あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

伊藤比呂美・文・片山健・絵「なっちゃんのなつ」を読んで 

2019-06-30 14:26:58 | Weblog


照る日曇る日 第1274回



詩人伊藤比呂美が詩文を綴り、片山健が水彩で描いた日本の夏の原風景。

熊本の田舎の野原の草いきれ、まひるの太陽の輝き、河の向こう岸で揺れる蒲の穂、道端に落ちている蝉の死骸、ふりむくハンミョウ。おばあちゃんと墓参りに行くなっちゃん、ともちゃんと遊ぶなっちゃん。

すべてが懐かしく、美しい!



 喫煙とはすなわち毒を呑むことで君と妻子を死に至らしむ 蝶人
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梁石日&中上紀著「タクシーガール」を読んで 

2019-06-29 10:45:33 | Weblog


照る日曇る日 第1273回


漫画はふつう共作だが、共作の小説って珍しい。おそらくタクシードライバーを体験し「月はどっちに出ている」の原作者、梁石日が出したアイデアを、中上紀がノヴェライズしたのだろう。

最後の最後になって中上の郷里である熊野が舞台になると多少迫力が出てくるが、双方の利点が完全に生かされたかというと疑問と不満が残る。

もしかするとこれも「月はどっちに出ている」の向こうを張った映画化を予想してるプロット的な作物なのかもしれない。


  天皇や元号が変わると嬉しいか不思議な国の呆れた人々 蝶人
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ちくま日本文学版・内田百閒著「内田百閒」を読んで 

2019-06-28 10:31:08 | Weblog


照る日曇る日 第1272回


百閒ですぐに思い出すのは愛猫「ノラ」の失踪事件と晩年の芸術院会員を「いやだからいやだ」と断った話。前者は現在の犬猫ブームを先取りしているし、後者は師漱石の権威嫌いの感性の直弟子だったことを物語っている。しかし彼の得意中の得意であった借金魔処世術についてはどうにもついていけない。

解説で赤瀬川原平が「宇宙人の私小説」と評していて面白いが、彼の小説の大半は彼の実際の夢に拠ったもので、この書法はやはり師の漱石の「夢十夜」から学んだのであろう。

数多くの短編が登場して読者を楽しませてくれるが、戦争が始まって美食が出来なくなったので、自分の大好きなメニューを書き連ねて飢えを癒した「餓鬼道肴蔬目録」、作者のために献身的に酒を調達してくれた少年を悼む「1本七勺」が胸をうつ。

「東京日記その十五」のなかで、作者が芸妓に目玉を舌で舐められて「こちらの目玉おいしいわね」と評される箇所が出てくるが、少年時代の私も昔祖父に舐められて目の中のゴミを取ってもらった、あのゾロリとした触感を思い出して懐かしかった。


   あなやというそのときに妻の左目に落ちた極小のゴミ痛し 蝶人
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ドナルド・キーン著「ドナルド・キーンのオペラへようこそ!」を読んで

2019-06-27 10:33:42 | Weblog


照る日曇る日 第1271回


波乱に満ちたキーン翁人生最期の贈り物がこれ。彼の生涯に亘るクラシック音楽、いなオペラへの偏愛が縷々語られる。今までに「レコード芸術」などで聞いた話が大半だが、キルステン・フラグスタートとマリア・カラスへの思い入れの物凄さに胸を突かれます。

カラスについてはもはや言うまでもない。こないだ同時期のライバルと称されたテバルディのボックスを買ってみたが、そのあまりにも平板陳腐に呆れ果て、こんな2流(といううてもネトレプコなんかより遥にマシずら)の歌手のどこがいいのかと、改めてカラスの素晴らしさを思い知らされた。

フラグスタートについてはそれほど注意していなかったので、これからフルベン&メルヒオールと組んだバイロイトの「フィデリオ」やメトの「指輪」を楽しみに聞いてみたいと思います。

ところで本書は、養子となった文楽三味線奏者のキーン誠己氏が編集?しているようだが、翁とはじめて出会ったのは2006年で、二人の付き合いはわりと新しいようだ。いったいどこが気に入ったんだろうなあ。


 トランプさんにとっておきのニュースですアメ車が一台走っていたよ 蝶人
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初夏の蝶人映画劇場その5 

2019-06-26 16:22:47 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.2011~2015


1)ダミアン・ニーマン監督の「シェイド」
ポーカーで大金を稼ごうとする男女がお互いを出し抜こうとして策謀の限りを尽くすが、あいつぐドンデン返しが面白いと思えば面白い。

2)ロジェ・ヴァデム監督の「月夜の宝石」
1958年当時の自分の女のブリジット・バルドーと名優アリダ・ヴァリを使いながら、こんな下らない映画しかつくれないヴァデムは、どうしようもないやつだ。

ヴァンス・ルイス監督の「暁の用心棒」
こんなに下らないマカロニウエスタンが実際に封切られたということが驚き。そういう意味では貴重な映画ずら。

ジョルジオ・ステガーニ監督の「続・さすらいの用心棒」或いはまた「続・さすらいの一匹狼」
ジュリアーノ・ジェンマ大活躍のマカロニ・ウェスタン。砂漠のド真ん中で全裸で手足を縛られたヒロインをちゃんとカメラが映さないのはけしからん。ジェンマは覆った掌の指の間からチラチラ見ているよいうのに。

バルナルド・ベルトリッチ監督の「ラストエンペラー」
こころぎで始まりこおおろぎで終わる最後の皇帝の物語。すべては一場の夢だったのか。乳母を失い、妻を失う紫禁城の構図をリフレインさせるアルドリッチの美学。坂本龍一の音楽は「戦場のメリークリスマス」に似ているが。


ありがとうトランプさんよ得たりや応諸人こぞりて安保解体 蝶人
この機会に全米軍が出ていけばお互いどれほどスッキリするか
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大江健三郎著「大江健三郎全小説9」を読んで

2019-06-25 17:39:39 | Weblog


照る日曇る日 第1270回



本巻では多くの魅力的な、生き生きとして、そして痛苦に満ちた女性像が描かれる。

「頭のいい「雨の木」」では、アガーテ、「「雨の木」を聴く女たち」では高安カッチャンの妻、ベネロープ、シャオ・リン・リー、「「雨の木」の首吊り男」をでは「コルテスの骨」の指導者セルマ、「さかさまに立つ「「雨の木」」ではベネロープことペリー、「泳ぐ男」では性的コンプレックスを持つOL猪之口、「人生の親戚」(障害児兄弟が自殺する!)では強烈な個性と根性の持ち主、倉木まり恵、「静かな生活」におけるイーヨーの妹、マーちゃん、「美しいアナベル・リー」におけるサクラさん。

著者はヒロインたちの肉体と精神の内部に入り込み、彼女たちになり変って彼女たちの生を生き切っている。そしてそこが先行する漱石や潤一郎、同時代の由紀夫、春樹と決定的に異なる長所であろう。

しかし「頭のいい「雨の木」」における「自閉症的な若い人々」という言葉は、本物の「自閉症」児者の実態に即さない誤った通俗的な表現である。



  歯磨きの後で嗽をしないからウェーデンでは虫歯が少ない 蝶人


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エリーゼのために~これでも詩かよ 第261回

2019-06-24 15:03:55 | Weblog


ある晴れた日に 第573回

私が住んでいる町では、毎日ゴミを選別して出さなければならない。

毎朝8時20分までに町内のゴミ置き場にゴミを出すのは、
私の仕事である。

月曜日は、燃えるゴミの日。

火曜日は、段ボールや本や新聞や衣類の日。

水曜日は、さまざまな草や木や薪を出す日。ペットボトルもこの日に。

木曜日は、もう一度、燃えるゴミの日。

金曜日はプラスティックや燃えないゴミ、ビンや缶を出す日だが、
最近その分量がどんどん増えてきたために、週に1回だけではパンクしそうだ。

そして土曜日は、子供会が特別にカンを収集する日である。

けれど、日曜日はお休み。誰も、何も、出さない。

そこである日のこと、私はふと思いついた。もはや巨大な粗大ゴミと化した私を、当局には多大な御迷惑をお掛けしてしまう訳ではあるけれど、市の収集車で運んでもらって、思い切りよく処分していただこうではないか。

私は妻にも相談せず、長い時間をかけ、汗みどろになって私の全身に丁寧にヒモを掛け、芋虫のようになった私を、えっちらおっちら和泉橋のたもとの、いつものゴミ捨て場に自力で運んだ。

待つことしばし。風に乗ってどこかから「エリーゼの為に」のメロディが流れてきた。イ長調、ロンド形式のピアノ曲。編曲はいまいちだが、やせてもかれてもルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの原曲だ。

数年前にわが家で夢中になって見ていた連続ドラマ「風のガーデン」の主題歌が、わが町の収集車のテーマ音楽にもなっているようだ。

さあ、いよいよやってくるぞ。早く来い。やって来い。
甘ちゃんのお願いゆえ大変恐縮ですが、35年間にわたって日本一高いともいわれる市民税を黙って払い続けてきたのだから、始末に負えない難儀なこの私を、どうぞ捨ててくれ。どっか遠いところに持ってってくれえ。

と、私は願った。ある晴れた日曜日の朝に。

  次々に最新ニュースが押し寄せて最最新が最新を駆逐す 蝶人
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ハンス・クナッパーツブッシュのバイロイト「パルシファル」全録音48枚組CDを聴いて

2019-06-23 15:07:39 | Weblog


音楽千夜一夜 第431回


ここ数カ月にわたって耳にしてきたクナのパジが突然終わった。

1951年から1964年まで1953年を除く計12回の長き及んで、名指揮者がバイロイトで名演奏を繰り広げたワーグナーの神聖祝祭劇「パルシファル」のライヴ48枚のCDをついに聞き終わったのです。やれやれ。

ほとんどがパソコンの作業の傍らの鑑賞であったから、内容のあるコメントなんかできないが、はじめは処女のようであった演奏が、夏を経るごとに自信と自由と深さを会得していき、ついに最後には脱兎のごとく円熟の頂点を極めていく道行が、なんとなく体感できたように思う。あまたの実力派有名歌手が登壇するが、やはりハンス・ホッターのバスバリトンの存在が圧倒的でした。

1962年の演奏が半ば神格化されているが、その理由の大半はこれが唯一のステレオ録音であるからだろう。それ以降の録音をなんでステレオにしなかったのかと今更ながら恨めしく思う。

余談ながらこのCDは「VENIAS」というレーベルから出されている。すでに聴き終わったベームなどと同様、確かに耳に抵抗のない聴きやすい音色であるが、ヤスリで研磨したように人工的に調整しているので、何十枚も聞き続けていると原音との乖離を痛感する。
かの1962年のフィリップス盤LPと聴き比べてみると、月とスッポン、雲泥の差であった!


  GUの2400円のジーンズを990円で買うごっつええ気分 蝶人
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「夢は第2の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」 第75回

2019-06-22 13:15:25 | Weblog


西暦2019年睦月蝶人酔生夢死幾百夜


8時頃に8人前の武器が届くことになっていたが、10時になっても届かないので、私は洞窟から出ていった男の武器を身につけて、完全武装してから彼奴を殺しに出かけた。1/2

彼は自分が見た夢を、抽象絵画に仕上げようと悪戦苦闘していたのだが、いっこうに完成しないし、暮らしに窮するようになってきたので、とりあえずいま流行のリアルな絵を描いて、急場を凌ごうとしていた。1/3

そのオールドタイプの元革命家は、1920年代のロシアの文学書の復刻を目指して悪戦苦闘していたが、反動的政治家たちの妨害に遭って宿願を果たせず、とうとうこの世を去った。1/4

寝た切りの夫を支えるために、彼女はクリル語を習得して、クリルの代表的作家の全集の翻訳を開始した。その作家は、内容は空疎なのだが、やたら細部の描写に凝るので、ページ数が膨大になり、賃労働の効率がよいのである。1/4

ゆっくり寝ようとしていたら、突如A子がベッドに潜り込んできたので、これ幸いと抱きしめたら、B子が飛び込んでいたので、驚いて飛び起きると、C子が傍に立っていたので、私は泡を食って逃げ出した。1/5

「あの子は、ちょと変だ」と思うと、即座にケイサツにチクッって牢屋に入れてしまう「チョット変だ法」が、与党の強行採決で国会を通過したので、私らはその子を、庭に掘ったシェルターに隠した。1/6

ところがやっぱり「隠すよりあらわるるはなし」で、隠し子は、お隣のヒグチさんにばれてしまい、通報されたその子は、警察にしょっ引かれて、強制収容キャンプに入れられることになってしまった。

良く晴れた冬の朝、セイ・ハシモト画伯と一緒に、その子を駅前まで見送りに行ったら、その子は駅前広場をよろよろ歩きながら、時折くず折れたりしていたが、やがて自力で立ち上がると、「ぼくオオヤさん、大好きですお!」と叫んだ。1/6

どういう風の吹きまわしか、私は北朝鮮の幹部になってしまったが、大首領に拝謁する日に着ていく服がないので、もしや、と思って床下を探すと、スーツの代わりに生みたての卵があった。1/7

五条か六条か七条か、京都駅の近くのいつもの建物の中で、ケン君と女の子を連れた私は、飯を食おうとして料理屋を探しているうちに、2人を見失い、必死になってあちこち駆けづり回っているのだが、イシカワサユリ似の女将が、なぜか私の邪魔立てをするのだ。1/8

2006年にスポーツ庁を退いた私は、やたらと尿が近くなってしまったので、尿漏れ吸い取り特別製パンツを、それこそ、肌身離さず身につけていた。1/9

「ハロピン8地点で、ヒラヤマ部隊の全員が姿を消した」という速報が舞い込んできたので、私ら捜索隊は、ただちに出発した。1/10

シガ君は、私が弥仙山で捕まえた巨大なオオヒカゲ亜種の標本を、「しばらく貸してくれや」と頼むので、しぶしぶ了承したのだが、その写真付きのレポートを、権威ある昆虫雑誌に自分の名前で発表しておきながら、私には知らん顔をしていた。1/11

我々は、ベテイーちゃんにえらい世話になって、あまりにも嬉しかったものだから、「日米軍事同盟は、円滑に機能しとりまっさ」などと、と大げさな謝辞を述べたて、やがて彼女は、単身オートバイに跨って走り去っていったのが、誰一人そのベテイーちゃんの正体を知らなかった。1/11

風の噂では、西本町の遊び仲間だったノブイッチャンは、日仏両国でレストランのシェフをやりながら、オーケストラのメンバーとしても活躍している、というので驚いた。1/11

英文科を卒業していた私は、社長のお供でNYに行ったが、ブロードウエイでみた「バックツウザフュウチャア」のあらすじを説明できず、ケネデイ空港の9つのターミナルのどこで乗り換えるのかも分からず、乗り遅れたので、即リストラされてしまった。1/12

灼熱の砂漠の不毛の地で、残虐と奇計の限りを尽くして私は王冠を勝ち得たが、その代わりに、「愛と人間性」という言葉が意味するすべてを失った。1/12

大切な使命を果たすために、長い長い旅に出た私は、そんな私にどこまでも付いてくる、見知らぬ犬を、心を鬼にして山の中で射殺した。1/13

アサダマオ似の娘と知り合いになった私は、彼女の家に入り浸りになったが、そこでアサダマイ似の姉と知り合って夢中になってしまったので、マオから激しく嫉妬されるようになってしまった。1/14

いよいよ会社が倒産して、最後の日を迎えたので、私は営業所を巡って、知り合いに挨拶して廻ったのだが、その途中で、たびたびオオミチ君とヤマサワ君に出会った。1/15

みんなで金沢八景の花火大会に行ったんやけど、オラッチが景気づけにカニ人間に変身したら、周りの人がびっくり仰天して、みな逃げ出したあ。1/16

その頃渋谷駅からは、電車の替わりに巨大な鉄棒が、吉祥寺まで一直線に敷かれていた。その鉄棒の右側に出張っている3人乗りの横棒が、高速で前進するのだが、立ったままの我々のうちの誰かが、横棒から転落すると、おおかた命を落とすのだった。1/16

「これはかっぱえびせんではなく、はっぱえぴせんです」、とササン朝ペルシアからやってきた少女は教えてくれたのだが、そのはっぱえぴせんときたら、いくら食べても袋の中身が減らないのだった。1/17

私の牧場で働いている親友の息子のジョンが、一匹の仔馬を自分のものだと主張しているので、「これはお前のじゃない。私が市場で買った馬だ」というのだが、「これはお父さんが僕に買ってくれたポニーだ」と譲らないので、「そんならお父さんに問い合わせるぞ」というと、黙ってしまった。1/18

死んだタダさんと、千歳烏山の自宅でマージャンをしている。彼のお兄さんも、由緒ある雑誌「昴」の著作権所持者のお母さんも、一緒だ。タダさんが「ほら、通してみろ」といってイーピンを出したので、私は「ロン!」というて牌を倒した。1/18

明日2時からショウが始まる。全社員が集合する朝礼で、社長に集合時間を告げてほしいと頼んだが、黙っているので、仕方なく私が「あしたは12時半に全員集合!」と叫んだら、一斉にブーイングが殺到したので、なんで社長が無言だったのかが分かった。1/19

ヨシダタクロオは、4声のリチュリカーレを奔放に操る振り付けで踊り狂っていたので、私らは今日の宿舎に向かったが、なんと昔の女が傍にいたのでときめいたが、最早お互いに無言のままで海を見下ろすと、赤白の紋様の巨大な肺魚が泳いでいた。1/20

奇麗な海の底には、その他にも数多くの魚たちが泳いでいたので、ヒロシさんたちと写真を撮りながら、鑑賞していたら、突然大きな純白のチャウチャウが、海岸から駆け上がってきて、ヒロシさんの背中に飛び乗って、ワンワン吠えたが、ただ喜んでそうしただけだった。1/20

日向に寝そべっている牛さんの写真を撮っていたら、お腹の中から、突然人間の胎児が出てきたので、非常に驚いた。1/21

里山できれいな水が湧いて出たので、これはもしかすると「聖水」ではないか?と科学者が調査に乗り出したのだが、担当者の私がその「聖水」と比較対照すべき「水道水」とをごっちゃにしてしまったので、この件は、いつしか有耶無耶になってしまった。1/22

ともかく夢の世界なので、ふわふわしてはいるが、自由そのもので、何でもやろうと思えばできそうなので、ははあ、これが無政府状態というやつか、と思うた。1/24

マガジンハウスのO氏も、朝日新聞のA氏も、リーマンをやりながら自分の会社を持っているというので、「よーし、オラッチも!」と意気込んで、会社を立ち上げたのだが、はてさてどういう仕事をしていいのか分からないのだ。1/25

「これでも詩かよ」の原稿を持ち歩いていたら、版元が経営している画廊で、他のアート作品と組み合わせて、なにやら意味ありげに陳列してくれたのだが、素直に喜べない複雑な心境のわたくし。1/27

夜中に、妻の叫び声が聞こえたので、飛び起きると、闇の中に、小人の姿が見えた。そいつは、松明だか、燈明だかを、左手で掲げながら、畳の上を、滑るようにゆっくりと、私に向って歩いてくる。1/28

私とKは偽京大生で、いつも西部講堂に出入りし、学食でランチをとっていたのだが、Kはいつのまにか文化祭の総合プロデューサー役に任じられ、それを見事に成功させて、本物の京大生たちの拍手喝采を浴びていたので、私は激しく嫉妬した。1/29

その作家は、皇居前広場を埋め尽くした人々のど真ん中に突っ立って、昨夜完成したばかりの7つの短編小説を、大きな声で朗読していた。1/30

私は、木造13階建ての集合住宅の最上階に住んでいて、各階の住人たちと仲良く暮らし、朝から晩まで、東西南北全方位の眺めを堪能していたが、風が吹く度に、部屋全体が左右に揺れるので、まるで船酔いのような状態になるのだった。1/30

トレーダーの私の同僚の女性は、夢遊病患者で、仕事中に突然意識を失ってしまうので、私は、別に誰から頼まれた訳でもないが、彼女のピンチヒッターを務めて、時には大儲けさせてやったりしていた。1/31

私は、昔から企画室のデザイナーに憧れていたのだが、ふとしたことから、MDのナガタ氏の部下の女性たちと仲良くなって、毎日のように、会社の近所の原宿のレストランでランチをするようになった。1/31

  こうやっていろいろ短歌をつくってもそれがいったい何になるんや 蝶人
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「夢は第2の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」 第74回

2019-06-21 21:25:49 | Weblog


西暦2018年師走蝶人酔生夢死幾百夜


ここは下町のダサイ一角なのだが、その中にあって、はきだめの鶴のような、いつも身ぎれいにしている夫婦が住んでいた。あれはいったいどういう経歴の人だろう。いちど話してみたいものだ。12/2

電通映画社のマツオさんが「私はササキさんから、この仕事をいただきました。私のクライアントは、ササキさんです。ササキさんの上司が、横からなんといおうと、それは関係ない!」と厳かに言明されたので、私は大いなる感銘を受け、粛然と襟を正した。12/3

じつは私は、セゴドンの子孫なのだが、何となく言い出せないままに、時が流れ、気がつくと、大正時代になっていたので、もうどうでもいいや、と黙り通した。12/4

男のおしゃれの話で盛り上がっていたところへ、、ある流行作家が、1人の女に詰め寄った。彼女は、どうやらタカハシという人物と、二股をかけていたようだが、お陰でみんなは、しらけてしまった。12/4

そのだだっ広いフグちり屋は、昼間はカレー屋なので、うすいフグちりにカレーがついて、なんともいえない奇妙な味になるのでした。12/5

そのベレー帽の男は、ムニャムニャ言いながら近寄って来て、いきなり私の股ぐらに手をやったので、どたまに来た私は、あっという間に、彼奴を叩きのめしてやった。12/6

超貧乏監督の私は、ペイデイになると、スタッフ全員に給料を払ってやっていたので、たちまち、一文無しになってしまった。12/6

太刀洗の朝夷奈の滝の辺を飛んでいた2頭のキチョウを、ジャンプ一番バケツで捕まえたら、ミエコさんが拍手した。12/7

彼はアパレル業界、私はダンス業界で、「お互いに切磋琢磨しよう」と、誓い合っていたのだが、ふとしたことから、彼が憂愁のスカーレット・ヨハンセン似の女のどつぼに嵌りこんでしまったので、すべてハチャメチャになってしまった。12/8

1日に1本だけ走る1両編成の列車に乗り込もうとしたら、車両の中は、惨たらしい死体ばかりなので、いったいこれはどういうことなのか、と私は驚いた。12/9

私が長らく監禁されていた城塞に、突如火災が発生したので、私は部屋の高みの窓からの脱出を図って、窓ガラスをぶち破ったのだが、そこからは鳥のように飛翔する以外、切り立った城壁を降りる手段は、見つからなかった。12/10

彼は、ハワイで心臓、グアムで肝臓を手術したのだが、費用が高かったうえに、術後の経過も思わしくないので、「なんではじめから日本でやらなかったのか」、と後悔していた。12/12

各社の毎日の売り上げデータが、一列に並んでいるのを、順番にクリックして、月別のデータに、その数字を付け加えていくのが、私の仕事だが、時々自分が何をやっているのか、さっぱり分からなくなる瞬間がある。12/13

お隣のヒグチさんは、我が家との境界を超えた雑木を、火炎放射器で焼き払おうとしているのだが、どういう訳だか、その不思議な木は、いつまで経っても、燃えないのだった。12/14

新田義貞の私は、その時、よせばいいのに調子に乗って、敵を追い散らさんものと単騎田圃の畦道を全力疾走したのが運の尽き、さながら平将門のごとく、飛んできた鏑矢に額を射抜かれてしまったのだった。12/15

ケン君と一緒に、なんとかいう名前の大先生を訪ねて、講演の依頼をしにいったが、けんもほろろに断られてしまった。12/16

晴れた日に、宇宙船からぼんやり地球を眺めていたら、我が家の妻君が、露台で布団を干しているのが見えた。12/17

「私のもとで、あれほど合気道を徹底的にやっったのだから、3年間のムショ暮らしなんか屁でもないよ」と、ヨシダ師は励ましてくれた。12/18

一大飢饉に襲われた村で、ケンちゃんに似た1人の少年が、頭上に直方体の箱を乗せて立っている。人々が少年に近付くと、そこからは、夥しい清水が迸り出るのだった。12/19

乗りつけないトヨタ・プレジデントの後部座席に座っていると、運転手のハスイケ君が、「社長、ニコクの駐車場に入れていいですね」というので、「いいとも」と答えてふんぞり返っているのだが、ニコクっていったい何だろう?12/19

村人たちが、「今日はとてもきれいな夕焼けだねえ」と、溜息をつきながら西の空を眺めていると、突然太陽が爆発して、山々が燃えはじめ、火はたちまち村全体に広がって、すべての家屋敷が焼け落ちてしまった。12/19

こないだ大貫妙子が、「メトロポリタン美術館」を歌っていたホテルのロビーに、巨大な旅客機が舞い込んできて、出口が見つからないのか、エンジンをぶるぶるいわせながら、鯉のぼりの鯉のように、同じところを行ったり来たりしている。12/20

「あなたの会社で一等変な人に会わせてくれ」と、顔見知りの業界紙記者から頼まれたので、さる奇矯な男を紹介したのだが、それからしばらくして、あろうことか、その変な奴がわが社の社長になり、またしばらくしてから、会社を潰してしまった。12/21

私は、ササキマサミ先生の自閉症連続講演会で、ボランティアをしていたのですが、その都度預かっている子供の成長が著しいので、驚かされました。12/22

ふと気がついて、あたりを見渡したら、みんな死んでいた。12/23

この小屋では、心身に障ぐあいを持つ人々が、いつでも自分の芸を勝手に披露したり、飲んだり、食うたりできるのだった。12/23

「ササキ課長、今日のスキヤキ定食美味しいですよ。席までお持ちしましょうか?」とシミズ嬢がいうので、座ってじっと待っていたが、いつまで経っても持ってこない。そのうち社食の営業時間が終了して、食堂には誰一人いなくなった。12/24

いよいよアメミヤ氏がプレゼンする番になったが、彼は自分の服の上に、雪や霜のように降らせた白いフケを指さして、「これを大量生産して、海外に輸出すべきだ」と論じたので、経営者たちは、言葉を失った。12/25

ここは見渡す限りの大草原で、いろいろなところから家族連れでやって来た人々は、三々五々思い思いの場所に寝そべって、英気を養っていた。12/26

半裸の真梨邑 ケイが、追って来る。逃げても、逃げても、追って来る。もし追いつかれたら、どおゆうことになるか、よく分かっているので、逃げる、逃げる、懸命に逃げる、わたし。12/27

私はひとかどの能役者なのだが、一大野外公演のギャラが破格の高額だったので、「半額でいいよ」と申し出たら、何をどう誤解されたのか、「本日の出演者の出演料は、恵まれない子供たちに、全額寄付されます」とアナウンスされたので、急にやる気を失った。12/28

私らは、瑞西のトーンハレ劇場の前で、ひしと抱き合って接吻していたのだが、その姿は、ただちに映像化され、まるで油絵のような静止画となって、わが脳裏に焼き付けられた。12/29

私はレーサーだった。猛烈な勢いで、次々に車を追い抜いていたが、運転するのにも、追い抜くのも、飽きてしまったので、カーブを曲がり損ねて、転倒してしまった。12/30

左手にケータイを握りしめ、ミヤハラ・トモコを追い抜いていく。私らは、10キロの急勾配を、スケボーやフィギュアやローラースケートなどで滑り降りながら、短歌を一首詠んで、その出来栄えと着順の総合評価で、順位を決める競技に熱中していた。12/31


  窓辺からチャイコフスキーの舟歌流れ今年も水無月がやってきた 蝶人
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忙中閑ありクラシックCD鑑賞 

2019-06-20 13:54:58 | Weblog


音楽千夜一夜 第430回


1)オットー・クレンペラー「ロマンチック・シンフォニー&序曲集」10枚組

ベルリオーズ、ドボルザーク、メンデルスゾーン、シューベルト、シューマン、チャイコフスキーなどの有名作曲家の代表曲をすべて楽しむことができる素晴らしい超お買い得コンピレーション。交響曲はもちろん序曲の隅々まで、凡庸のかけらもない新旧フィルハーモニア管による見事な演奏です。

2)カール・ベーム・ザ・コレクション3「モザール4大オペラ集」10枚組

コシ、魔笛、フィガロ、ドン・ジョヴァンニの名曲を、1955年当時の充実しきったベーム選手が、ウイーンフィル、ウイーン響を強力にドライブして、これぞモザールという演奏を繰り広げる。ゆるぎないこの人のテンポが、余人に代え難い楽興の時を作り出します。
すべてモノラル録音ながら鑑賞にはまったく差し支えなし。



   人間をナイフで殺すのも車で轢き殺すのも殺人は殺人 蝶人
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国立能楽堂で「第19回青翔会」公演を見物しながら

2019-06-13 14:10:22 | Weblog


蝶人物見遊山記第310回&遥かな昔遠い所で第88回



千駄ヶ谷まで足を運んで能楽研修発表会を見物しながら、私はさいきんなぜだか能にひきつけられていく自分を不思議な思いで見つめ直していました。

というのもせんだって久しぶりに郷里に帰って、何気なく亡き祖父小太郎の手文庫を開いてみたら、宝生流の謡本大全と合わせて明治、大正、昭和3代にまたがる能関連の公演プログラムが出てきて、その中に祖父の名前があったからです。

彼が時々「東遊びの数々にい……」で始まる「羽衣」をうなっている姿は目撃していましたが、まさか「蝉丸」「鉢木」「俊寛」「隅田川」「藤戸」「頼政」「弱法師」「雲雀山」などを綾部、福知山、京都(枳殻邸の座敷能舞台)などで何度も演じていたとは迂闊にも知りませんでした。

昭和34年の綾部の「大本みろく殿」で開催された宝生流夏期謡曲大会で、祖父は「俊寛」のシテ役を務めていますが、当日の催主は、な、なんと大本教3代教主の出口直日で、彼女は出口京太郎氏と共に「藤」の舞囃子を務めているのです。

大本内部の分派闘争を戦っていた教主と、郡是を創始した波田野鶴吉翁の薫陶を受けて熱烈なるクリスチャンだった祖父小太郎が、同じ「みろく殿」の能舞台で舞ったり謡ったりしていたかと思うと、なんだか夢のようです。

宝生流の免許相伝状!も出てきました。大正11年9月に「大原御幸」「「攝待」「景清」「綾鼓」「求塚」「 砧」「定家」「卒塔婆小町」「鸚鵡小町」「木賊」の謡を17世宗家の寶生重英氏から相伝したというのですから、実力のほどはともかく丹波の下駄屋のオジサンの素人芸をいささか越える領域にまで達していたのはまず間違いないでしょう。

聞けば横浜に住んでいた妻君の祖父も、観世流の能楽師だったというからには、私が能楽の響きに惹かれる浅からぬ因縁があったのかもしれませぬ。

そういう個人的な感慨に耽っていたために、残念ながら「吉野天人」をメインとし「葛城」「融」「舎利」「萩大名」を加えたこの日の公演の記憶は定かではありませんが、長所よりも「舎利」における超ブタブタ君がドスンドスンと無闇に跳躍するてふ、能にあるまじき無様さと、狂言「萩大名」における野村万之丞(アドの上杉啓太も)の聞き取り困難な発声の悪さ、といった短所が、現在に至るも脳内記憶の奥底に不気味なまでに游曳している次第であります。


「丁寧に葉書の文字を書くことが選んでもらう近道よ」と妻 蝶人

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家族の肖像~親子の対話その46 

2019-06-12 18:34:32 | Weblog


ある晴れた日に第571回



お母さん、被告人て、なに?
悪いことしたかもしれない人よ。

お母さん、人工呼吸て、なに?
苦しくなったときによ。

社長秘書て、なに?
社長さんのお仕事を助ける人よ。

お父さん、磯子行きは、磯子までしか行かないよね?
そうだね。

お母さん、Uターン禁止って、なに?
Uターンしちゃいけません、てことよ。

お父さん、舞踏会って、なに?
みんなで踊る会だよ。

お母さん、ムク、どこが痛かったの?
さあねえ、どこだろうねえ。

お母さん、ぼく、石原さとみと暮らしていますよ。
えっ、あの石原さとみと!? いやだコウ君、石原さとみの写真とでしょ?
ぼく、石原さとみと暮らしています。

成人、はたちになるの?
そうだよ。

お母さん、諸君て、なんのこと?
みんな、よ。

がっかりは、なに?
ガックリすることだよ。
がっかり、がっかり。

お母さん、船頭さんって、なに?
船を運転するひとよ。

私は船頭さんです。
はい。
船頭さん、船頭さん。

お母さん、人質って、なに?
悪い人に捕えられることよ。

さあ、なんでも聞きなさい。
よていのよの漢字、教えてください。
なぬ?

2019年2月
お父さん、明治はチョコレートでしょ?
ピンポン。では森永は?
チョコレート!
ブウウ。森永はキャラメルだよ。

お父さん、16はシクスティーンでしょ?
そうだよ。じゃあ17は?
セブンティーン!
よく知ってるね。

お母さん、花ざかりって、なに?
花がいっぱい咲いていることよ。

お父さん、あなどっちゃ、だめだよね。
そうだよ、あなどっちゃ、だめだよ。

お母さん、受けとめる、は?
受ける、よ。

ヒコクニンって、なに?
罪を犯したかもしれない人よ。

お父さん、最近、は?
ついこの頃のことだよ。

お父さん、いけませんは、ダメなことでしょ?
そうだね。

お母さん、ぼくは綾部のおばあちゃん、好きだよ。
そう。

お母さん、タイミングって、なに?
ちょうどいいときよ。

迷路って、なに?
まよいみちよ。
グルグル廻る。グルグル廻る。

お母さん、ぼくピノキオ好きですよ。
そう、お母さんもよ。

お母さん、激励会って、なに?
元気でやってね、と励ます会よ。

殺虫剤、シュツ、シュツでしょ?
そうだね。
シュツ、シュツ、シュツ。

お母さん、非常口って、なに?
なにかあったときに逃げる道。

成人、はたちでしょ?
そうよ。

お母さん、ぼく、鎌倉すきですお。
そう。

お母さん、成功って、なに?
とてもうまくいくことよ。

ゲームオーバーは、ゲームおわり、のことでしょう?
そうよ。

コウ君、ナナエちゃん、亡くなったんだって。
ナナエちゃん、どこで亡くなったの?
分からないけど、やすらかに亡くなったと思うよ。
ぼく、ナナエちゃん好きだよ。
お母さんもよ。

むかしは、以前、でしょ?
そうだね。

発車間際って、なに?
発車する前よ。

カドさん、どこでお仕事してたの?
国会図書館だよ。
国会図書館、どこにあるの?
東京の国会図書館だよ。
カドさん、引っ越したの?
したよ。

お母さん、知ってるはずって、なに?
知っているに違いない、よ。

コウ君、今夜は水炊きにしますか、それともオデンにしますか?
ぼく、オデンがいいですお。
そう。オデンには何を入れますか?
えーと、えーと、卵とお、ジャガイモとお、コンニャクですお。
分かりましたあ。

扁桃腺、どこ?
お口の中よ。コウ君、ノド痛いの?
痛くないですお。
そう? 大丈夫?
大丈夫ですお。

お母さん、「コロは屋根のうえ」お願いします。
はい。「みんなの歌」ですね。

平気は、大丈夫のこと?
そうだよ。

お母さん、交番って、なに?
お巡りさんがいるとこよ。

お父さん、ぼく目耕堂、好きでしたよ。
お父さんも好きだったよ。あの本屋さん、どこにあったっけ?
芋川病院の下の1階にありましたよ。
そうだったねえ。

各店って、なに?
それぞれのお店、だよ。

わたし、ヨシダキョウコです。
ヨシダキョウコさん、ツメを切りましょう。
はい、分かりました。

蓮は、白い花とかでしょう?
そうよ。
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ジャン・ド・ブリュノフ作・矢川澄子訳「おうさまババール」を読んで 

2019-06-11 09:07:59 | Weblog


照る日曇る日 第1265回

「ぞうのババール」シリーズの第3巻では、立派なおうさまになったババールが、ぞうたちの王国を大車輪で建設します。壮大なセレストビルには王宮や顧問になったおばあさんの邸宅、ぞうさん全員の住宅をはじめ、公園や港、劇場や学校、みやこにふさわしいインフラが整備され、「ぞうのくにのうた」という国歌まで誕生します。

ぞうのくにでは初めて職業と職人が作りだされ、ぞうさんたちはそれぞれのぞうさんにふさわしい仕事をするようになります。

くに一番の賢人コルネリウスとおばあさんは不慮の災難に見舞われて死にかけますが、空向こうからやって来た天使たちが悪魔たちを追い払って、めでたしめでたし、ぞうのくにには長く平和が続いたのでした。

この絵本は物語も素晴らしいが、翻訳担当の矢川澄子さんの手描きのレタリングがいい味を出している。一気呵成に書き上げた文字のひとつひとつに、かけがえのない個性が宿っているようです。

 トランプはんがもし運転手なら誰ひとりバスや電車に乗らないだろう 蝶人
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ジャン・ド・ブリュノフ作・矢川澄子訳「ババールのしんこんりょこう」を読んで 

2019-06-10 15:18:21 | Weblog


照る日曇る日 第1264回


「ぞうのババール」シリーズの第2巻です。

喜び勇んで新婚旅行に出発したおうさまババールとおきさきのセレストでしたが、乗り込んだ気球が嵐に遭って絶海の孤島に漂着。ぐっすり寝込んでいたセレストは、その島に住んでいた野蛮な原住民たちに捕まってしまいますが、帰って来たババールの大活躍で撃退。

たまたま島に近づいてきたくじらの背中に跨って、再び出発しますが、その後もサーカスに売り飛ばされたりして苦難の道をたどります。

けれども親切なおばあさんに助けられて一緒に帰って来た母国では、大変なことになっていました。狂暴なサイとの戦争に敗れて仲間のゾウたちは打ちひしがれていたのです。

そこで一計を案じたババールは、第2次ぞうvsさい戦争に勝利を収めて平和と名誉を取り戻したのでした。めでたし、めでたし。


  CMの「オリーブオイルはキヨエ」なる唄取り憑きて脳より離れず 蝶人

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