌ監督の「ココ・アウラン・シャネル」

シャネル女史の半生の2009年の映画化だが、彼女の負の側面にまったく触れないのは解せないずら。

 

4)コーエン兄弟監督の「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」

デイヴ・ヴァン・ロンクの自伝を2013年に映画化。売れない若手フォーク歌手のある日を描いた青春譜だが、別にどうってことないぞ。

 

5)ジョー・バーリンジャー監督の「デッド・パーティ」

30人以上の女性を惨殺しながら愛する妻子となに喰わぬ顔をして暮していた2019年の殺人鬼の実話物語。こういう男が実際にいるんだなあ。

 

  国内外にオミクロン株を撒き散らすアベ国葬を葬り去るべし 蝶人

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.128」

2022-07-22 09:36:07 | Weblog

西暦2022年文月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第415回

 

 

市議会議員当選を祝う会での友人の祝辞

 

事務局長の潮田益子です。*1

 

京須虹子さん、虹子さん、あなたという人は、遂に遂にやってくれたわね。思えばわたしたちが人口5万人の玉川市に「たまがわの自然と人間を守る会」を立ち上げたのは5年前だった。

 

その時のメンバーはあなたと私と波多野静子さん、たった3人の主婦でした。*2

 

でも見て頂戴、この会場を埋め尽くした人、人、人――。どれほど多くのボランティアさんや市民の方が必死であなたを応援してくれたことか。それを思っただけで私は涙が溢れてきます。*3

 

そうなのね、やっぱり地球と自然に優しく、お年寄りと子供たちを大事にしよう、という私たちの考えは間違っていなかったのね。だからこそ5768人もの有権者が私たちを支持してくれたのね。

 

ありがとう、ありがとう皆さん。おめでとう、おめでとう虹子さん。今日は「たまがわの自然と人間を守る会」にとって絶対に忘れられない日となりました。*4

 

さあ、虹子さん、皆さん、乾杯しましょう。明るく楽しく住みよい明日の玉川市のために!

 

アドバイス

1女の友情に強く結ばれたNGOのメンバーが初めて市会議員に当選した。喜びに満ち溢れた肉声が選挙事務所に響き渡る。

2即興的なスピーチだが淀みなく言葉が流れ出る。祝祭的な気分がいっぱいである。

3政策を振り返り、支持者に感謝することを忘れてはいけない。

4最後は乾杯の音頭となっ一気に締めくくられた。

 

 芸能人の愚にもつかないコメントを垂れ流しているモーニングショー 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西暦2022年文月蝶人映画劇場その4

2022-07-21 10:44:28 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2906~910

 

1)エドワード・スウィック監督の「ブラッド・ダイアモンド」

2006年製作の「紛争ダイヤ」を巡るディカプリオ主演、ジェニファー・コネリー共演のサスペンス映画。

 

2)インドゥジビ・ポラーク監督の「イカリエ―ⅩB・1」

珍しや1963年のチェコ製の宇宙SF映画。技術的にはまだ未熟な時代の作品だが、のちの「スタートレック」なかより「宇宙への畏敬」の如き精神が脈打っている。

 

3)アルハンドロ・アグレスティ監督の「イルマーレ」

2000年の韓国映画を2006年にキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロク共演でリメイクしたSF恋愛映画ずら。

 

4)スコット・ヒックス監督の「幸せのレシピ」

男女2人のシェフの争いが子供を挟んでまるく収まる「子はかすがい」な2007年のリエイク映画ずら。

 

5)スティーブン・ダルドリー監督の「ものすごくうるさくて ありえないほど近い」

9・11で死んだ父親を追慕する少年とそれを見守る人々の愛のドラマ。トム・ハンクスが出るとやはり存在感がある。

 

    世の中をこれほどまでに悪くした張本人をなぜ国葬にする 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シャーウッド・アンダーソン著・上岡伸雄訳「ワインズバーグ、オハイオ」を読んで

2022-07-20 09:22:13 | Weblog

照る日曇る日第1766回

 

作者の故郷と思われるアメリカの小さな田舎町を舞台に、深く静かに繰り広げられる孤独な魂たちのにがい無言劇。

 

それは先行するO・ヘンリーの予定調和とも、後続するフォークナーのモノガタリとも違って、人間の裸の生の原罪を凝視する厳粛さと、鋳型を内部からぶち破る異様なエネルギーに満ち溢れているようだ。

 

けれども、永遠に叶わぬ生と性への渇望は、いつしか哀しい祈りとなってしまう。

 

   唐突に息子を怒鳴り散らすのは私に巣喰う悪魔の私 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.127」

2022-07-19 11:02:24 | Weblog

西暦2022年文月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第414回

○市議会議員当選を祝う会での夫の謝辞

*1京須虹子の夫でございます。

このたびは玉川市議会議員選挙にて絶大なるご支援ご協力を賜り厚くお礼申しあげます。*2

実は前回の選挙得票がたったの123票。あまりにも悲惨なものでしたから「また負けたら恥ずかしいから止めろ」と妻に言ったのですが、会の事務局長の潮田さんと選挙対策の波多野静子さんが「止めろというのは負けろってこと?」とねじ込んで来られましてね。

「じゃあ今度はなにもしないから勝手にしなさい」と宣言しまして、ほんとに私は今回の選挙運動は何も手伝わなかったのです。そしたら意外も意外、なんと虹子がトップ当選と言われてびっくり。

実はいまなお家内が市会議員なんて嘘じゃないか、夢を見てるんじゃないかと思っておる次第です。*3

しかし家内はいっけんチャランポランに見えても、私なぞよりよっぽど肝が据わっております。きっと皆さまのため、玉川市のために頑張ってくれると思います。

陰ながら私も家内を内助いたす所存ですので、どうか皆さまのご指導ご鞭撻をお願いします。

○アドバイス

*1 前段に引き続き新人議員の夫君が登壇し、照れながら支持者にお礼をいうシーンである。

*2 選挙戦の内幕を暴露しながら候補者の夫という微妙な立場をユーモラスに語るなかなかの人物である。

*3 笑いにまぎらせながらもしっかり細君への応援を呼びかけているあたりはさすがである。

 

  シネシネと念じておれば本当にシヌこともあるのかこのたびのシ 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

永田和宏著「あの胸が岬のように遠かった」を読んで

2022-07-18 09:04:50 | Weblog

照る日曇る日第1765回

 

前半は永田選手の半生記から始まるので、いささか意外の感もあったが、なるほど琵琶湖の西岸に生を享けたからこその、悠揚迫らぬあの人柄と納得がいった。

 

本書には「河野裕子との青春」という副題が付いている。2人の出会い以降のその熱烈な恋愛振りは、予想した通りであったが、初性交後の中絶、2人共々の自殺未遂!等々、尋常ならざる波乱万丈の青春回想記なので驚いてしまった。

 

もう随分昔の話なのに、奇跡的に保存されていた御両人の手紙をたっぷり引用し、お互いの短歌を引用しながら縷々語りだされる運命的な大恋愛物語は、ご本人には失礼ながら、まさしく小説より面白く、近来稀なスリリングな読み物であった。

 

「これは私の青春の証である。他にも生き方があったのではなく、このようにしか私には生きられなかったのである。悔いだらけの青春ではあるけれども、もういちど生まれて来がても、今日まで生きて来たのと同じ青春を選び取ろう」という「あとがき」の言葉が、この1冊をあざやかに切り取っている。

 

   生きているそのこと自体が楽しくてぐるぐる回るメダカ8匹 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西暦2020年文月蝶人映画劇場その3

2022-07-17 09:50:29 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2900~905

 

1)ポール・バーホーベン監督の「ロボコップ」

簡単に人殺しが行われ、死んだはずの人肉を加工してサイボーグに仕立て上げる1987年のけたくそ悪い活劇ずら。

 

2)アーヴィン・カーシュナー監督の「ロボコップ2」

1990年のおぞましい続編。なんでロボコップの露出された顔を攻撃しないのか不思議ずら。本編よりなかで放映されるCMのほうが面白い。

 

3)フレッド・デッカー監督の「ロボコップ3」

なんと日本企業に買収されたニンジャと対決するロボコップ。健闘するロボコップにお辞儀する日本人社長が滑稽なり。1993年製作。

 

4)スティーブン・ダルドリー監督の「ロボコップ」

2014年の最新版ロボコップなれど、阿呆らしさは変わらず。いずれ民間会社が警察を運営する日が来るのだろうか>

 

5)ティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」

最後は一応取ってつけたようなハピーエンドに終わるのだが、終始不穏な不気味さに覆われている2005年の変態映画。

 

    教会と政治家と母と自分との絆を断ち切る2発の銃声 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

井上洋介作「まがればまがりみち」を読んで

2022-07-16 09:00:03 | Weblog

照る日曇る日第1764回

 

「ひぐれの町の曲がり道 何が出るのか曲道」という7・5調の枕言葉に乗せて、大きなガマさんや、ヤモリや、まよい電車や、毛虫、もぐら、煙突男などが登場する。

 

ページをめくるたびに、さあ今度は何が出てくるのだろう?とワクワク楽しめるのが、本書の最大のチャーム・ポイントだろう。

 

おらっちは、「水まき小僧」がいちばん面白かったな。

 

  「おれのバスを泥で汚すな」と息子に怒りしコナガイ氏死す89歳

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする