あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

さよなら四月

2017-04-30 14:11:41 | Weblog


これでも詩かよ第210番&ある晴れた日に第448番




だいだい色の夕空の下、
ぼくらは、思いっきり。両手を伸ばして、羽ばたいた。

のぶいっちゃんが、いた。ひとはるちゃんが、いた。
みわちゃんが、いた。ぜんちゃんも、いた。

ブーン、ブーン、ブーン
ぼくらは、みんな、ヒコーキだった。

丹波の、綾部の、西本町だった。
春の空気は、冷たかった。

のぶいっちゃんが、歌った。
「だーるまさん、こーろんだ」

ひとはるちゃんが、歌った。
「ぼんさんが、へーこいた」

みわちゃんが、歌った。
「商売繁盛、笹持ってこい」

ぜんちゃんも、歌った。
「弁当忘れても、傘忘れるな」

みんな、みんな、幼かった。
みんな、みんな、夢を見ていた。

みんな、みんな、いいこだった。
みんな、みんな、いいこだった。


      人も世も明るい地獄四月尽 蝶人

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プレミンジャーとシュレシンジャー

2017-04-29 12:55:45 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1166、1167



○オットー・プレミンジャー監督の「帰らざる河」をみて



ロバート・ミッチャムとマリリン・モンローの競演が楽しい。

ミッチャムは敵を背中から撃って牢屋に入っていたというのでモンローにも息子にも軽蔑されてしまうが、最後に不倶戴天の敵を息子が背中から撃ち殺してミッチャムの危機を救うというのが、この親子鷹西部劇大作の味わい深いミソなり。

モンローの歌とギターもなかなかいい味を出しているが、あれは本人の演奏なのだろうか。

「帰らざる河」の筏下りは迫力があるが、画面の合成が原始的なのでちょっと鼻白む。

それといわゆるインデイアンの扱いが、あまりにもステレオタイプなので困る。

ハッピーエンドで帰郷することになったのは喜ばしいが、帰るや否やまたしても襲撃されてしまいそう。




○ジョン・シュレシンジャー監督の「マラソンマン」をみて



ナチの生き残り(ローレンス・オリヴィエ)に命を狙われたマラソンマン(ダスティン・ホフマン)が、兄と父親の仇をうつ話だが、いったい誰が的で誰が味方なのかはらはらドキドキの複雑怪奇な物語を、悠揚せまらず描き切るしたたかな演出力に舌を巻く。

これぞ映画だ。しかし、麻酔なしに神経まで歯をドリルされる拷問は身の毛がよだつ。




      自民3、公明3、共産3、神奈川ネット2、民進1その他14なりき鎌倉市議選  蝶人

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旅の日のモーツァルト

2017-04-28 10:44:30 | Weblog


音楽千夜一夜 第388回


1787年の秋、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトとコンスタンツェ夫妻は、ウイーンを発ち、3頭の郵便馬に曳かれた駅馬車に乗ってプラハに向かいました。

故郷ザルツブルクやウイーンと違って、つねにモーツァルトに好意的だった中欧の音都で、彼の畢生の傑作歌劇「ドン・ジョヴァンニ」を初演するためでした。

メーリケの小説「旅の日のモーツァルト」(岩波文庫・宮下健三訳)を読むと、この秋の日の天才音楽家の浮き立つような高揚した気分が、めまぐるしく回転する車軸の軋みと共に、読む者に生き生きと伝わってきます。

この年の5月には父レオポルトに死なれ、ウイーンでの暮らしにはいささか暗雲がたちこめてきた31歳のモーツァルトでしたが、名作「フィガロの結婚」に続いて「ドン・ジョヴァンニ」を書き終えたこの若者は、「ウイーンが駄目なら、プラハがあるさと」ばかりに、胸に希望を膨らませながら、橙色の美しい駅馬車に乗り込んだのでした。

この生きる喜びにあふれた「旅の日のモーツァルト」にもっともふさわしい音楽、それは彼が女流ピアニストのジュノーム嬢に捧げた、ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271の第3楽章2分の2拍子のロンドでしょう。

たとえ世の中に絶望と不安が渦巻き、心身共に疲労困憊していても、モーツァルトの希望の調べを耳にすると、たちまち一縷の光が前途に差し込んでくるのですから、音楽の力は偉大です。

では早速、わが内田光子嬢の若き日の演奏で聴いてみましょう。第3楽章の冒頭から終りまで聴いた後、第1楽章から全曲聴いて頂けたらうれしいです。


  https://www.youtube.com/watch?v=k-wbyyI-380

 *写真の前列左端が、1840年78歳のモーツァルトの妻、コンスタンツェ。彼女はその2年後に没した。


   37名の候補者のうちただ1名だけが手書きのポスター 蝶人
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別にみたくてみた映画ではないけれど、みたら別にどうってこともなかった5本の映画

2017-04-27 11:46:34 | Weblog



闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1161、1162、1163、1164、1165


○ポール・ハギス監督の「スリーデイズ」をみて

おやなんだか昔見たような映画だなと思って見物していたが、これは2008年製作のフレッド・カヴァイエ監督の「すべて彼女のために」というフランス映画の2年後のリメイクだったずら。
まあ突然降りかかった災難に生真面目で実直な旦那がそれこそ獅子奮迅の大活躍をして包囲網を突破して奇跡の大脱出に成功するんだが、おらっちにはまんず無理だねえ。


○ピーター・バーグ監督の「ハンコック」をみて

ジャズの映画かと思っていたらウィル・スミスが乱暴者のスーパーマンになって天地狭しと駆け巡るお話だった。不死身かと思っていたらそうではなくて、前世で妻だったシャーリーズ・セロンと一緒に居ると神通力が衰えて敵にやられてしまう。超人の世界もいろいろと苦労が多いのである。


○ロバート・ゼメキス監督の「キャスト・アウェイ」をみて

国際宅急便会社に勤める男の乗った輸送機が墜落したが奇跡的に太平洋の孤島に漂着、さながら現代版ロビンソンクルーソーのような4年間のサバイバル生活が続く。その間に彼の恋人は他の男と結婚し子供まで出来ていた。彼女への愛だけが男の支えだったのに、いという悲劇をトム・ハンクスが熱演するが、ちょっと脚本が長すぎてしつこい。観客を泣かせるようとしすぎずら。


○ジョー・カーペンター監督の「ニューヨーク1997」をみて

1997年にマンハッタン島全体が牢獄になっているというSF物。主人公のカート・ラッセルが囚人に拉致監禁されている大統領を、獅子奮迅の大活躍をして奪還するというお話だがとくに面白いということもない。


○ジョン・ファヴロー監督の「アイアインマン2」をみて

前作をみなかったのでさっぱり分からんかったが、武装スーツを着用するとスーパーマン並みの無敵男になるらしい。男の役者はどうでもよいがスカーレット・ヨハンソンがいろぽかったなあ。


 森友をすぐに忘れて今村にホイホイ飛びつく軽薄な民 蝶人
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「探す」映画3本立て

2017-04-26 14:36:17 | Weblog

闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1158、1159、1160


○チャン・イーモウ監督の「あの子を探して」をみて

中国の寒村で小学生の臨時教員を頼まれたまだ子供の先生が町に働きに出された生徒を必死に探し、ついに見付けだすまでの大変話。最後のハッピーエンドはかなり強引すぎるが、バラバラだった教室がひとつになっていく過程が楽しい。1999年の製作。


○スティーヴン・ザイリアン監督の「ボビー・フィッシャーを探して」をみて

チェスの名人ボビー・フィッシャーを凌駕する才能の持ち主と期待された実在の少年の半生を描くビルダングス物だが、この少年よりも謎多きボビー・フィッシャーを主人公にした映画をみたかったずら。


○ジョエル&イーサン・コーエン監督「トゥルー・グリット」をみて

1969年にヘンリー・ハサウェイがメガフォンを取りジョン・ウェインが主演した「勇気ある追跡」と同じ原作を、2010年にコーエン兄弟が映画化したものだが、前者のおらかな楽天性がぬけおちて、悲愴な現実感が全面に出てきている。
そもそも父親を不当に殺された少女がプロのガンマンを雇って敵討ちをするという話なのだが実際にあったのかしら。
ラストでヒロインがガンマンを尋ねるシーンが哀切ずら。



 谷戸の奥そのまた奥まで乗り入れて候補者名をマイクで叫ぶ 蝶人
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「ブルース・ブラザーズ」2連発

2017-04-25 13:53:41 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1156、1167



○ジョン・ランディス監督の「ブルース・ブラザース」をみて

面白くなければ映画じゃない、を地でいくウルトラ・ポップ・ミュージカル・コメディの快作。死んだ弟はほんとに惜しいことえをした。すぐに爆弾を爆発させる女はなんとツイギー。いまこんなことやったらISの自爆テロと間違われるだろう。昔は良かった。


○ジョン・ランディス監督の「ブルース・ブラザース2000」をみて

前作に比べてジョン・ベルーシの出ないブルース・ブラザースはいくら黒メガネの黒服男が歌をうたってもまったく詰らない。それこそ天と地の違いずら。


  近隣の誰や彼やが訪ね来て「市議選には宜しく」と挨拶される 蝶人



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「ロード・オブ・ザ・リング」3連発ずら

2017-04-24 09:39:11 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1153、1154、1155



○ピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」をみて

トールキン原作の「指輪物語」の2001年製作の映画版ずら。途中で止めようかと思ったが我慢していると少しずつ面白くなってきた。でも私はこの主人公の少年の顔が好きになれないのだ。目が死んでいる。


○ピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング/2つの塔」をみて

「泰山鳴動して指輪1個」というのがこの映画のテーマであるが、本作では指輪そっちのけで天地が轟鳴して、そのまま終わってしまうのであったあ。

強いて見どころをあげれば、巨大な樹木が戦闘に参加するのと、善悪の両心が1身内で相争うスメアゴル(ゴクリ)の造型が興味深い。



○ピーター・ジャクソン監督の「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」をみて

勝っても勝っても続々登場する新たな強敵。巨象の弱点は足だったというのはスターウオーズのぱくりか。

それにしても主人公のホビット、フロド・バギンスの優柔不断と弱弱しさにはみていてもいらいらする。従者のサムの方がよっぽどましな人間?であるなあ。

ワーグナーでもそうだが「指輪」なんぞ一向に世界と人類の為にならなということがいまさらながら分かる?長旅御苦労さん物語ずら。


        散り果てて見る人もなき桜かな 蝶人

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由良川狂詩曲~連載第11回

2017-04-23 11:52:48 | Weblog


第4章 ケンちゃん丹波へ行く~いざ綾部へ!
                     

「よおし、分かった。僕はすぐに綾部へ行く。お前もすぐに由良川へ戻って、みんなに安心するように伝えてくれたまえ」

と、ケンちゃんは漱石の坊っちゃん風に水盤に向かって叫びました。
それを聞いたQちゃんは、思わず、

「やったあ、やったあ、ついにウナギストとしての使命を果たせたぞお。うれしいなあ、うれしいなあ!」

と、本日最長不倒距離の跳躍を試みて、その喜びを力強く表明したことでした。

ケンちゃんは、波頭を超えて数千里の大冒険が終ったばかりだというのに、ふたたび命懸けの大旅行へ旅立つ、か細いQちゃんの背中を、そっと人差し指で名でなでてやってから、水盤の中のQちゃんを、手のひらですくいとり、自宅の前をさらさらと音を立てて流れる滑川の支流へ、そっと放してやりました。

Qちゃんはケンちゃんに向かって尾ひれを小さく3回振って、さよならをいうのももどかしそうに、彼なりの全速力で下流めがけて泳いでいったのですが、Qちゃんのそんな姿を、この付近をいつも周回しているシラサギとカワセミが、無言で見送っていました。

「さ、急に忙しくなったぞ。今日中にぜんぶかたずけなくっちゃ」

ケンちゃんは、ふだんはやりませんが、やる時はやる男の子です。
その日のうちに全教科の1週間分の予習復習宿題その他もろもろを一気にやっつけてしまうと、大好きなお母さんと兄貴のコウちゃんに宛てて、さらさらと書き置きをして、冷蔵庫の扉に貼り付けました。

そしてドラエモンの貯金箱を金づちでぶち壊して出てきた全財産を、着替えと一緒にリュックの中に入れ、その日の午後1時5分、十二所神社発鎌倉駅行きの京急バスに飛び乗ったのでした。

冷蔵庫のメモにはこう書かれていました。

「お母さん、コウくん、お帰りなさい。突然ですが、綾部へ行ってきます。
由良川の魚たちが、悪い奴らに滅ぼされてしまいそうなんだ。
そして、僕しか助けられないんだ。
だから、2,3日綾部へ行ってきます。
5月の連休で学校も日曜を挟んで3連休だからいいでしょ?
綾部のおじいちゃんとおばあちゃんに、電話しといてください。
お金は、貯金を使うからダイジョウブ。
心配しないで帰りを待っててネ。バイビー!
追伸 勉強はぜんぶ終わらせといた」

そしてその日の午後3時ごろ、鎌倉駅から横須賀線に乗ったケンちゃんは、一路丹波に向かったのでした。

横浜駅で新幹線に乗り換え、京都に着いたのが午後7時半、そこから山陰本線の急行で1時間半、ちょうど夜の9時過ぎにケンちゃんは綾部の旧市街の目抜き通りににある「てらこ」の入り口に立っていました。

「こんばんは、ケンです!」

と言ってケンちゃんが、既に店仕舞いを終えたのに煌々と明かりをともしている下駄屋さんのガラス戸をとんとんたたくと、おじいちゃんとおばあちゃんが、2人揃って飛び出してきました。

「おお、、おお、よおきたのお、ケンちゃん。鎌倉のお母さんから電話があったから、まだか、まだかと待っとったんやど」

セイサブロウさんは、そういって可愛い孫の顔をうれしそうに、心配そうに、のぞきこみました。おばあちゃんのアイコさんは、黙ってケンちゃんを抱きしめ、ほっぺたにブチュっとキスをしました。
ケンちゃんはすぐに逃げ出そうとしたのですが、アイコさんはなかなか放してくれません。

その夜は、久しぶりに話が弾みました。
綾部と鎌倉の2つの町を結ぶ有名な武将の話を、セイザブロウさんがしてくれたのです。

室町幕府を開いた足利尊氏の母は、その名を上杉清子といい、上杉の本貫地は丹波の上杉でした。彼女は上杉の光福寺というお寺で生まれ、少女時代を過ごしたのです。
光福寺はのちに丹波安国寺になりますが、このお寺は足利氏支配下の全国に設置された安国寺の筆頭と定められ、最盛時には寺領三千石、塔頭十六、支院二十八を数えました。
丹波梅迫の安国寺は、綾部の市街地から由良川を隔てた北の山の斜面にあり、本堂の右手の木陰に清子と尊氏、そして尊氏の妻、赤橋登子の墓が並んでいるそうです。

その足利尊氏は鎌倉に住み、後醍醐天皇の命によって、新田義貞などと共に鎌倉幕府を倒し,京に室町幕府を開いた人ですから、綾部に生まれ、京に遊び、鎌倉に住むケンちゃんのお父さんと少し共通点があるような気もしますが、時代も人物のスケールもまったく違うので、やはり全然関係ないのでしょうね。

ところでケンちゃんのお父さんのマコトさんは、半年前に会社の仕事でNYに出張したのですが、一週間で帰国するはずが、どういうわけか行方不明になり、NY市警に捜索願を出したのですが、今のところなんの手がかりもないのです。

支店の人の話では、なんでも三カ月ほど前にブロンクスで黒人の女性と一緒に歩いているところを見かけたそうですが、それっきり。
みんなは、事故にでも遭ったのではないかと心配しているのですが、じつはマコトさんは以前スペインのマドリードでも行方不明になり、半年後に突然成田に元気な姿を見せたので、会社も家族も、もうすぐ帰ってくるだろうと、たかをくくっているのでした。

そんなわけで父親不在のケンちゃんでしたが、とっても元気。
アイコさん心づくしのタケノコご飯を、おいしくいただき、その夜はぐっすりと眠りました。

                                  つづく

  トランプが褒め殺しする習主席その手が通じるのは安倍蚤糞だけ 蝶人


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夢は第2の人生である 第41回 

2017-04-22 10:59:01 | Weblog


西暦2016年卯月蝶人酔生夢死幾百夜


会社の事務の人が今日でお別れだというのに、その課の人が誰も誘わないので、一緒に食事をした。はじめてちょっと話をしただけだが、優秀な人だと思った。4/1

僕たち3人の山岳兵はファシスト政権軍と戦っていたが、そのうちの1人が負傷したので、ひとたびは見捨てて立ち去ろうとしたが、思い直して2人で、山奥の隠れ場に退避し、彼の傷が癒えてから、再び前線に立ちもどった。4/2

酒池肉林の限りを尽くしたあとで、この世の別天地のような桜花爛漫の国についた私は、紅白の桃の花を咲かせる1本の樹の下で、夢のようなひとときを過ごした。4/5

私の城に遊びにやってきたパバロッティの前で、私が彼のライヴァルであったドミンゴとカレーラスのLDばかり映し出していると、次第に怒りをあらわにして、額に青筋が立ってきた。4/5

社食で昼食をとろうとしたら、ランチメニューが品切れで困っていたら、他のメニューの惣菜をかき集めて急遽新ランチを作るので、あと10分待ってほしいとアナウンスがあった。4/6

カール・ヘルムのジーンズを身に付けた私は、リングの上で黒人にヘッドロックされて息も絶え絶えになっていたが、シンヤ君がいたので、「今度LAに行ったらジーンズを2本買ってきてくれないか?」と頼んだ。

シンヤ君が「いいすよ。ブランドはなににしますか?」と聞くので、私は「ちょっと待ってくれよ。いまこいつをやっつけながら考えてみるから」と返事すると、それまで黙って話を聞いていた黒人が、「やっぱりカールヘルムがいいんじゃないすか」というた。4/6

何ヶ月振りかで登校して、シンジョウ教授の教室に入っていったら、いきなり仏文和訳を命じられたので、目を白黒させて脂汗を流していると「キミは予習をしてこなかったんだな。そおゆう不届きな者は、私の授業に出る資格はない。とっとと出てゆけ!」と激怒せられた。

これは私が悪かった。仕方なく退室しようとしたら、怪しい男が可愛い女の子と一緒に教室に入ってきた。
鈍く光るナイフを突き付けられて蒼ざめているのは、なんと私の昔の恋人ヨイコではないか。私はいきなりヨイコの腕を摑んで、教室の外へ飛び出した。

すると男もあわてて私らの後を追ってくる。
私らはキャンパスの坂道を転がるように駈け下りて全速力で走ったが、男に追い付かれそうになってしまった。
あわやというその瞬間、ヨイコは持っていたバッグの中から財布を取り出し、ありったけのお金をばら撒くと男は夢中になって拾い集め、それを自分のバッグに入れた。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、ヨイコは持っていたバッグの中からiPhoneを取り出し、その場に抛り投げると、男は夢中になってそれを拾った。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、ヨイコは持っていたバッグの中から六つ子おそ松君を取り出し、その場に抛り投げると、男は夢中になっておそ松君を追いかけ、やっと追い付くと自分のバッグに入れた。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、ヨイコは持っていたバッグの中から一松君を取り出し、その場に抛り投げると、男は夢中になって彼らを追いかけ、拾い集めた。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、ヨイコは着ていたジャケットを脱ぎ捨て、その場に抛り投げると、男は夢中になってそれを拾い、自分の身につけた。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、Y子は着ていたセーターを脱ぎ捨て、その場に抛り投げると、男は夢中になってそれを拾い、自分の身につけた。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、Y子は着ていた「天使のブラ」を脱ぎ捨て、その場に抛り投げると、男は夢中になってそれを拾い、自分の身につけた。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、Y子は着ていたスカートを脱ぎ捨て、その場に抛り投げると、男は夢中になってそれを拾い、自分の身につけた。

そのすきに私らは全速力で逃げ出したが、しばらくするとまたしてもその男に追い付かれそうになった。あわやというその瞬間、Y子は身につけていた黒いパンティを脱ぎ捨て、その場に抛り投げると男が夢中になってそれを拾おうとしたので、私は思わずヨイコの手を離し、それを拾って素早く身につけたのだった。

ロンドンまで逃げた私たちだったが、執拗に追ってきたトランプ大統領の手下どもにとうとう捕まってしまった。古くて狭いパブに監禁されている私たちを助け出そうと大勢の支援者が駆けつけ、「一緒に戦おう!」と誓ってくれた。4/8

再び北海道への移住が許可され、私は12人の希望者のひとりとなった。別荘にはスエーデン人の令嬢を同伴していったが、私は彼女に日夜精を吸いとられたために、ほとんど仕事にならなかった。

敵が放つ刺客の暗殺を恐れていた私は、いつも従者を私の身代わりにしていたのだが、ある日その男が私の目の前で暗殺されてしまったので、世を儚んだ私は、すぐさま出家して仏門に帰依した。4/8

私はアイスクリーム店を経営して金儲けしようと、普通の家の改装を業者に頼んだのだが、見積もりを大幅に値切ったせいか、カウンターがあまりにも高くて、お客さんの手が届かないために、せっかく店開きしても、誰も買いに来なかった。4/10

せっかく田舎から上京してここ文藝本部を訪ねてくれたというのに、俳諧部の連中は全員銀行、いや吟行に出かけてしまったので、仕方なく私たち和歌部で対応したのだが、微妙なところで話がバルバロイになって、お互いに消化不良に陥った。4/12

急に腹が痛くなって下痢しそうになった。急いでトイレに走ったが、2人も先客が待っている。ようやく1人待ちになったが、こいつがなかなか出てこない。もう限界と思った時、ヒグマ君がボックスを揺すって、そいつを抛り出してくれたので助かった。4/13

デスクに戻ると黒板の左上に小さな字で「次期WHD担当は佐々木さんです」と白いチョークで書いてある。WHDっていったいなんだ? 私はなにをすればいいんだ?誰かに尋ねようと思うのだが誰一人いない。4/14

2つの大都会の中間部の田舎の小さな町で、私は誰からも知られずにひっそりと暮らしていた。おそらくこのまま無名のままで、地上から消え去っていくのだろう。4/14

「なんとか教」の宣教師は、その聖なる教えについて滔々と御託宣を並べ立てたのだが、私はその間じっと項垂れて、2筋に分かれて放水するオシッコを、なんとか1本にまとめようと腐心していた。4/15

南太平洋の楽園に到着した私は、その島に上陸することになったが、旅の途中で荷物もバッグも財布も無くしてしまったので、この世の極楽と呼ばれるそのリゾートに着いても、てんで嬉しくなかった。4/17

すると落ち込んでいる私に同情したのか、1人の親切な島民が、南洋特産の極彩色の魚を呉れたが、その魚は「私を殺さないでください」とでもいうように、一度も目を閉じないでじっと私を見つめているのだった。4/17

試写室を出ると知り合いのハーフの女の子がいたので、しばらく雑談した。十分に魅力的な容貌と肉体の持ち主だったが、いかんせんあがってしまって、話の継穂が尽きたので「じゃあね、バイビー」と唐突に別れを告げた。4/18

それから私は、女と同棲していた高級アパルトマンの5階の部屋へ帰ろうとしたのだが、突然何年も帰っていない女房のことを、あの懐かしいみそ汁の味と共に思い出し、踵を返して元の古巣への道を辿っていった。4/18

その中国人は見事な料理の達人で、空中からいきなり卵を取り出すと、美味しい卵焼きを即座に作ってみせた。4/19

会社で働いている私に、「電話ですよ」とギャルがいうので、受話器を取って「もしもし佐々木ですが」と喋るや否や、受話器の小さな穴から水が猛烈な勢いで流れ出し、オフィスはたちまち大洪水になってしまった。4/20

自称寛永生まれの「オオサンショウウオお婆さん」のピアノ・コンサートを聴いた。なんでもフジコ・ヘミングウエイとかいうお婆さんの演奏があまりにも酷いので、それなら自分がちゃんと弾こうと思った、のだそうだ。4/20

思いもよらぬところで、偶然昔の恋人と再会した。聞けば離婚した後に再婚し、明日新しい亭主と外国へ旅立つという。私たちは恐らくもう2度と会えないだろうと思いながら軽く抱擁して別れた。4/21

「もしかするとあなたは「ここに1着のセーターがあります」という例のたとえ話を持ち出すんじゃないでしょうね」と彼女が言うので、私はまんまとその挑発に乗って「ここに1着のセーターがあります」で始まる長い長いたとえ話を語り始めた。4/22

彼は昔は私と同じような貧乏人だったのに、最近どんどん金持ちになっていく。「どうして?」と尋ねたら「水道の蛇口からどんどん10円玉が出てくるので、それを貯めてお金持ちになったんだ」と事情を打ち明けた。4/23

CMは細く長く打つのがいいか、それとも資金のありったけを投じて一気に流すのがいいか、大先輩のイマイさんに尋ねたら、「そりゃ断然後者だよ」というので、私は朝から晩まで全局でCMを流し続けた。4/24

進駐軍に差し押さえてられていたオケが、ようやく解放された。指揮者がいないこのオケでコンサート・ミストレスを務める母は、久しぶりにコンサートができる嬉しさを全身で現しながら、上体と頭を激しくゆり動かしつつ、音楽に没入していた。4/26

本日をもって競馬のジョッキーの世界から足を洗ったH氏は、心機一転料理学校に通うことにしたそうだ。4/27

バカ田大学の近所に住んでいた私が、朝早く駅に急いでいると、キャンパスに通学する無数の学生たちが、ワンサカワンサカ大河のように流れてくるので、私は身動きできなくなってしまった。4/29

長らく陰険な上等兵と2人で行動していた私だったが、ようやく上官から独立行動を許され、「アラン・ラッド似の謎の男を追跡せよ」という命令に従って、全国を流浪することになった。4/30


  配所の海に血書経を投じ天狗となりて天下滅亡を祈りし崇徳帝 蝶人

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「谷崎潤一郎全集第8巻」を読んで

2017-04-21 15:05:47 | Weblog


照る日曇る日第962回

「鮫人」「AとBの話」という2冊の単行本に加えて「アマチュア倶楽部」という映画のシナリオ原稿が本邦初公開されている。

これは大正9年に大正活映活動写真株式会社の脚本部顧問に就任した谷崎が、はじめて手がけた正喜劇映画の原作&脚色原稿で、監督はトーマス栗原、主演、葉山三千子で同年11月に有楽座で封切られたというが、いったいどこか「正喜劇」なのか、どこが面白可笑しい映画なのかさっぱり分からない。

本人は書斎で呻吟している小説よりもこっちのほうが健康的だし、とりわけ湘南の海岸でのロケがことのほか気に入ったようであるが、こんな道楽に身を窶すくらいなら、どうしてスリルとサスペンス満載の小説「鮫人」を完成してくれなかったのか、と恨みごとのひとつも言いたくなる。

それはさておき、本巻の白眉は「AとBの話」の中に収められた短編「検察官」であろう。恐らくは戯曲「永遠の偶像」の上演を巡る警視庁検閲部との命懸けの戦いがこの短編に反映されているのだろうが、ここであまりにもリアルに叙述されている検察官と谷崎本人(分身)との戯曲上演許可を巡るやり取りは、藝術表現の自由に対する権力の検閲と弾圧の舞台裏をあますところなく描きつくして比類がない。

もしも国会で審議されている凶暴罪が確定したら、これと何ひとつ変わらない表現者に対する国家権力の介入が数十年ぶりに再開されるのだろうが、果たして誰が谷崎のように勇猛果敢に戦いうるだろう、と思わざるを得ない新治安維持法時代の必読の書である。


  この世をば我が世とぞ思う安倍蚤糞にひれ伏し媚びるこの国の人 蝶人
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ヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」をみて

2017-04-20 10:56:25 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1152


ライ・クーダーのスライド・ギターの劇伴とありそでなさそな雰囲気あるシーケンス作りが絶妙な映画的時空を作り上げているが、お互いに愛しあいながらも紆余曲折、さまざまな行き違いで別々に暮らしていた男(今年90歳!のハリー・リー・スタントン)が、息子を連れて女(ナターシャ・キンスキー)に会いに行くが、どういうわけだか女の元に息子だけ置いて消えてしまう話なり。

ハッピーエンドにしたくなかった、といえばそれまでだが、懐かしの妻を取り戻しに親子で出かけたはずなのに、いくら女が賤業に従事していたからというて、子供だけ預けてとんずらするのは、いかがなものか。

映画とはいえ、一人になった男も、母子家庭になった女も、今後の生活をどうするのかが気になる。殊に可哀想なのは、兄の子を大切に育ててきた親切な弟夫婦なり。

それにしてもパリ生まれでもない可愛い女房を、本当にそうだと勝手に「妄想」してしまう夫なんて、この世にあるのだろうか。サム・シェパードの脚本には問題が多い。


  この世をば我が世とぞ思ふトランプにひれ伏し媚びる安倍蚤糞 蝶人

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邦画2本立てずら

2017-04-19 11:03:18 | Weblog


闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1150、1151



○相米慎二監督の「東京上空いらっしゃいませ」をみて

相米選手はいつも映画の中にいながら映画を乗り越えたいと願っていたひとで、例えばあの長回しの映画が必要とする時間を超えたところにその剰余価値と余情が滲み出ているのだが、しかしやはり映画は映画なので、このまま延々と回し続けたいのだがそれも出来ないので、「しょうがねえなあ」とぼやきながら「カット」と言うのである。


○木村恵吾監督の「新春狸御殿」をみて

役者がみな狸になってポンポコ歌って踊る1959年大映製作の和製ミュージカル映画なり。若尾文子の愛らしさよ!他に勝新太郎、市川雷蔵など。


  凶暴な安倍蚤糞と能天気な蚤糞夫人の共謀を黙って見ている自公維新 蝶人


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自由律詩歌その21

2017-04-18 11:19:52 | Weblog


ある晴れた日に 第447回


かのかのかの

かはかはかは

かひかひかひ

かふかふかふ

かへかへかへ

かほかほかほ

かまかまかま

かみかみかみ

かむかむかむ

かめかめかめ

かもかもかも

かやかやかや

かゆかゆかゆ

かよかよかよ

からからから

かりかりかり

かるかるかる

かれかれかれ

かろかろかろ

かわかわかわ

きあきあきあ

きいきいきい

きうきうきう

きえきえきえ

きおきおきお

きかきかきか

きききききき

きくきくきく

きけきけきけ

きこきこきこ


  桜咲けばみな花見して酒を飲む写真撮るこんな国はどこにもありゃせん 蝶人

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RCA盤「レオポルド・ストコフスキー・ステレオ・コレクションⅠ954-1975」14枚組CDを聴いて

2017-04-17 09:57:09 | Weblog


音楽千夜一夜第387回


レオポルド・ストコフスキーは昨日ご紹介したユージン・オーマンディの前任のフィラデルフィア管弦楽団のシェフで、なんと95歳まで生きた。

デイアナ・ダービンが主演した映画「オーケストラの少女」にカッコ良く登場したり、ウオルト・ディズニーの「ファンタジア」に曲をつけたり、ずいぶんクラシック音楽の大衆化に貢献した人だが、バッハの有名な「トッカータとフーガ」を聴いても分かる通り、その音楽のたたずまいには、あまり繊細なところはなくて、豪放闊達にして表情豊かである。

従ってここに収められた14枚の中では、やはりワーグナーの「ワルキューレ」や「トリスタンとイゾルデ」、「マイスタージンガー」や「タンホイザー」などの抜粋、マーラーの「復活」などでエキサイテイングな演奏を繰り広げている。

こういうシンプル&ボールドなアプローチは、当節流行の例えばN響首席指揮者の凡庸なパーヴォ・ヤルヴィの、何かがありそで、なさそで、結局何もない空疎なサクランボの如き神経衰弱音楽のちょうど対極にあるもので、彼の「復活」に間違って拍手喝采してしまった人などには絶対のお薦めである。


 ミサイルは朝飯前の大統領デザートに出す五十九発の「トマホーク」 蝶人

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Eugene Ormandy conducts Tchaikovsky「ユージン・オーマンディ、チャイコフスキーを振る」12枚組CDを聴いて

2017-04-16 10:34:38 | Weblog


音楽千夜一夜第386回



アメリカのフィラデルフィア管弦楽団のシェフを長年務め、甘美かつ美麗芳醇なるフィラデルフィア・サウンドを醸造したオーマンディがチャイコフスキーの交響曲やバレエの名作を振ったソニーの超廉価版セットずら。

昔のソニー・コロンビアの録音はキンキンで耳触りが悪かったが、最近発売されるものはリミックスされているので聴感が抜群に向上してオーマンディ独特のフィラデルフィア・サウンドを堪能できる。

オーマンディの指揮は妙な小細工を排したオーソドックスそのものだが、チャイコフスキーの5番など歌うべきところはオケを十二分に歌わせ、その妙音の鳴り具合を指揮者と楽員全員で聴き惚れているようなゆとりすら感じさせるのが凡百のオケやコンダクターとの違い。

チャイコフスキーの音楽の本質を命懸けで追い詰めるムラヴィンスキーとレニングラード・フィルの強迫的な演奏とは百八十度対極にある別次元での名演だと思う。

「1812年」という誰が振っても最低の駄作でも、オーマンディの手にかかるとまともな序曲に聞こえてしまうから、練達の名人というものは探せばどこかにいるものなのである。




ワーグナーの「ローエングリーン」をショルテイ&シカゴ響の演奏でフォルテッシモで鳴らす土曜日の午後 蝶人


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