あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.122」

2022-05-31 16:32:31 | Weblog

西暦2022年蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第407回

 

  • 子の成人式を祝う父親のあいさつ

清、成人式おめでとう。君といっしょに、私の故郷の里山でオオムラサキやノコギリクワガタを採集したり、由良川に飛び込んでオオウナギと大格闘の末逃がしてしまったのが、つい昨日のことのようです。*1

 

君も知っての通り、私は定年まであと数年というところでリストラの憂目に遭いました。

しかしお父さんは全然めげてはいません。企業というものは所詮金儲けに始まり、そして金儲けで終わる組織集団なのです。

 

金儲けに夢中になる組織はどこか不自然で不人情になって無理が出ます。だからそんな会社にリストラされたお父さんは実のところホットしています。そしてこれからはもういちど一個の自由人として、人生をやり直そうと思っているのです。

 

清はようやく二十歳。君には無限の自由と可能性があります。*2

 

前途洋々の人生がいまはじまったばかりです。いわば5週遅れで君とおんなじスタートラインに立ったお父さんに負けないで君独自の素晴らしい軌跡を描いてみてください。お母さんと私は、いついつまでも声をからして大声援するでしょう。

 

  • アドバイス
    • 1リストラされた父親が成人式を迎えた息子に贈るちょっとユニークなメッセージ。リストラされた無念さとともに、災厄を乗り越えて第2の人生に旅立とうとする覚悟が表明されている。
    • 2サラリーマンだけが人生ではない。リストラされても終りではない。息子と隣のコースで肩を並べて競走しようとする父親の行く手に平安あれ。

 

 

     ものみなが遠ざかりつつ皐月尽 蝶人

 

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西暦2022年皐月蝶人映画劇場その4

2022-05-30 16:13:10 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2860~64

 

1)オットー・プレミンジャー監督の「黄金の腕」

本当はプロのドラマーになりたくてたまらないのになかなかなれないカード師、フランク・シナトラにからむ2人の女の悲劇。キム・ノヴァクが抜群に美しい。

 

2)ジョン・ヒューストン監督の「悪魔をやっつけろ」

1953年のギャング映画。ヒューストンがカポーテイと一緒に脚本を書き、ボガードが主演し、ジェニファー・ジョーンズ、ジーナ・ロロブリジダ、ピーター・ローレが助演しているにもかかわらず最初から最後まで面白くない失敗作ずら。

 

3)マイク・ニューウエル監督の「ガーンジー島の読書会の秘密」

ナチに占領されていた孤島を舞台に流行作家が大活躍うる2018年の文芸&戦争ドラマだが、なかなか面白いぞ。

 

4)ジョエル・コーエン監督の「ファーゴ」

臨月寸前の警官フランシス・マクドーマンドが大活躍する1996年のアクション映画。

 

5)カロリーヌ・リンク監督の「名もなきアフリカの地で」

ヒトラーの台頭を恐れてケニアまで逃れユダヤ人家族の苦難を描くちょっと珍しい題材の2001年のドイツ映画。

 

  海老蔵はいつ団十郎になれるだろう芸も人も下がる一方 蝶人

 

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.121」

2022-05-29 09:12:02 | Weblog

西暦2022年蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第406回

 

○赤ちゃんの誕生を祝う会での友人のスピーチ

木村君、ご長男誕生おめでとうございます。私は木村拓哉君の大学時代の友人で稲垣八郎と申します。

 

実は、木村君にさやかを紹介したのは、他ならぬ私であります。木村君は、慶応の経済を卒業してから、急に万事金で動く世の中がいやになったとみえ、ご両親の反対を押し切って服飾専門学校に入り直し、3年後にはあの有名なカジュアルウエアのデザイナー池内新也のチーフ・アシスタントになって東京コレクションの作品作りに追われていました。

 

久し振りに木村君に会ったとき、アシスタントが必要だ。誰か気立てのいい女の子を紹介してくれ、といわれ、とりあえず紹介したのが妹のさやかでありました。

 

それから僅か1年。突然木村君から電話がありまして、「イナガキ、悪い、デキチャッタ」と。一瞬何が出来たのかと思いましたが、なんと長男が出来てしまった。*2

 

これは、しくじった。いやおめでたい。仕方ない、結婚式をやれば許してやる。と言うことで、本日を迎えました。木村君、どうかさやかをよろしくお願い致します。

困った、困った、困ったもんだ。(笑)

 

  • アドバイス
    • 1最近世間では非常によくある「できちゃった結婚式」における文案例である。終わりよければすべてよしなので、全体的にユーモラスな表現展開になっている。
    • 2いっけん吉本興業的な表現になっているが、そうではない。センテンスを短く切り、終止形をいくつか重ねる語法は、非常にスピード感、若々しさ、説得力が生まれる。ぜひいちど実際に試してみて欲しい。

 

  バリケード取り払われしあの日よりわが人世に青空の日なし 蝶人

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家族の肖像~親子の対話その77

2022-05-28 08:42:57 | Weblog

ある晴れた日に 第681回

 

お母さんがいま死んだら、コウ君をどうしたらいいの?全部教えておいてもらわないと。

ケンちゃん、何も心配しなくてもいいの。コウ君は黙って受け入れて前に進んで行く人だから。

 

今後って、なに?

これから、よ。

 

ぼく、コマキさん、好きになりましたよ。

そう、よかったね。

 

お母さん、ぼくキシモト先生にサヨナラすればいいですお。

そうなの?

 

おばさん、「キャンディ、キャンディ」見た?

まだ見たことないから、今から見るよ。

 

おじさん、注意してないと。

そう注意してないとね。

 

コウちゃん、痛いですか?

痛くないですお。

 

お父さん、ビデオ終わりましたよ。

分かりました。

ぼく、言いましたよ。

 

ぼく、ケンけんちゃんにブドウ持って行きますお。

そうか。よろしくね!

 

お母さん、常識って、なに?

当たり前のことよ。

 

ヤベエ。

なに?

ヤベエ。

 

お父さん、草刈の英語は?

うーん、草刈ねえ。調べとくよ。

草刈、草刈。

 

せっかく、は?

いいチャンスだから、かな。

 

にんまり、なに?

ニタアと、わらうことよ。

 

疑うって、なに?

そうかなあ、って思うことよ。

 

お父さん、今日ヒガさんの最終回のビデオ撮ってね。

分かりました。

DVDにしてね。

分かりましたあ。

お母さん、お父さんに言ったよ。

良かったね。

 

なんでイトウさん、雪ノ下へ引っ越したの?

独りになったからよ。

 

お父さん、お母さんは?

当ててごらん。

おばあちゃんチ。

ピンポン!

 

大きいおばあちゃん、園部で生まれたの?

そうだよ。

ソノベ、ソノべ、ソノベ。

 

転院て、なに?

病院を変わることよ。

 

半、30分のことでしょう?

そうだね。

 

僕、緒方拳好きだお。

お父さんも。

お母さん、緒方拳が好きだな。

 

   75の妻が湧かせる菖蒲湯に55歳の障害児が入る 蝶人

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.120」

2022-05-27 10:05:06 | Weblog

西暦2022年蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第405回

 

○赤ちゃんの誕生を祝う会での母親のあいさつ

今日は皆さまお忙しいのにこんなところまでいらしていただきましてほんとうに申し訳ないやら、ありがたいやらでございます。*1

 

今度の赤ちゃんは男の子だったんですけど、前回と決定的に違ったのは、そのことではなくて、主人が、ウチのあの主人が私の出産に立ち会ってくれたことでした。*2

 

いままでは仕事、仕事、仕事ばっかりの人で、土日になっても会社に行くのが当たり前。家庭と家族を顧ないモーレツサラリーマンの典型だったのに、今回どうした風の吹き回しか、病院について来て、俺、このまま傍にいてもいいか、と聞くので、お医者様に相談したら、ええいいですよ、ということなので、立ち会ってもらったような訳です。私は痛くて痛くて主人のことなんか、すっかり忘れていましたが、*3

 

主人たら、赤ちゃんがオギャアー、オギャアーと泣きながら姿を現した時に、感激のあまり涙が出てきたそうです。生命の神秘に激しくうたれたんですって。でも、それ以来主人が早く家に帰ってくるようになったのが私にとっては一番うれしいことです。

 

  • アドバイス
    • 1夫と自分の関係について語りながら、赤ちゃんの誕生について語り始める母親のモノローグ的なあいさつである。
    • 2仕事第一主義の男たちも最近は家族と家庭で過ごす時間の大切さが分かってきたらしい。
    • 3生命の誕生をともにする体験がふたりを深く結びつけたのであろう。あいさつとは結局その人そのものが外部に出てしまうからこわい。

 

   安倍菅があまりにも酷かったので岸田の受けが良くなっただけ 蝶人

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宮脇俊三著「平安鎌倉史紀行」を読んで

2022-05-26 13:03:02 | Weblog

照る日曇る日第1746回

 

本箱から転げ落ちた文庫本を拾い上げると昔講談社から出たこの文庫だった。ちょうど今「鎌倉殿」に引っかかっているので、真ん中辺の「頼朝挙兵」から「木曽義仲のふるさと」、「一ノ谷と屋島」と読む進むと、なんの抵抗もなく読めるので、とうとうおしまいの「鎌倉幕府滅亡」までツラツラと読んでしまった。

 

そこで改めて全体を俯瞰してみると、本書は編年体の構成になっていて、平安から鎌倉時代の歴史的事件や人物をその発生現場に立ち会いながら叙述するドキュメンタリーな紀行文であることが遅まきながら分かった。

 

そういえば宮脇俊三は有名な鉄道マニアであり、偉大な編集者でもあったことに今頃気づいたのだから、世話は無い。それにしてもこの人の文章のきわめて簡潔にして用を得て、まっとうなことよ。文は人なりとはよく言うたもので、その博識と学識を秘めながらも謙虚でざっかけない人となりが、読者をしぜんと魅するからに違いない。

 

私は急いで冒頭の「桓武天皇と渡来人」に戻って、すっかり忘却の彼方にあった平安鎌倉時代の歴史を著者と一緒に全国津々浦々を旅しながら勉強し直したのであった。

 

 製鉄所から解放されたおばさんが「プーチンなんか撃たれればいい」 蝶人

 

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鎌倉歴史文化交流館で「北条氏展 鎌倉武士の時代2 幕府草創を支えた宿老たち」をみて

2022-05-25 11:41:38 | Weblog

蝶人物見遊山記第345回&鎌倉ちょっと不思議な物語第432回

 

ひさかたぶりに訪れた扇ガ谷の交流館なり。ここは元は英国の建築家ノーマン・フォスターがデザインした住宅で、大正時代は岩崎小弥太の別荘、んで鎌倉時代は安達盛長の孫義景の邸宅跡&菩提寺の無量壽院跡ということなので、「幕府草創を支えた宿老たち」に少しは関係しているとは云えばいえるだろう。

 

されど本館、別館の狭い展示スペースに並んでいる品々は、オープン以来ちっとも代わり映えのしない土器や文書や映像コーナーで、一度訪ねておけば2度とは来る必要もない不急・不要の施設だろうて。

 

鎌倉市も公凶放送の阿呆莫迦ドラマに便乗しての観光客誘致なぞを考えないで、その分、県下の他市町村より著しく劣る障害福祉方面に、目と金を振り向けてほしいものだ。

 

なお本展は来る6月11日までずら。

 

  赤信号で停まるたんびにエンジンを止めるバスの律儀を愛す 蝶人

 

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鎌倉文学館で「鎌倉時代黎明」展をみて

2022-05-24 09:42:20 | Weblog

蝶人物見遊山記第344回&鎌倉ちょっと不思議な物語第431回

 

「文学で読むはじめてのはじまり」と題して、「平家物語」「吾妻鏡」などの擬古典から坪内逍遥、太宰治、永井路子など鎌倉時代に因んだ、というより「鎌倉殿の13人」に便乗したあれやこれやの文芸的題材を、鋭い問題意識もフォーカスもなく、アトランダムに放り出したテッテ的に無意味で、無内容な展示である。

 

どうもこの文学館は、館長の偏向した脳味噌の意向を反映してか、保守的で閉鎖的で詰まらない企画が多い。文学館というても純文芸ばっかりやる必要はないのであって、例えば前橋の萩原朔美館長などをお手本に、もっと自由で、多種多様で、異種横断型で、創造性に富む企画を打ち出して、時代閉塞の現状を超克してもらいたいものだ。

 

毎年お楽しみの初夏の薔薇園も大風の打撃をいささか蒙り、ちょっと盛りを過ぎていて、がっかりの長谷探訪の一日でした。なお退屈な本展は来る7月3日までずるずる開催ちう。

 

「ちょっと来い、ちょっと来い」と呼ぶコジュケイ君の方こそこっちへ来いよ 蝶人

 

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神奈川県立近代美術館鎌倉別館で「松本俊介展」をみて

2022-05-23 09:55:07 | Weblog

 

 

蝶人物見遊山記第343回&鎌倉ちょっと不思議な物語第430回

 

生誕110年を迎えた秀英作家の回顧展をみる。何度となくこの会場で目撃した1942年の「立てる像」だが、みるtびに生きる勇気を与えてくれるようだ。

 

今回はじめて知ったのだが、松本夫妻は「雑記帳」という名の芸術雑誌を発行していたらしい。そこには当時の代表的作家や画家の作品、宮沢賢治の遺稿なども掲載されている。

 

窮死寸前の長谷川利行が、「いくらでもいいから掲載料を送って呉れ」と催促する葉書も展示されているが、この「贅沢」によって松本選手は恐らく妻禎子の実家の資産を蕩尽したのではないだろうか。

 

なお今回の小企画として、1992年生まれの堀江栞の「触れえないものたちへ」という副題のコレクションがあったが、そこで描かれている若者たちの、何の希望もない虚無的な死んだ目の絶望に、おらっちは身の毛がよだつおもいだった。

 

なお同展は来る5月29日まで開催中ずら。

もし今度家を新築するならば地下シェルター付きのがいいな 蝶人

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西暦2022年皐月蝶人映画劇場その3

2022-05-22 09:37:30 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2855~59

 

1)マーティン・ブレスト監督の「ジョー・ブラックをよろしく」

死神が美女に恋するという荒唐無稽な話を「感動的に」みせてしまう1998年のハリウッド映画。クレア・フォーラニのアップが実に美しいので見惚れてしまう。

 

2)ジョー・ライト監督の「つぐない」

姉と使用人のイケメンの情事に嫉妬して男を無実の罪に陥れた妹の償いをテーマにしたキーラ・ナイトレイが綺麗なだけの2007年の映画ずら。

 

3)デイビッド・バトラー監督の「二人でお茶を」

ドリスデイが歌って踊る1950年製作の半ミュージカル映画だが、大恐慌直後のNYでこんな能天気な世界があるとは思えないずら。

 

4)ジョージ・キューカー監督の「椿姫」

グレタ・ガルボ、ロバート・テーラー主演の1936年の米映画。テーラーのアルマンはいいが、ガルボのマルグリットがミスキャストでしらける。

 

5)ジョセフ・L・マンキーヴィッツ監督の「三人の妻への手紙」

3つのカップルの平和を脅かす謎の美女アディは話者として狂言回しを務めるだけで画面に派登場しない。カークダグラスの若々しい姿が眩しい1949年の名作ずら。

 

 短歌なんて演歌みたいで詠みたくないと言う谷川俊太郎にも一理はあるね 蝶人

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家族の肖像~親子の対話その76

2022-05-21 09:20:58 | Weblog

ある晴れた日に 第680回

 

 

コウ君、今日アオイケさんが来るってよ。

いいですお。

 

お父さん、今日ヒガさん、録画してくださいね。

分かりましたあ。

 

お父さんに「ベランダの洗濯ものからにしろ」って、注意されたお。

あれは注意じゃない。ただ言っただけだよ。

注意されたお。

 

コウ君、PCR検査で陰性だったってよ。良かったね。

良かったですお。

 

カサタニ先生、コントラバス弾いたお。

そうだったね。

 

ノブユキさん、病院のお医者さんだったよね。

そうだったね。

 

お父さん、今日録画してくださいね。

分かりましたあ。

お父さん、言いましたよ、お母さん。

良かったね。

 

私はフクモトリコです。

こんにちは、フクモトリコちゃん。

ハイ。

 

お父さん、お風呂洗ってください。

分かりましたあ。

 

磯子行きだと、大船行かないのよ。

そうなんだあ。

 

セイザブロウさん、なんのお仕事?

下駄屋さんよ。

ぼく、下駄はきますお。

はいてね。

 

デザイナーって、なに?

どんなお洋服がいいかな、って考えたりする人よ。

 

クリバヤシさんのご主人、なにしてるの?

亡くなられたのよ。

なんで?

病気で。

 

「守ってないじゃないか」って、怒られたのよ。

誰に?

ナカムラさんに。

いつ?

昔。

大丈夫だよ。

 

ぼく、ヒガさんの録画、みますお。

「推しの王子様」ですか?

そうですお。

 

口ずさむって、なに?

ラ、ラ、ラとか、よ。

 

トトトト、やめてほしいですお。

トトトト、怖いの?

怖いんですお。

でも、目の悪い人はトトトで助かってるのよ。

 

マコトさん、今年ヒガさん泣いちゃったんですお。

そうなんだ。

泣いちゃったんですお。

 

お母さんが好きなのは?

ぼくですお……、ケン?

 

お父さん、大好きですお。

お父さんも、コウ君が大好きですよ。

 

「がい」と書き「碍」と書いても同じこと障ぐあい児者の障害変わらず 蝶人

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.119」

2022-05-20 10:30:34 | Weblog

西暦2022年蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第404回

 

 

  • 赤ちゃんの誕生を祝う会での義姉のスピーチ

公則さん、美智子このたびは長女ご誕生本当におめでとうございます。*1

 

私も3人の子供を産んで、育てましたが、子供って本当にいいものですよね。それは自分のお腹をいためて生んで育てる訳だから、かなりの程度自分を肉体的にも精神的にも犠牲にすることになりますが、やっぱりこの世の中で、子供ほど素晴らしい存在はないと、私は思うの。*2

 

それは、子供って、いいにしろ、悪いにしろ「人間の未来」そのものだからなんですね。美智子もそうだけど、私は田舎の12人兄弟の大家族で育った楽しさがどうしても忘れられません。父母がいて、おじいちゃん、おばあちゃんがいて、兄弟姉妹がいっぱいいる。そんな環境からもらった有形無形のものが今日の私を作ってくれたような気がします。*3

 

ですから公則さん、美智子と相談して、この子を第1号に、2号、3号、10号とじゃんじゃん可愛いベービーをつくってください。だいじょうぶ、その代り、私も、みんなも子育て応援するからね。

 

  • アドバイス
    • 1義姉が長女を生んだばかりの夫婦に向かって、もっともっとたくさんの子供を持つことをすすめるユニークなスピーチである。
    • 2話者なりの子供哲学が堂々と語られる。大家族制から少子化時代へと急速に環境がかわったが、あんがいポイントを衝いた正論かもしれない。
    • 3冗談か本気か、ともかくユーモラスにスピーチを終えた手腕は鮮やか。

 

 「諸君、テッテ的に語り合おうじゃないか!」と言うた松田世紀夫懐かし 蝶人

 

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ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ著・沢崎順之助訳「パターソン」を読んで

2022-05-19 09:35:19 | Weblog

照る日曇る日第1745回

 

映画「パターソン」に導かれて世に贈った米国20世紀前半の詩人の代表作を読んでみた。

 

映画の中の詩のような詩を期待していたのだが、その予想は大きく覆され、一言で約言できない奇妙な、しかし面白くないこともない、現代の詩であった。

 

その特徴の第1は、詩人がバスで30分ほど離れた町パターソンを象徴的に擬人化?物語化していること。

 

第2は、韻文と散文を密接不可分なものとして一体化していること(おらっちには散文の方が圧倒的に面白かった)。

 

第3は作品の第5巻Ⅲの中で太宰治の「斜陽」に就いて触れていること。

―「彼女は「選ばれた」のかもしれない、ダザイ・オサムとあの聖女のような姉なら そう言うだろう」

 

最後に、詩について以下のようななかなかよいことを言うておることである。

 

―「詩というのは、感動をこめた言語と言ったらいいでしょう。リズムを整えた言葉です。詩はそれ自体で完全な小さな世界です。独立して存在します。すぐれた詩は、詩人の全生命を表現するものです。詩人とはなにかを教えてくれます。」

 

  言葉から詩を立ち上げるのは間違いで心の奥から立ち上がるもの 蝶人

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西暦2022年皐月蝶人映画劇場その2

2022-05-18 09:20:50 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2850~54

 

1)ジョン・フランケンハイマー監督の「RONIN]

珍しくロバート・デ・ニーロと名匠がカッコおいい仕事をしている1998年のアクション映画の快作ずら。

 

2)エルンスト・ルビッチ監督の「青髭八人目の妻」

ゲーリー・クーパーとクローデット・コルベールのやっさもっさだが、ビリー・ワイルダーの脚本もルビッチの演出もさっぱり面白くない1938年の作品。

 

3)エルンスト・ルビッチ監督の「ラヴ・パレード」

ジャネット・マクドナルドの女王に惚れられて結婚した色男モーリス・シュバリエが主演するどうとうこともない1929年の半ミュージカル映画だが、シュバリエの嫌味が際立つ。

 

4)エルンスト・ルビッチ監督の「私の殺した男」

第一次大戦で独逸兵を殺した仏蘭西人が、謝罪するためにその実家の父母、婚約者を尋ねて奇跡的な「和解」を果たすまでを描く感動的な1932年の名画。

 

5)バーバラ・コップル監督の「アン・ハサウェイ 裸の天使」

2005年製作の阿呆莫迦映画。よくもこんな下らない映画が作れるものだ。

 

 深緑黄緑朝碧緑を率いて皐月は旅する 蝶人

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ドストエフスキー作・江川卓訳「地下室の手記」を読んで

2022-05-17 11:08:29 | Weblog

照る日曇る日第1744回

 

あの「ドストエフスキー伝」をあらわしたアンドレ・ジッドが、「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と高く評価した重要作品らしいが、晦渋にして暗鬱、読んでいて面白くもおかしくもない内面精神世界暴露追及の極私小説である。

 

これ以前の彼の小説が、安っぽい人情小説とは思わないが、この自虐的な内省を経ずして「罪と罰」以降の深刻な大思想小説が生まれなかっと考えれば、それなりの価値と意義がある作品なのには違いない。

 

      自らは血を汚さない戦ゆえ尤もらしく云々している 蝶人

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