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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

いつか私が人間だった頃

2021-05-31 10:56:01 | Weblog

これでも詩かよ 第293回

いつか私が鳥だった頃、私は瑠璃色の翼で覆われたルリビタキだったが、
赤いモミジの葉っぱをついばんでいる間に、飢えた台湾リスに食べられてしまった。
いつか私が魚だった頃、私はウナサブロウという名の天然ウナギだった。
ある日滑川の巣で昼寝をしているところを、川遊びをする子供たちの網に飛び込んだために、校長先生のまな板でかば焼きにされてしまった。
いつか私が植物だった頃、私は鎌倉市の市花で崖に咲く絶滅寸前のリンドウだったが、近所のタカギさんの電動芝刈り機で、あっという間に他の草花と一緒にチョン切られてしまった。
いつか私が動物だった頃、私はメリー洋装店のジョンという名の犬だったが、綾部保健所の凶暴な犬捕りに捕まって、ワンという暇も与えられず、締め殺されてしまった。
いつか私が人間だった頃、四季は温暖に巡り、花々は愁わしく香り、人々は私に優しかった。
ところがある日私は、脇道から突然出現した自動車に撥ねられて空高く跳び上がり、くるりと一回転して、地べたに叩きつけられた。
救急車で病院に担ぎ込まれ、九死に一生を得た私だったが、月命日の母が天上から手を差し伸べてくれたのだった。
それから私は、タンポポの好きな美しい娘に恋して、2人の愛らしい子供に恵まれ、蓮の葉っぱの上の小さなおうちに住んで、いついつまでも仲良く暮らしたことでした………


       世も年も命も尽きて皐月尽 蝶人
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そんなこたあ、どうでもええやん

2021-05-30 12:52:53 | Weblog

これでも詩かよ 第292回


台湾リスが、庭の蜜柑を全部食べちまったよ
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
ご覧、カラスどもが、寄ってたかってトンビを苛めてる
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
売れない絵描きは、どうやって食べていくんだろうね?
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
傲岸不遜な男会長が、男みたいな女会長にすり変わったね
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
コロナ禍で、五輪が御臨終なんだって
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
関西ではイソジン知事が「緊急事態は終わった」と叫んでいるんだって
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
新型コロナウイルスのワクチンが、てんで日本に届かないんだって
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
アホ馬鹿官僚どもが、相変わらず権力者に忖度してるね
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
どうみてもこの国の保守政権は、延々と続きそうだね
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
ロシア、中国、ビルマ、世界中で専制主義が跋扈してるね
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
一握りの大金持ちが富を独占してるんだって
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
温暖化で、地球もそろそろ終わりだね
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
きのう同級生のヨコヤマ君が亡くなったそうだ
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
どうもちかじか関東大震災がやって来そうだね
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
いまあたしが死んだら、あなたはどうするの?
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん
ねえ、お前さんは、だいぶ前から死んでるような気がするんだけど
ええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん

 ガントルガ・ガントルデネ即ガナちゃんと愛称されし照ノ富士勝つ 蝶人
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山崎浩太郎著「クラシック音楽の黄金の日日 演奏史譚1954/55」を読んで

2021-05-29 14:04:44 | Weblog

照る日曇る日 第1585回

もっと長生きできたのに、何故か生きる気力を喪失して自死同然にフルベンが死んで、トスカニーニはワーグナーの演奏が途中で分からなくなって突如引退し、その直前に未来を嘱望されていた後継者のカンテルリが飛行機事故で夭折し、老王の死を見届けた若き帝王カラヤンが世界の頂点に躍り出て、マリア・カラス、グールド、バーンスタインが旧弊を革新せんと大きく羽ばたく……。
本書は、そんなクラシックの演奏の革命的転換期であり、二度と帰らぬいわゆる一つの黄金期にあたる時代を、当時欧米を旅していた吉田秀和、大岡昇平、福田恆存、山根銀二などの印象記あ記録を軸に再現していく。
現代音楽を巡って揺れ動く吉田秀和と一貫してぶれなかった別宮貞雄、18歳でアメリカに留学していたミッキー安川の生々しい人種差別体験、群馬交響楽団の苦難を救った映画「ここに泉あり」、国際政治に翻弄されたハンガリーのピアニスト、シフラの有為転変の波乱に満ちた生涯、あたらジュリアード音楽院に留学して名匠ガラミアンに就いたために悲劇の生涯を送ることになった本邦の天才ヴァイオリニスト渡辺茂夫などなど、思わず膝を乗り出してしまう珠玉のエピソードもてんこ盛りに積み上げられ、コロナ狂想曲喧しい今日このごろの憂さを吹き飛ばしてくれる、堪らなく面白くて為になる必読の音楽史譚ずら。

  たまたまのたまたまたまのたまたまの純利益4.9兆 蝶人
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西暦2021年皐月蝶人映画劇場その3

2021-05-28 16:09:50 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2568~77

1)グザヴィエ・ドラン監督の「トム・アット・ザ・ファーム」
2013年製作の男同志の愛の物語だが、あんまり惹かれなかったのは私が最近車に轢かれたからだろう。
2)トーマス・ビルテンゾーン監督の「ホームレス」
2014年のドキュメンタリー映画。52歳の主人公はモデル兼ふぁちょんカメラマンであるが毎晩ンNYのビルの屋上で寝ているホームレス。雨の日なんかは地べたまでふきこんでベチョべちょになるんじゃないかと心配。58歳の今日もまだそんな暮らしを続けているんだろうか?
3)ピーター・ワーナー監督の「沈黙の絆」
パーテイを開いてどんちゃん騒ぎをしていた阿呆莫迦高校生に抗議した男が殺害されたが、自分たちの不利になるので真実を喋らない「沈黙の絆」を結成してぐあんばる2010年の作品ずら。
4)ルーシー・ボルレト監督の「欲望の航路」
男だけの船にたった一人乗り組んヒロインが次々に男どもと性交するおはなし。やれやれ。
5)リチャード・ピアス監督の「ノー・マーシー」
リチャード・ギア、キム・ベイシンガー主演の1986年製作のギャング映画。キム・ベイシンガーが魔性の女という役どころだが、どうもなあ。
6)ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「複製された男」
瓜二つの男が辿る波乱の生涯!? 初めは面白そうだったが、しばらくすると白けていうのは何故? 2013年のカナダ映画ずら。
7)8)9)トム・クルーズ主演製作の「ミッション・インポッシブル1、2、3」
1はブラアン・デ・パルマが演出しエマニュエル・ベアールがヒロインのわりとちゃんとしたアクション・スパイ映画。
2は監督がジョン・ウーに変わって2000年に製作されたがタンディ・ニュートンがいまいち。嫌がる女を惚れているからというて危険な目に遭わせるトムも嫌な男だ。
3は2006年に製作され監督はJ.J.エイブラムスだが、味方のはずが敵でか弱い妻のはずが意外や意外の大活躍を見せるのでびっくらぽん。
10)クリストファー・マッカリー監督の「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」
2018年製作のシリーズ第6作ずら。トム・クルーズも一生懸命走ったり跳んだり滑ったりしているが、歳をとった。そしてあのふやけた顔に接吻する女優たちも更けている連中ばかりだ。

  シリーズも終わりを迎えトム・クルーズただの中年男になりゆく 蝶人
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東直子・穂村弘著「短歌遠足帖」を読んで

2021-05-27 13:36:17 | Weblog

照る日曇る日 第1584回

著者の2人がゲスト共にいろんな所を訪れて短歌を「吟行」しようという面白そうな企画です。
こういう気軽な企画物とはいえ、そこにかえって登場人物の隠された人柄や人間性や資質のあれやこれやがはしなくも露呈するのはじつに興味深いものでした。
ゲストは順番に岡井隆、朝吹真理子、藤田貴大、萩尾望都、川島明、訪問地は順番に井の頭公園、鎌倉、東京タワー、上野公園、大井競馬場ですが、個人的に面白いと思ったのは、岡井&井の頭、萩尾望都&上野公園、予想にたがわず詰まらないと思ったのは、朝吹真理子&鎌倉の組み合わせでした。
ちなみに岡井大先生の井の頭行きは、2012年1月19日。逝去はその8年後ですから、当時はまだまだ元気溌剌で、お洒落なセーター姿も著超愛らしく、スワンボートに若い女性を乗せて奥の奥まで漕いだ秘話などを、さりげなく語っておられます。
余裕があればそれぞれの具体的な作品を引用したいところですが、今日は右腕が痛いので、これにて打ち止めといたします。全体を通じて、やはり穂村弘の短歌はうまいなあ、と思わされた1冊でした。

いくつもの時間を同時に生きるため百円ショップの時計を買い込む 蝶人
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川上未映子著「水瓶」を読んで

2021-05-26 15:03:56 | Weblog

照る日曇る日 第1583回

「乳と卵」で芥川賞、「先端で、さすわさされるは そらええわ」で中原中也賞を獲った作者による2012年の詩集。表題作のほか「戦争花嫁」「治療、家の名はコスモス」「バナナフィッシュにうってつけだった日」など全9編をあつめた詩集です。
川上選手のばやい、詩と小説とは相互にあまり大きな距離を感じないのだが、今回はそのスタイルが童話や夢物語のスタイルをとっているのが一つの問題ではなかろうか。
この人は「乳と卵」や「あなたたちの恋愛は瀕死」のようなリアルな題材を取り扱った時のほうが一等詩的ファンタジーの威力を発揮すると思うのだが。

 CMでけなげに笑う杏なれど心の中ではきっと泣いてる 蝶人
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西暦2021年皐月蝶人映画劇場その2

2021-05-25 14:25:02 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2558~67

1)小林正樹監督の「怪談」
武満徹の音楽は、映像に対峙し、映像と共に新次元へ飛翔する独創的な「音の創造」に全力を尽くしている。
2)黒沢清監督の「アカルイミライ」
2003年公開の話題の映画。脚本と演出はいわずもがな、オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也の熱演に加えて北村道子の衣装、蓮見重臣の音楽がよろしい。
3)久松静児監督の「警察日記」
田舎の警察を舞台に様々な人間模様を描く1955年の映画だが、森繁、三国、伊藤、三島など有名俳優がごまんと出演するわりには面白くない。
4)森崎東監督の「喜劇 女は度胸」
1969年の松竹映画で、喜劇と銘打たれているからにはコメディなんだろう。寅さん以前の渥美清などがガアガア騒ぐが煩いだけ。とりえは映画初出演の倍賞美津子くらいか。
5)大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」
大島得意の同性愛映画。音楽と演技で坂本龍一が健闘。しかしどんな日本人でも、こういう戦争映画ではファナチックな愛国主義者に先祖帰りするのは何故だろう。
6)和泉聖治監督の「お日柄もよくご愁傷さま」
父親が急死した日に仲人を務めるのは大変だとよく分かる1996年の喜劇映画。式場で「喝采」を歌う清水ミチコが絶品ずら。
7)市川昆監督の「どら平太」
2000年に公開された山本周五郎原作の痛快時代劇で、脚本が黒澤明、木下恵介、小林正樹、市川昆、橋本忍という超豪華メンバーずら。
8)大森立嗣監督の「さよなら渓谷」 
吉田修一の原作を2013年に映画化。かつて自分を強姦した男と色々あった後で一緒に暮らすようになる。果たして実際にそんなことがあり得るのかは分からないが、この映画の中では確かにそれが起こる。そして女は「幸せになってはいけないと誓ったのに、幸せになりそうになったから」突然男と別れるのよ。ヒロインの真木よう子が迫真の演技ずら。
9)犬童一心監督の「ゼロの焦点」
松本清張のお馴染みの原作を2009年に再映画化。さきの野村監督作品の久我美子、高千穂ひづるが本作では広末涼子、中谷美紀になっていてその点で大きな差がついた。
10)落合賢監督の「太秦ライムライト」
「5万回斬られた男」福本清三主演の2014年の時代劇懐かし映画。今は亡き五味龍太郎にも出てほしかったずら。

  五輪にさえNoと言えない君よ いったい何にNoと言えるの? 蝶人
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「風の中のナウシカ第2巻」を読んで

2021-05-24 12:13:03 | Weblog

照る日曇る日 第1582回

強国トルメキアの侵攻に対しおんぼろ飛行機で偵察を続けるナウシカは、土鬼(ドルク)の船団に遭遇、そこに王蟲の大軍が突撃して三つ巴の戦いが繰り広げられる。
ナウシカは、土鬼の罠に嵌った王蟲の危機を救おうと孤軍奮闘するのであるが、あのハイテクのかけらもない搭乗機と武器で、どうして大過なく生き延びることができるのか不思議だ。

  「ガナちゃん」と愛称されし照ノ富士奮戦苦闘賜杯を掴む 蝶人
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俵万智著「牧水の恋」を読んで

2021-05-23 10:39:27 | Weblog

照る日曇る日 第1581回

最初は恋に恋するようにウブな学生だった牧水が、超美貌の人妻と巡り会って恋に落ち、さんざん気を揉ませられた挙句に晴れて性交し、その喜びやら煩悶やら悲哀なぞをいちいち歌にして爆発させてゆく。これぞ虚実皮膜の全面展開、藝実一致の浪漫世界であるぞよ。
しかしすでに子持ちの海千山千の人妻相手では歌は詠めても貧乏な苦学生に勝ち目はない。なくなく諦めて斗酒なお辞せずのヤケ酒を浴びるほど鯨飲するのだが、後妻のアフターフォローも虚しく結局はこの世紀の大恋愛の後遺症で若死にしていく牧水を哀れというか、自業自得というべきか。
しかしその空前絶後の悲恋があれほどの名歌の数々を生んだことを思えば、もって瞑すべきか。
なんでこの歌人が若山牧水の評伝を書くのか分からなかったい、考えてみれば、俵万智ほどのロマンチストはざらにはいないのだった。

 このメール受信拒否は出来ませんと言いながらPR情報をどんどん送り込むau 蝶人
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川上未映子著「乳と卵」を読んで

2021-05-22 11:26:14 | Weblog

照る日曇る日 第1580回

今頃になって読んでみた第138回芥川賞の受賞作品。ここ10年ほどこの賞を受賞した作品を読むたびに失望と落胆、選考委員の阿呆莫迦さ加減に憤りさえ覚えてきたが、この人の、この作品での受賞は頷ける。
大阪弁を交えた文章も知的だし、大阪から上京してきた巻子と緑子を巡る軋轢が最後の最後である種の和解にいたる終わり方も素敵。「才能アリ」というのはこういう作家をいうのら。
されどこれを何で映画や芝居にしないのであるか、不可解ずら。

撥ねられてのたうつ私に駆け付けて「大丈夫ですか」と聞く撥ねたその人 蝶人
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「高橋アキplays武満徹」てふCDを聴いて

2021-05-21 11:13:25 | Weblog

音楽千夜一夜第475回

自宅でリハビリの合間にふと思い立って高橋アキさんが弾く武満徹のピアノ曲を聴いてみました。
収録されているのは1979年作曲の「閉じた眼」から始まって「ピアノ・ディスタンス」「遮られない休息」を経て、1992年の「ゴールデン・スランバー」に終わるいずれも10分にも満たない短い曲ばかりであり、もう20年以上前の古い録音であるが、武満の思いやものいいがまっすぐ直截聴く耳に届いてくるのはなぜでせう。
いまや「世界のタケミツ」になった武満ですが、高橋選手のピアノから転び出てくる音は、けっしてそのように神格化された「タケミツ」ではありません。
いわば普通の、等身大の武満徹という音楽家のお腹の中で鳴っていた、おおらかでまっすぐな音であり、なんかお隣に住んでいるお兄ちゃんがつくった、親しみやすい、出来たての音楽のように、滋味深い愛情をもって聞こえてくるのが不思議です。

  緑色のブリキの缶の蓋を開けサクマドロップを嘗める楽しさ 蝶人
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白井聡著「主権者のいない国」を読んで

2021-05-20 10:11:49 | Weblog

照る日曇る日 第1579回

タイトルに惹かれて手に取った今年3月に初刷が出た著者の最新刊であったが、「主権者のいない国」と題された終章までは、いろいろな媒体に発表された論考の寄せ集め的集積であり、せんじ詰めれば先に出た「国体論」のリピートなので、なにやら力が抜けた。
著者と共に小生も、この国の最大の毒虫は、米国のである自公維国民党政権ではなく、彼らの拝跪を許し、主権者の義務と責任を放棄している民草自身だと思っているので、ほんの数ページしかない空白の終章を早急に書き継いでもらいたいものである。

 またしても脳科学者の妄言を「その時歴史が動いた」で聞かされる 蝶人
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リスト編曲・シブリアン・カツァリスのピアノ独奏で「ベートーヴェン交響曲全集」を聴いて

2021-05-19 13:03:30 | Weblog

音楽千夜一夜第474回

ベートーヴェンの交響曲がミミタコで嫌になってきたら、この6枚組をお勧め。
リストの編曲ときたら天下一品だし、カツァリスの演奏も水を得た初ガツオの如く新鮮ずら。
ベトちゃんのシンフォニーが、いかに面白く滋味に満ち溢れているかを、秘密の部屋の裏窓のような思いがけない角度から、もしかすると管弦楽の正編よりも楽しく鑑賞することができます。
なお第6番にはグレングールド選手の名盤もあるので、不要不急の良い子の皆さんは、ぜひ聴き比べてみようではないか。

「南武線見てますよ」と息子いう見るべき番組は見ているコウ君  蝶人
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内海健著「金閣を焼かねばならぬ」を読んで

2021-05-18 10:49:40 | Weblog

照る日曇る日 第1578回

林養賢と三島由紀夫という副題が付いているが、文学や哲学にも造詣の深い精神病理学者の著者が、金閣寺を焼いた人物と、その事件を小説に書いた作家を俎上に載せてあれやこれやの蘊蓄を語るが、どうもあんまり共感するところはなかった。メスは鋭利だが、患者の急所を突いている手術とは思えなかったのである。
犯人が金閣寺を焼くに至った動機はなかった、と著者は断じるが、三島の「金閣寺」の冒頭にある主人公の故郷の描写にそのヒントがあるのではないだろうか。
―「たとえ雲一つないように見える快晴の日にも、一日に四五へんも時雨が渡った。私の変わりやすい心情は、この土地で養われたのではないかと思われる」
私は犯人の故郷と遠からぬ丹波の綾部という盆地に生を享けたが、上記の引用文と通底する裏日本海特有の陰鬱な気候条件は、田舎育ちの幼い少年の精神に憂鬱と陰に籠った破壊衝動をしたたかに蓄積し、金閣こそ焼かなかったものの、その後の人世の展開に大きな影響を与えた、と考えている次第である。

半蔵門の文楽すべて中止となる慌てて切符を買わずに良かった 蝶人
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西暦2021年皐月蝶人映画劇場その1

2021-05-17 12:59:42 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2548~57

1)K・S・ラヴィクマール監督の「ムトゥ踊るマハラジャ」
1995年のインド製ダンスミュージカル映画ずら。公開当時は症驚いたが、いま見ると退屈でさして面白くもない映画だ。
2)ジョン・ランディス監督の「星の王子ニューヨークヘ行く」
エディ・マーフィー主演の1988年の映画。アフリカ某国の王子が理想の嫁捜しにNYにやって来るというお話そのものが気に入らないずら。
3)ジョン・スタージェス監督の「老人と海」
ヘミングウエイの原作を1958年に映画化。スペンサー・トレイシーの名演をみよ。
4)マルセル・カルネ監督の「嘆きのテレーズ」
ゾラの小説「テレーズ・ラカン」を1953年に映画化したが、シモーヌ・シニョレとラフ・ヴァローネが熱演。いい映画です。
5)イングマール・ベルイマン監督の「魔術師」
ベルイマン初期の1958年のモノクロ映画だが、モノクロゆえの魔術的な映像世界に酔いしれる。この頃のイングリッド・チューリンは美しい。
6)レイ・エンライト監督の「スポイラース」
なんとマレーネ・ディートリッヒ、ジョン・ウェイン、ランドルフ・スコットが競演する1942年の西部劇。悪役スコットと善玉ウエインの殴り合いがすさまじい。
7)イーライ・ロス監督の「デス・ウイシュ」
ブルース・ウィルスの2018年のサスペンス映画。妻子を死傷したならず者と同列の犯罪者どもを大病院の医師がみな殺しにしていく復讐譚だあ。
8)デヴィッド・フィンチャー監督の「ゴーン・ガール」
失踪した妻を巡る2014年の米サスペンス映画。そ既に壊れてしまった夫婦関係を無理矢理元に戻そうとするなんて阿呆な噺ずら。
9)フレッド・ジンネマン監督の「山河遥かなり」
ナチによって分断された母子が、難儀の末に再会する愛と感動の1948年製作の物語。いつもは暗いモンゴメリー・クリフトが、ここでは明るく親切な米兵を演じる。
10)アンリ・クルーゾー監督の「犯罪河岸」
1947年フランス製のの洒落たミステリー映画んり。ややこしい殺人事件を執念深く追う刑事の仕事ぶりが微笑ましい。クルーゾーの演出は見事。

何度見てもアブサキとしか読めまへん前頭5枚目阿武咲 蝶人
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