あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

片山健さく・え「だーれもいない だーれもいない」を読んで

2022-11-30 15:37:17 | Weblog

 

照る日曇る日第1824回

 

コッコさんがお昼寝から目覚めると、誰もいない。

 

お部屋を探しても、お庭をのぞいても、だーれもいない。

 

すると、風が、雲が、山鳩がそおーっとやってきて「だーれもいないの、コッコさん」と尋ねるのですが、だれもいない。

 

そういう全世界から見捨てられたような幼児の隔絶と孤独を、片山選手は、みごとに描き出しています。

 

 

 結局は干されてしまった金平よあんたの出ない「報道特集」は空しい 蝶人

 

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片山令子ぶん・片山健え「つめたいあさのおくりもの」を読んで

2022-11-29 09:51:49 | Weblog

 

 

照る日曇る日第1823回

冬の寒い朝に氷が張りました。

 

その氷を巡るちょっと科学的で詩的な絵本です。

 

中谷宇吉郎博士の「雪は天からの手紙である」という有名な言葉を受けた世界が表現されているようですね。

 

 結局は干されてしまった玉川君あんたの出ないモーニングショウは虚しい 蝶人

 

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片山健作「せんひくよろこび」を読んで

2022-11-28 09:13:33 | Weblog

片山健作「せんひくよろこび」を読んで

 

照る日曇る日第1822回

 

「ぼくは せんをひく」の1行から始まって、どんどんじゃんじゃん、ひたむきにひたすら1本の線を引く少年の噺です。

 

少年は、大昔の地球、大昔の海の底、どんどん線を引き続けて、最後には宇宙の彼方に去っていきます。

 

凄いなあ。

 

これまた福音館書店の「こどののとも」の1冊です。

 

    有頂天から地獄に墜ちるその途中辺りが日本チームの居所 蝶人

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片山健作「ぴーぴーばっくしまーす」を読んで

2022-11-27 10:17:17 | Weblog

 

照る日曇る日第1821回

 

1匹のネズミさんが、道路に白墨で線を引きながらバックしていると、うさぎさんにどしーんとぶつかる。

 

今度はうさぎさんがぴーぴーばっくしていると、くまさんにどんとぶつかり、最後にゴリラさんにぶつかったところで、4匹揃ってまた線を引き始める。

 

というすぐれてコンセプチュアルな片山選手の絵本なり

 

 ライバルを皆殺しにした義時の名を大書したタクシーに乗る 蝶人

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なかがわりえこ さく やまわきゆりこ え「ぐりとぐらのおまじない」を読んで

2022-11-26 15:37:27 | Weblog

照る日曇る日第1821回

 

毎日のように絵本を読んでいる、というか、眺めています。

 

これも、「ぐりとぐらシリーズ」の1冊です。

 

「ちちんぷい」をキーワードに使って、「ちちんぷいのぱっ」とか、「ちちんぷいのぱくっ」「ちちんぷいのぷいぷいぷい」という見出しの元で、いろんなおまじないを連発する絵本です。

 

子供の時、おらっちは「ちちんぷい」ではなく、「ちちんぷいぷい」と言い慣わしていたなあ。

 

  渾身の力で浅野は蹴り込んだ4年の雌伏を至福に変えて 蝶人

 

 

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いわむら かずお「14ひきのひっこし」を読んで

2022-11-25 14:30:20 | Weblog

 

照る日曇る日第1820回

 

お馴染み14ひきシリーズの1冊で、おじいさん、「おばあさん、おとうさん、おかあさん、全部で14匹のねずみ家族が、森の奥に引っ越します。

 

大きな木の根っこに新しい住処を見つけた14匹はみんなで手伝って立派なうちを作り上げたのでしたあ。

 

めでたし、めでたし。

 

「あんさんはもう死んでるかも知れないんだよ」「そんなこたあどうでもええやん」蝶人

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閑雲野鶴

2022-11-24 10:14:32 | Weblog

 

これでも詩かよ 第304回

 

私は歯が痛くなると、いつも横須賀大滝町のキシモト歯科に行く。

そして治療が終わった後は、いつも「閑雲」へ行って、お昼を食べることにしている。

 

「閑雲」の前は、三崎ビルの商店街の中にあった横須賀一美味い香港料理の「朝廷」で、上品な薄味のぬるいラーメンと餃子を食べていたのだが、コロナ禍で殆ど閉店休業状態になってしまった。

 

それで、ほかの食堂をあちこち試してみたのだが、どこも気に入らず、三崎街道を闇雲に歩いていたら、この不思議な名前の和食屋にぶつかったのよ。

 

いやあ、なんたって店の名前が面白いよね。

もしもおらっちが、新しい飲食店を始めることになって、その名前を考えても、まず出てこないネーミングだよね、これは。

 

待てよ、もしかすると、横浜美術館の館長、蔵谷美香さんなら、思いついたかも知れないが、その場合はおそらく「暗闇」か「闇雲」になっただろう。

 

ともかく、無闇に素晴らしい店名だ。

 

地下へと続く階段を降りて扉を開くと、いつも3人のおばさんが、

「いらっしゃいませえ!」を、元気にハモらせながら迎えてくれるので、うれぴい。

「今日もなんとかぐあんばろう!」という気持ちに、なれまっせ。

 

それにしても、横須賀に行くと、詩が闇雲にできるのは、なぜだろう?

ひそかに閑雲野鶴の境地を味わえるのは、なぜだろう?

 

 

 五輪なら五輪サッカーならサッカー一色になる日本という国 蝶人

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西暦2022年霜月蝶人映画劇場その4

2022-11-23 09:48:17 | Weblog

西暦2022年霜月蝶人映画劇場その4

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3077~86

 

1)キング・ヴィダー監督の「シナラ」

浮気で娘を自殺させてしまった生真面目な男が、愛想をつかした妻と縒りを戻す噺。シナラとはホラチウスの「書簡詩」に登場する強欲で恥知らずの遊女。ロバート・ゴーア・ブラウン作の小説「不完全な恋人」に基づくH・M・ハーウッド、ゴーア・ブラウン合作の舞台劇を映画化したものらしいが、ブラウンは恐らくホラチウスかアーネスト・ダウスンの詩「我は良きシナラの支配を受けし頃の我にはあらず」からインスパイアーされたのだろう。

 

2)フランク・ボーゼージ監督の「真珠の首飾り」

デートリヒとクーパーの良さを生かしきれない1936年の凡作。無能な脚本と演出が無惨なり。

 

3)マルゴスカ・ズモウスカ監督の「ラヴァーズ・ダイアリー」

ジュリエット・ビノシュが「エル」の記者に扮して援助交際で稼ぐ女子大生を取材するという2011年のお噺だが、ビノシュのオナニー・シーンなんか見たく無かったずら。

 

4)アリーチェ・ロルヴァケル監督の「夏をゆく人々」

イタリアトスカナ地方の養蜂に生きる家族を描いた2014年の青春群像ドラマで、登場人物の一人ひとりが忘れがたい痕跡を残す。

 

5)クリス・ヌーナン監督の「ベイブ」

ブタブタ豚さんが大活躍する1995年のお噺。

 

6)クレランス・ブラウン監督の「妻と女秘書」

クラーク・ゲーブルの遣り手社長とやり手秘書ジーン・ハーロウ、美人妻マーナ・ロイとの3角関係をスリリングに描いた1936年の現代的な人情映画ずら。

 

7)ルネ・クレール「そして誰もいなくなった」

多士済々登場して次々に死んでいく楽しきホラー探偵劇ずら。

 

8)デイビッド・フィンチャー監督の「FightClubファイトクラブ」

悪ガキのブラビがたくらむ阿呆莫迦秘密組織ずら。一心同体の1匹が自分に弾を撃ちこむと相棒が死んでしまうが撃った方はまだ生きてるって、どうよ。

 

9)ポール・グリーングラス監督の「グリーン・ゾーン」

2016年のイラク戦争余話。おいくら探してもないものはない大量破壊兵器をあることにしたい奴らに苦労するマット・デイモン選手。

 

10)ボン・ジュノ監督の「グエムル 漢江の怪物」

2006年の韓国製ホラー映画。次々に人殺しをしていく阿呆莫迦博士が投棄したホルムアルデヒドから出来た怪物と多大なる犠牲を払いながら最後までテッテ的に闘うソン・ガンホ一家の雄姿。

 

 「金持ちが富を独占してるんだって」「そんなこたあどうでもええやん」 蝶人

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鎌倉文学館主催の「鎌倉文学散歩」で北鎌倉周辺を歩く

2022-11-22 11:14:12 | Weblog

 

蝶人物見遊山記第350回&鎌倉ちょっと不思議な物語第435回

 

 

コロナでお休みだった文学散歩が再開されたので、文学館の山田さんの案内でぶらぶら歩いてきました。

 

北鎌倉駅前に集合してから、東慶寺、浄智寺、明月院と歩く間に、大佛次郎、高見順、藤沢周、夏目漱石、釋宗演、津村秀雄、安藤寛、宮本百合子、湯浅芳子、澁澤龍彦、尾崎喜八などの作品や事跡に耳を傾けながら、日に日に紅葉が深まりつつある北鎌倉をなおもぶらぶら歩きます。

 

これぞ、いわゆる一つの至福の時かもしれませんな。

 

久し振りに明月院を訪れ、悪名高き北条一族の時頼の墓を見たけれど、執権にしては小ぶりの石塔で厭な感じはしなかったずら。そうせえと遺言してから死んだのでせうな。

 

お花畑に鎌倉の市の花である竜胆が植えられていたが、これはどこかの園芸店から買うてきたいわば偽リンドウ。本物の野生の竜胆は今年は豊作で、おらっち大喜びで毎日朝な夕なに写真に撮りまくっているずら。

 

  負け負けて負け負けて負けて負け続けやっと勝ったぞ7日目の宇良 蝶人

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山口仲美著「日本語の歴史」を読んで

2022-11-21 09:25:13 | Weblog

山口仲美著「日本語の歴史」

 

照る日曇る日第1819回

 

古代から現代までの日本語の歴史を生き生きと躍動する魅力的な日本語でしゃべるように書き尽くした、面白くて為になる新書です。

 

この「喋るように書く」というくだりは最終Ⅳ章の「言文一致をもとめる 明治時代以後」で詳しく解説されているので、良い子のみなさんはまだ生きているうちに軽く目を通して見ませう。

 

明治20年前後に物集高見、山田美妙や嵯峨に屋おむろ、二葉亭四迷&坪内逍遥、などが例の「言文一致」を実現する為に、いうに言われぬ大苦心をしたことが改めて確認出来るでしょう。

 

さうしてその過程で、圓朝の「怪談牡丹燈篭」の口述筆記本や、尾崎紅葉の「である体」の「多情多恨」が重要な役割を果たし、言文一致派は大勝利を獲得した屋に見えたけれど、対抗するように幸田露伴の「風流仏」、森鴎外の「舞姫」などが大ヒットし暗礁に乗り上げたとはとは迂闊にも存じあげませんでした。

 

やはり偶には母国語の来し方も丁寧に振り返ってみなければ、と反省させられたことでした。

 

 「オレたちが死んだらあとはどうなるの」「そんなこたあどうでもええやん」

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なかがわりえことやまわきゆりこ「ぐりとぐらのかいすいよく」を読んで

2022-11-20 09:25:17 | Weblog

なかがわりえことやまわきゆりこ「ぐりとぐらのかいすいよく」を読んで

 

照る日曇る日第1818回

 

海水浴に出かけたのねずみのぐりとぐらは、海に浮かぶ瓶を見つけます。

 

中から出ていたのは「しんせつなともだちへ しんじゅとうだいへきてください」といううみぼうずの手紙でした。

 

そこで2人は、浮袋に乗って大冒険に出発、穴の中に落とした真珠を拾ってあげたので、うみぼうずは大喜びです。

 

そのお礼にうみぼうずは、それまで泳げなかったふたりに、泳ぎを教えてくれましたとさ。

 

  「我良し」の強権の国が増えていくどこかにないか弱者の楽園 蝶人

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西暦2022年霜月蝶人映画劇場その3

2022-11-19 14:07:34 | Weblog

西暦2022年霜月蝶人映画劇場その3

 

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.3072~76

 

1)森田芳光監督の「家族ゲーム」

1983年の森田と松田両選手の代表作。最近のカンヌのグランプリなんかが阿呆に見える。ただし終わりの3分は不要ずら。

 

2)荒井晴彦監督の「火口のふたり」

柄本佑、瀧内公美がひたすらやりまくる2019年の映画だがポルノ映画より健康的。柄本のアレがズボンを突き破るように勃起するシーンをみて、若さはすごいなあと痛感したずら。

 

3)今村昌平監督の「果てしなき欲望」

兵隊が地下に埋めた金塊を掘りまくる1958年のお笑いサスペンス。西村晃 、 殿山泰司 、小沢昭一、長門裕之 、 中原早苗 /などが出るが以外にも渡辺美佐子が色ッポイ。

 

4)中平康監督の「猟人日記」

ツルゲーネフならぬ戸川昌子の原作を中谷昇主演で1964年に映画化されたクズ映画だが、銀巴里で歌う丸山明宏のワンシーンだけが光り輝いている。

 

5)黒沢清監督の「ドレミファ娘の血は騒ぐ」

1985年の長篇第2作。人気のあったゴダールの真似をして、映像と音を盛んに弄んでいるのだが、ゴダール同様ちっとも面白くない。元はポルノ映画だったそうだが、それの方がうんと楽しめただろう。

 

  第8波がやってくると騒いでる第1波の時とおんなじように 蝶人

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なかがわりえこ さく やまわきゆりこ え「おはよう」を読んで

2022-11-18 13:19:33 | Weblog

なかがわりえこ さく やまわきゆりこ え「おはよう」を読んで

 

照る日曇る日第1817回

 

「おひさま はんぶん めをあけた」から始まる一日です。

おおきいあくび」「はをみがきましょう」「かお「あらいましょう」までが序ですね。

ここで「おひさまバッチリめがあいた」という2ページが破。

そして「おはよう おはよう みんあおはよう」が急で、全体をびしっと締めているのです。

 

  安土城の天守閣にて信長が森蘭丸と見た惑星蝕よ 蝶人

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鎌倉国宝館にて「北条氏展4 北条義時の子どもたち」を見物して

2022-11-17 14:32:30 | Weblog

鎌倉国宝館にて「北条氏展4 北条義時の子どもたち」を見物して

 

蝶人物見遊山記第349回&鎌倉ちょっと不思議な物語第434回

 

源家のみならず他の御家人をみなみな惨殺し尽くした殺人鬼一族の北条家は、(その元祖時政と子の義時、政子も)大嫌いな連中で、いくら大河ドラマーが復権を試みても一生変わらないおらっちの直覚と「偏見」だ。

 

さりながら、その下の世代である泰時とか時頼、貞顕、時宗なんかになると、余の悲憤慷慨もいささか減じて、いわば諦めにちかいものとなるのであった。

 

建長寺の木彫の、呑気な父さんみたいな時頼像などを眺めていると、こいつが三浦一族を滅亡させた張本人であるにもかかわらず、なんとのう憎めなくなってくるから不思議である。

 

なお本展は来る12月21日まで開催中ずら。

 

   地元でも知る人少なき大江氏の神社を目指して観光客来る 蝶人

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スズキ・コージさく・かたやまけんえ「やまのかいしゃ」を読んで

2022-11-16 11:14:16 | Weblog

照る日曇る日第1816回

 

大遅刻をしたうえに、眼鏡も鞄も忘れて通勤電車に乗り込んだ主人公の「ほげたさん」。

 

その捧腹絶倒・超愉快なリーマン生活を、無類に楽しく、超シュールに描き出す、古今東西・唯一無二の大人の絵本、ずら。

 

「まちのかいしゃ」に行くはずが、なぜか「やまのかいしゃ」に着いてしまった「ほげたくん」が、なぜか同僚の「ほいさ君」と出会うのも不思議だが、ここは山のてっぺんで空気が美味いから、まちのかいしゃの社長に電話して、「町より山で仕事をしたらどうですか?」と提案すると、社長が全社員を引き連れて山のてっぺんまでやてくるのも愉快痛快だ。

 

ともかく子供に読ませるのがもったいない大人の絵本だ。

 

 

  武満が編曲したる「インタナショナル」を藤井大介のギタアで聴けば心哀しも 蝶人

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