♪ある晴れた日に 第87回
白き蛇緑の沃野を舐めつくす
猛る蛇人も大地も喰い尽くす
みちのくのうみべのむらをさまよいてちちよははよとよばわるひとあり
おおいなるよなとつなみにおそわれしわがはらからをたすけたまえ
みちのくのうみべのすなにうちふしてちちよははよとよばわるむすめ
ノーディレクション地方差別の無計画停電に私は到底同意できない
利幅薄き莫大小の商いで10億円を寄付したる人
我天に唾せしが天は我に罰を下したまえり
天に向かって唾したが天はなんにも言わなんだ
自らの傲慢強欲棚に上げ天罰を説く東京都知事
堕ちよ堕ちよダンダラ星堕ちよ
復興の祈りよ届け天に舞う四十四歳孤高のダンス
草木国土悉皆成仏東北大地震諸霊祈願成仏
本当に神を信じて信じきれば奇蹟は起こるとドライヤーは信じる
霊苑の線香消えて寒桜
たらちねの母はいつまで生きるやら
佐々木眞午後六時也薄日射す
卒塔婆一本先祖代々癌の家
肘は秘事カンヌの夜空に花火舞い散る
母さんがdecentな女になれというから悪女になりました
人間は性欲人間と非性欲人間および時独性欲人間の3種に分かたれる
あほばかテレビに出るなリビアに行けあほばか戦争カメラマン
われが掘り水を与えし池二つおたまじゃくしの卵浮きけり
大きな胸をゆさゆさ揺らして消えていった
猿になったともう人間じゃないと騒ぎしが尻から出たる回虫なりき
亡き祖母と生きてる母の念力で豚児のあの絵は売れたと思う
けんちゃんのひゃくごうのえがうれたよるつまはなきたりわれはほえたり
今のところできる恩返しはこれだけと息子は母の全身を揉む
筆一本生きることの悲惨と栄光
われは聴く死にゆく白鳥の最期の一節 美しき歌声
文章も思想も無骨な文学者の作物のほうが値打ちがある
この一蹴天に届けと叩き込む四十四歳ロンリーウルフ 茫洋