あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

かがくいひろし作「おもちのきもち」を読んで

2024-08-31 08:52:03 | Weblog

 

照る日曇る日 第2101回

 

我が家でも親戚一同が集まるお正月におもちつきをいまして、つきたての美味しい美味しいあんころもちやきなこもちを頂戴したりするのですが、この鏡餅クンには参った、参った。

 

いつかは自分も食べられてしまうのではないかと心配して、なんと大だっそうをするのです。つまりおもちにはおもちの気持ちがあるという大発見。これが飛躍の第一です。

 

第二は、脱走に疲れたので自分で自分を食べ始める! まるで蛇が蛇を食べるみたいに。

 

そして3番目は、これがフィナーレにもなるのですが、数日後に浮き輪のように固まってしまった鏡餅クン!

 

これが50歳で絵本作家としてデビューしたかがくいひろしさんの第1作というのですが、それだけの内実がしっかりとつまっていたのですね。

 

生産性ゼロとかいわれる人たちが福祉で働く人を支える 蝶人

 

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ジョゼ・ジョルジェ・レトリア文・アンドレ・レトリア絵・木下眞穂訳「戦争は、」を読んで

2024-08-30 17:35:40 | Weblog

 

照る日曇る日 第2100回

 

ポルトガルの抵抗詩人が文章、その息子が挿画を担当した格調高い絵本を読みました。

 

「戦争は、日常をずたずたにする。「進行していますね」と耳元でささやかれる病気のように。」からはじまり、「戦争は、何も聞かない、何も見ない、何も感じない」、「戦争は、自分がどこで恐れられ、歓迎されるのかを、よくわかっている。」、「戦争は、あらゆるありとあらゆる恐怖が集まって、残忍な姿に化けたのだ。」、「戦争は、何も知らない人たちの柔らかな夢に入り込む。」と続き、「戦争は、轟音とカオスだ。」「戦争は沈黙だ。」で結ばれる17の定義ないし箴言を、独自の空間で反芻、深化、拡大したのがアンドレ・レトリアの見事な挿絵だ。

 

その中に「戦争は、物語を語れたことがない。」という謎めいた文章があって、アンドレは堆く積まれた蔵書に権力者が火を放つ情景を絵にしているが、これはちょっとした意味のすり替えで、父親はもっと高尚な別のはなしをしているのだろうと思った。

 

戦争の起こるとこまでぐんぐんと近づいてきたキシダ内閣 蝶人

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岩井寛口述・松岡正剛構成「生と死の境界線」を読んで

2024-08-29 11:34:43 | Weblog

 

照る日曇る日 第2099回

 

著者は1931年に生まれ、美学から転じて精神医学を学んだ医師、学者、思想家であったが、ガンに冒され1986年に55年の生涯を閉じた。

 

本書は、迫りくる最後の瞬間を迎え、生と死のはざまにあって自己を凝視し、「生きるという意味の実現」に賭けた一人の人間の魂のドキュメンタリーである。

 

これまで私もいくつもの闘病記や末期の記録文集を読んだが、これほど壮絶な人間ドラマを目にしたのは初めてのことで、全身を襲う猛烈な痛みと恐怖の中で、生きることの意味を問い続ける不撓不屈の精神のありように無類の感銘を受けた。

 

ここには岩井寛という人間の全てが開陳されていると思われるが、その生涯最期の委託を全身全霊で受け止め、このように貴重な記録を遺し得た松岡正剛という人物も、またなく立派な振舞いだったと思うのである。

 

その言動のあれやこれやを引用する気力も余裕もなくて申し訳ないが、岩井氏が語った戦争中の中学2年の折の体験が忘れがたい。

 

当時下丸子の工場で戦車を造っていた彼が、満員電車に飛び乗ったら、同じ工場で働いていた絣のモンペで三つ編みの大好きな女の子と隣り合わせ、顔中が熱くなる。

 

自分の恋心を震えながら噛みしめていると、彼女の三つ編みが、彼の肩にかかって2匹のシラミが移って来たので、彼はそれを大切にマッチ箱の中へしまったが、家に帰ると逃げてしまったようでいなかった。

 

それから4、5日後、ギャーという物凄い悲鳴が上がったので、駆けつけてみると、腕を無くして真っ青な顔をした女の子が、血だらけで担架で運ばれていったが、結局その初恋の人は死んでしまったという。

 

「風速が60米で家倒壊」といつものようにテレビが脅す 蝶人

 

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ゲルツェン著「過去と思索2」を読んで

2024-08-28 10:51:58 | Weblog

照る日曇る日 第2098回

 

死ぬほどの猛暑の中、どうするか迷っていたのだが、ずるずると2冊目を読んでしまう。

 

ツアーリの独裁時代に自由を求めてモスクワをうろちょろしていた若者が、ある日自分が出席していなかった宴会の件で突然不法逮捕され、なんと5年間も流刑生活を送るようになる。

 

といっても、主人公は一応名門貴族のはしくれなので、一介の素浪人のドストエフスキーのような劇的な死刑賦活の劇的体験があるわけでもない。

 

流されたのはベルミやヴェトカ、ウラジミールのような首都に比較的近い田舎で、本物の遠隔地のシベリアでもなく、強制労働もなく召使までついている「流され者」だが、それでも流刑は流刑に違いはなかった。

 

さはさりながら、訳者の解説によれば、我らがゲルツェン選手は、「「検察官」の悲喜劇世界を見聞こそすれ、同じゴーゴリの「死せる魂」の深刻な貧民生活の悲惨までは実地に体験し得なかった」のである。

文中で一番面白かったのは、ゲルツェンが兄の従者に化けて流刑地を抜け出し、親戚の魔法使いのお婆さんに監禁されている可憐な白雪姫のような若い娘ナターリアを奪取してなんと結婚式まで上げてしまうロマンチックなエピソード。さうしてこの略奪された花嫁は終生変わらぬゲルツェンの最愛の妻になったというから愉快ではないか。

 

さりながら、7人の子に死なれ後で物凄い思想家になり、ゲルツェンを完全に論破したという女性とは、いったい誰だったんだろう?

 

    今頃は中村歯科で麻酔中さぞや怖かろ息子よがんばれ! 蝶人

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西暦2024年葉月蝶人映画劇場その5

2024-08-27 08:51:22 | Weblog

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3728~32

 

1)チェン・ウェイハオ監督「目撃者 闇の中の瞳」

2017年の何がなんだかよくわからない台湾の犯罪映画。

 

2)イ・ドユン監督の「コンフェション 友の告白」

幼い時からの3人の友人が成人して辿った悲劇を描く2015年の韓国映画だが、切れ味は鈍い。

 

3)マルセル・カルネ監督の「北ホテル」

いちどは死に別れた男女が再び手を取り合って生きていく1938年の名作ずら。

 

4)リジョー・ジョーズ・ベッシーリ監督の「イエス様、マリア様、ヨセフ様」

急死した父親の葬儀を巡る2018年のドタバタインド映画。インドでもカトリック教徒がいるんだ。

 

5)ジャン・ヴィゴ監督の「アタラント号」

結婚式の後アタラント号に乗り込んだ若夫婦のいさかいと和解を描く1934年のお仏蘭西映画だが別にどおうってことなし。

 

産休が明けたらテレビに出てほしい近藤奈央、水原光紀 蝶人

 

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<ササキマコト>の主題に拠る48の変奏曲 ~第1篇 第1変奏曲から第10変奏曲

2024-08-26 10:16:11 | Weblog

これでも詩かよ 第318回

 

 

第1変奏曲 4分33秒

 

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第2変奏曲 バナナ

 

むかしボクが東海道線に乗った時、東京駅から新橋、品川を過ぎて、大船から藤沢を経て小田原の辺で、バナナが生っているのを見つけました。

 

バナナは、ひとふさ、ふたふさ、みーふさ、ヨーふさ、全部でなな房ありまして、それらがだんだん色づいてくるのです。

 

白っぽい黄色から、次第に熟して濃い黄色になってくる。

そして、黄色みが増すに連れて、だんだんウマソーになってくるのです。

 

忘れもしない10月16日のボクの80歳の誕生日、

今日こそバナナを収穫しよう、と東京駅から東海道線に乗り、

新橋、品川を過ぎて、大船から藤沢、小田原を経て、熱海駅で降りて、

白い砂浜をサクサク踏んで歩き、ドンドコドンドコ黄色いバナナを探して歩きましたが、黄色いバナナは影も形もなかったのよ。

 

 

第3変奏曲

 

池田ノブオがジャンプ一番、教育勅語を破り捨てた。

 

 

第4変奏曲

 

世界一決定戦の後楽園ホールを飛び出して、帰宅しようとしたが、その途中文京区の古い家並をみて、「ここらへんで残りの人世を過ごそう」という意思を固めたが、半ズボンのチャックが開いて、我の陰毛が丸見えになっているのに今頃気付いて、素知らぬ顔で閉じたところです。

 

そこに東京駅行きのバスがやって来たので、飛び乗ったら、のぶいっちゃんとひとはるちゃんが座っていたので、「ひさしぶり、今日は後楽園で世界戦を見物していたんだよ」というたが、なぜかおらっちの話が、てんで分かっていないようだった。

 

そうこうしていると広島で抗争している生きのいいヤクザが、いきなりおらっちの腹の上を、2カ所もドスで刺しやがったんだが、幸いかすり傷で、なんとかかんとか事なきを得たんだ。

 

でも、駅での集会が終わってからが大変。西口の改札前で迷彩服を着た屈強な兵士にいきなり抱きすくめられたので、必死に藻掻いていると、彼奴がなにかもっと大切な用事を思い出したように手を緩めたので、なんとか振りほどいて東口方面に逃げることが出来たんだ。

 

第5変奏曲

 

急になにもかもが嫌になってきたので、料理長は、デザートの土佐文旦の皮を剥かないで、ナイフで細かく切り刻みはじめた。

 

 

第6変奏曲

 

われ、諸国一見の旅の途中

夕べ、珠洲の岬に立つと

おりしも熟柿のような

美空ひばりのような

真っ赤に燃える太陽が

山岡久乃のスプライトのように冷え切った

日本海の荒波に墜ちて

一瞬

ベルヌのように

ロメールのように

かの緑の燐光をば放ちながら、

ランボオのように

ベルモンドのように

ジュジュジュ!

マダムジュジュ!!

と叫んだので

これはいかん、このままでは頭がおかしくなってしまう

と心配になって

見知らぬ巡礼者に頼んで

われの額を小汚い草鞋で踏んづけてもらったら

思えらくそれが聖なる僧侶だったらしく

おのずからなにやらかたじけない情緒障害になって、

われは丹波の下駄屋の丁稚どん

今宵ここでの一休み

あしたからはえーえんに生きていけるような

そんなありがたい気分になったのでした。

 

 

第7変奏曲

 

女性歌手が「いつか」を唄っていると、男性歌手が「かなた」を唄って、夢のハーモニーが実現したのよ。

 

 

第8変奏曲

 

ロックポートの在庫見切り品を、9割オフで売っていたので、「三足まとめて買う」というたら、「本社までご足労願いたい」というので、川崎本社まで行ったら、社長がアジ演説していたので、帰ろうとしたら、「隣に平凡出版という本屋があるから、そこで新入社員の激励応演説をしてくれ」という。

 

仕方なくマイクを握って、かの偉大なる百科事典を褒めたたえていたら、「それはわが社とは何の関係もない平凡社の出版物だ」と苦情が出たので、「ライバルの平凡社に負けない、世界一の百科事典を世に贈ってくらさい」と、とってつけて逃げ出したのよ。

 

 

第9変奏曲

 

われは、いつものようにある意図を以て、ベルクの全作品を聞き始めたのだが、そのうちに、最初の意図などどこかに忘却してしまい、ばらばらに分断された脳細胞毎に、ベルクの音楽を、ひたすら聴き始めたのだった。ひたすら分散的に。

 

第10変奏曲

 

家の近所に、いつでも清冽な清水がふつふつと湧いている小さな泉があるので、私は詩を書こうと思うときには、いつもその泉に行って両手で清水を掬うと、直ちに1篇の詩が誕生するのだった。

 

狭き道角突き合わす自動車の1台下がる民主主義かな 蝶人

 

 

 



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岸政彦著「断片的なものの社会学」を読んで

2024-08-25 10:02:52 | Weblog

 

 

照る日曇る日 第2094回

 

多くの人々とインタビューを行いながら、いわゆるひとつの「社会調査」、つまりインタビューを行っている著者の摩訶不思議な人世読本なり。

 

パラパラとめくりながらいくつかのパラグラフを引用してみようか。

 

「私には幼稚園ぐらいのときに奇妙な癖があった。路上に転がっている無数の小石のうち、どれでもいいから適当に拾い上げて、何十分かうっとりとそれを眺めていたのだ。広い地球で「この」瞬間に「この」場所で、「この」私によって拾われた「この」石。そのかけがえのなさと無意味さに、いつまでも震えるほど感動していた」

 

「「誕生日は1年に一度必ず全員に巡ってくる。何もしないでその日を迎えただけなのに、それでもおめでとうと言ってもらえる。誕生日とはそういうことだったのである。」

 

「私たちは他の誰かとセックスしているときでも、相手の快感を感じることはできない。抱き合っているときでさえ、私たちはただそれぞれの感覚を感じているだけである」

 

「ある種の笑いというものは、心のいちばん奥にある暗い穴のようなもので、なにかあると私たちはそこに逃げ込んで、外の世界の嵐をやりすごす。そうやって私たちは、バランスを取って、辛うじて生きている」

 

社会学者の仕事は、それらの聞き取りを分析したり、解釈したりすることだが、どうしても「分析できないもの」をアトランダムに並べた本書と、その主人公の心映え、が読者の心に殷々と響くのはどうしてだろうか。

 

    杉浦の友紀アナが抜けてからあの番組はじつに詰まらん 蝶人

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現代俳句文庫版「西川徹郎句集」を読んで

2024-08-24 08:50:26 | Weblog

 

照る日曇る日 第2097回

 

「男根担ぎ佛壇峠越えにけり」

 

というので度肝を抜かれたが、父を詠んだ作品を並べてみると

 

「父の陰茎を抜かんと喘ぐ真昼のくらがり」

「父の陰茎の霊柩車に泣きながら乗る」

「父を焼く山上焼酎ほど澄んで」

「凩や木となり草となり父は」

 

なんちゅうのんばっかしなので、呆れてしまう。

作者は父親にフロイト的な恨みでもあるのだろうか?

 

次々に腐れ候補を舞台に上げるさながら期待のスターのように 蝶人

 

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蜂飼耳編「吉本隆明詩集」を読んで

2024-08-23 09:58:59 | Weblog

 

照る日曇る日 第2096回

 

晶文社から刊行中の吉本隆明大全集の最近版を、嬉々として読んでいることもあって、このほど岩波文庫から刊行された詩集を手に取ってみましたが、

 

「かれのこころは/いち早く異数の世界へおりていったが/かれの肉体は 十年/派手な群衆のなかを歩いたのである」(「異数の世界へおりてゆく」)

 

「ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる/もたれあふことをきらった反抗がたふれる」(「ちひさな群への挨拶」)

 

というくだりくらいにしか、心を動かされませんでした。

なんでだろうね?

 

あとは強いて挙げると、「黙契」、「告知する歌」「小虫譜」「十七歳」「演歌」などはちょっと面白かったけど、どうってこたない。やはりこの人の本領は批評の文章ですね。

 

ヨシモトが何をいおうとカンケイないワシらはワシらの詩を書くだけじゃ 蝶人

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神山睦夫著「戦争とは何か」を読んで

2024-08-22 11:45:21 | Weblog

 

照る日曇る日 第2095回

 

どんな戦争にも反対と公言する「絶対非戦論」の著者が、ドストエフスキーや夏目漱石の「戦争観」を、文芸評論として深追いしながら、激しく考え続けた論考を読みました。

 

さりながら「戦争とは何か」という表題にもかかわらず、その冒頭の切迫した問いかけに直接答えているのは最後に書かれた「あとがき」だけ。その途中におかれた古今東西の思想家の膨大な引用や、それらに関する著者の言説は、無知で無学な小生にはとても勉強にはなりましたが、かなり強引で素直にうなずけない牽強付会の説(特に「修善寺大患」への過大な思い入れ)が多く、小生の浅はかな大脳前頭葉はかなり激しく戸惑ったようでした。

 

考えてみれば文芸評論は文芸評論、戦争論は戦争に関する論述なので、2つを無理やりひとつにしないで書いてもらった方が分かりやすかったような気がします。また本書は、過去にどこかに発表された5つの論考の、改稿とはいえ寄せ集めなので、全体的な統一感が醸し出されにくかったのではないでしょうか。

 

それから著者は、小林秀雄、吉本隆明、柄谷行人の3名を所謂「絶対非戦論者」として取り扱っているようですが、果たしてそうなのでしょうか? 柄谷はともかく、吉本とりわけ小林秀雄をその範疇に入れてしまうのはどうかなあと、思わず考え込んでしまいました。

 

クワガタやスズメバチを押しのけて樹液を貪るオオムラサキ 蝶人

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西暦2024年葉月蝶人映画劇場その4

2024-08-21 08:39:05 | Weblog

西暦2024年葉月蝶人映画劇場その4

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3723~27

 

1)アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の「情婦マノン」

悪い女ミシェル・オークレールとの純愛に身を捧げた青年の哀しい1949年の物語。

 

2)ジャック・フェデー監督の「女だけの都」

無能なフランドルのボーム市長に代って賢い夫人フランソワ・ロゼーが、街の女たちと一緒にスペイン軍を丸く収めるという1935年の偉大な平和の映画です。

 

3)テイラー・シェリダン監督の「モンタナの目撃者」

アンジェリーナ・ジョリー主演の森林火災と犯罪事件を絡めた2012年のサスペンス映画ずら。

 

4)コナー・オーリン監督の「デンジャラス・ディール」

ロブ・ロウ、バート・レイノルズが出る2015年の不動産詐欺師の物語。

 

5)デヴィッド・ラッセル監督の「アムステルダム」

終り近くに漫画風の陰謀論が出てきてやや鼻白むが、それはそれとして、ちょっぴりジュールとジムなどを思い出させるをとても楽しい2022年のクライム・ストーリー。

 

「どらいやー」で検索すればドライヤー カールはついに出てこなかった 蝶人

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妹よ

2024-08-20 09:36:30 | Weblog

 

妹よ

お前は 私の懸命の追跡を あざ笑うように

北白川学園の 黄色い菜の花畑の 向こうを

手に手をとって 逃げて 行ったね

 

妹よ

お前は 希望を喪って 若狭の海辺を彷徨したが

まるで天佑のように 立ち直って

第2の人世を 歩みはじめたね

 

妹よ、

お前を 助けてくれたのは 運命のひと

限りなく優しい 寛恕の男が

限りなく弱い 迷える羊を 救ったね

 

妹よ

お前を 助けてくれたのは 聖マリア

限りなく優しい 慈愛のひとが

限りなく弱い 一人の女を 強くしたね

 

妹よ

お前は 死に至る病に 侵され

想像を絶する 苦痛に耐えながら 毅然として 逝ったね

その顔は まるで聖テレーズのように 気高く 美しかったね

 

妹よ

お前に また会う日まで さようなら

いつか どこかで

また会う日まで

 

 

*2年前のきょう帰天した妹に思いを致しつつ、つたない歌を再掲載いたします。

 

    死んだ人も死なない人も生きていて 蝶人

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青山透子著「日航123便墜落事件 JAL裁判」を読んで

2024-08-19 10:17:53 | Weblog

 

照る日曇る日 第2093回

 

この空前の犠牲者と被害を出した1985年のジャンボ機墜落事件については、事件発生後40年近くなってその真相を巡っていくつもの疑問点が浮かび上がってきた。

 

通説ではボーイング社が製造したジャンボ機の垂直尾翼内の障壁が圧力で崩壊したために操縦不能に陥った123便が、群馬県上野村御巣鷹の尾根山に激突、大破したとされているが、本書の著者や森永卓郎氏などは、どういう仕儀によるものか、当時ミサイル発射訓練を行なっていた2機の自衛隊機の誤射が、墜落原因と主張しているようである。

 

それで本書に手を出してみたのだが、生憎本書は、ボイスレコーダーを公表しないJALにその情報公開を求めたが、東京地裁が理不尽にも却下した裁判のレポートであったために、残念ながら肝心の事故原因そのものには正面からは触れていなかった。

 

しかしながら途中で裁判長がいきなり交代したり、原告の一人が恐らくはJALの妨害によって降ろされた(あるいは不自然に降りた)り、朝日などの中央紙には出ていない事故詳報が地方紙に掲載されていたりするのは、JALとその背後の国家権力の介在を思わせる節もあるので、この件は別の情報が入るまで、しばらく保留にしたいと思う。

 

カスリーンやジェーンほどの被害なしアンピルという名の台風 蝶人

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吉増剛造著「我が詩的自伝」を読んで

2024-08-18 08:48:19 | Weblog

 

照る日曇る日 第2092回

 

「詩とは何か」に先立ってカタリ尽くされた詩人の波乱万丈の人生航路であります。

 

「素手で焔をつかみとれ!」という副題通りに、当たるを幸いつかみ取ってきた灼熱の焔の数々が、遥か後ろから追いかける俺たちを照らし出しているようです。

 

さりながら人は人、我は我。人みな別乾坤を立ち上げるものゆえ、別にどうということはないさ。

 

究極の二者択一でいくならば殲滅すべきはイスラエルかも 蝶人

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夢は第2の人世である 第138回

2024-08-17 08:37:07 | Weblog

 

西暦2024年卯月蝶人酔生夢死夢百夜

 

ランバダを踊りながら、彼女は、「こんなの単なるビジネスよ」というたので、おらっちもあらえっさっさあーと福知山音頭を唄い踊りながら、「そうだよ、これも単なるビジネスさ」と答えたのよ。4/1

 

今日の午後、大学の授業に出るために田舎から出てきたのだが、終わって帰宅しようと思ったら、もう深夜になっていて、東京駅から出る電車もバスも、終わってしまっている。はてさて、どうしたものか。4/2

 

リーズ音楽祭の最終日の夜に、ディスカウとブレンデルの顔合わせで、おらっちの「バックミンスター・フラー博士と鈴木エドワード」が演奏されたのだが、会心の出来栄えで、満場拍手喝采だった。4/3

 

社主が亡くなり、その形見分けが行われたが、その机や椅子、照明器具やソファー、文房具、身の回り品、小道具の一つひとつが、まことに適切な贈り物になっていて、彼がいかにきめこまかく部下の仕事場を観察していたかが伺われ、みな舌を巻いたのよ。4/4

 

2025年の新企画として、早くも物凄いのが出来ているので、我々オマンタ倶楽部は、5人組のチンドン屋になってオマンタ音頭を唄い、踊りながら5街道の目抜き通りを練り歩き、世界の民草に世界平和を訴え続けていますが、どうです、貴方も参加しませんか?4/5

 

誰かが教えたものかどうかは、分からないが、学生が1階と2階を自由に移動できる秘密の裏階段があって、「これは便利だ」と、盛んに利用されているようだった。4/6

 

女性歌手が「いつか」を唄っていると、男性歌手が「かなた」を唄って、夢のハーモニーが実現したのよ。4/7

 

第3次世界大戦がやっと終了したあとの世の中は、もはや回復不可能なほど傷つき、疲弊していたが、それまでの2度の大戦では実現しなかった、武装放棄を義務付けた平和憲法がどの国でも施行されたことが、唯一の、しかし貴重な収穫だった。4/8

 

第一次世界大戦の塹壕戦で、機関銃の代わりにオリベッティのタイプライターを敵陣めがけて、ダダダと撃ちかけたのだが、左隅に「ささきまこと」の「さ」を打とうとしたが、打てないので、仕方なく「し」を打とうとしたのだが打てないので、仕方なく「き」を打とうとしたのだが、打てないので、仕方なく 4/9

 

この節は監視カメラに音声AIがついているので、おらっちが町中を歩きながら、「ジャジャジャジャーン」と呟くと、周りの監視カメラも、連れションみたく「ジャジャジャジャーン!」と大音響で吠えまくるので、煩くて仕方がないずら。4/10

 

その子の本名は、「単5予為Ⅿs呂有ベオウルフ」という変わった名前だったので、同時通訳者は、完全にお手上げだったのよ。4/11

 

その夏のキャンプでは、それこそ1ミリも泳げなかった子供たちが、全員ノシやカッパ泳ぎが出来るようになったのが、一大収穫だったが、それにも増して最後の夜のキャンプファイヤーで、おねいさんが敢行した信仰告白が感動的だった。4/12

 

ポスト・コロナの最新型の感染症が流行し始めたが、私はいち早くそのワクチンの開発に成功したので、早速自分で飲んで試してみたのだが、その物凄い副反応で、あやうく死ぬところだった。4/13

 

世界マージャン選手権の王者決定戦が始まったのだが、おらっちは、立て続けに白牌を3枚もつもってきたので、チョー驚く。そういえばこの試合は、自動配牌ではなく、人力配牌方式だったのに、誰も真面目に混ぜなかったからかも知れない。4/14

 

今日もまた、灰色の大きなイボガエルを捕まえた。「止めろよ、早く離してくれよ」とブツブツ文句をいうておるのが、不気味だ。そういえば、先週も、同じ灰色のイボガエルを捕まえて、引き出しの中に入れておいたが、あれはどうなっているだろう。4/15

 

大阪支店へ行ったら、全員が自分勝手に仕事しているので、驚いた。出先から帰社した課長は、非常に大事にしているカメラが壊れているので、「誰が壊したんだ?名乗り出ろ!」と大声で喚いている。三十六計逃げるにしかずと、トンずらしたのよ。4/16

 

急になにもかもが嫌になってきたとみえて、料理長は、デザートの土佐文旦の皮を剥かないで、ナイフで細かく切り刻みはじめた。4/17

 

ロックポートの在庫見切り品を、9割オフで売っていたので、「三足まとめて買う」というたら、「本社までご足労願いたい」というので、川崎本社まで行ったら、社長がアジ演説していたので、帰ろうとしたら、「隣に平凡出版という本屋があるから、そこで新入社員の激励応演説をしてくれ」という。4/18

 

仕方なくマイクを握って、かの偉大なる百科事典を褒めたたえていたら、「それはわが社とは何の関係もない平凡社の出版物だ」と苦情が出たので、「片桐社長、ライバルの平凡社に負けない、世界一の百科事典を世に贈ってくらさい」と、とってつけて逃げ出したのよ。4/18

 

神田鎌倉河岸の汀のR社の受付に、ゼンちゃんがやって来たので、5階から降りて「久しぶりだから、2人して千代田ホテルで昼飯でも食おうか」と、桜満開の表通りに出た。4/19

 

ワシは労働組合の書紀をしているんだが、給料の1割カットの計算が出来ないので、困ってる。4/20

 

随分長くアマチュアオケの指導をしているんだが、格段の進歩を遂げている。昔の演奏をビデオで見ると、金管楽器などは、メチャクチャに音を外して、音符についていくだけで精一杯なんだね。4/21

 

家の近所に、いつでも清冽な清水がふつふつと湧いている小さな泉があるので、私は詩を書こうと思うときには、いつもその泉に行って、両手で清水を掬うと、直ちに1篇の詩が誕生するのだった。4/22

 

ピーターは、なんで自分がこんな田舎の支局に飛ばされたのか、さっぱり分からず、元の上司に何度も電話してそのわけを聞こうとしていたが果たせず、何年間も腐っていたが、ある日おらっちが上司の上司からそのわけを尋ねると「実は別の奴を飛ばせと指示したのに、人事が間違ってピーターを飛ばしたんだ」というのだった。4/23

 

巴里の下町を友人たちとぶらついていたら、突然ナベショーが出てきて、偉そうにもっともらしい長広舌を振い始めたので、嫌になったおらっちは、横丁を抜けて大通りで1フランタクを拾い、ホテルまで戻ったのよ。4/24

 

所謂「蘇る近江会長事件」にずるずる巻き込まれた彼は、華やかなキャリアを忽ち失い、歴史の薄暗い暗闇の底に沈んだきり、二度と浮かび上がってはこなかった。4/25

 

馬車曳や郵便夫多数を人質に取ったおらっちは、空撃ち返す刀で大勢の人々をこの手にかけたが、まっこと愉快じゃった。4/26

 

会期が迫ったパリコレに出す服のデザインを必死で考えているおらっち。そのコンセプトのひとつは「踊る服」で、もう一つは「考える服」だったが、そもそもおらっちは、物を考えたことなど皆無なので、後の作品はてんで出来ないのだった。4/27

 

こないだ神田鎌倉河岸の会社で、はじめてPCを使って作画してみたら、セイさんやイマナカさんやムラクモタロウまでも、よってたかって「なかなかいじゃんか」というてくれたので、鼻高々になったのよ。4/28

 

いつも上等の青い背広姿のナガタさんは、いったいどーゆうキャリアのⅯDなのか知らなったので、おらっちは、一度尋ねてみたいと思ったのだった。4/29

 

朝、咽喉がムズムズするので、ケタクソ悪いなあと思っていたら、突然見慣れない小人が飛び上がって、まるで誕生したばかりのお釈迦様のように、両手を高く掲げてテーブルの上に着地したので、えらく驚いたよ。4/30

 

どーゆう風の吹き回しか、カワバタ副社長は、オレのことを偏愛するようになり、いきなり頭を抱えこんでは、ぽかぽか殴りだすので、大島椿でべったり状態になるのだった。4/30

 

「こんなにも物価の安い国はない」外人だけが喜ぶ日本 蝶人

 

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