あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

カーソン・マッカラーズ著・村上春樹訳「結婚式のメンバー」を読んで

2020-11-30 16:24:50 | Weblog

照る日曇る日第1509回


アメリカの田舎に住む12歳の少女の上に起こる事象、それは具体的な身体的行動のみならず頭の中や胸の奥で渦巻いている、あれやこれやの想念のすべてを書き尽くそうとした、異色の小説である。

あの名作「心は孤独な狩人」の作者による自伝的な小説だが、訳者の村上選手が、本作はどこか樋口一葉に似ている、とする指摘は慧眼である。


  障害の子さえなければ我と妻いつ死んだとて構いはせぬが 蝶人
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西暦2020年蝶人霜月映画劇場その3

2020-11-29 12:53:14 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2373~82


1)トニー・スコット監督の「トップ・ガン」
昔懐かしトム・クルーズとケリー・マクギリスの1986年の恋物語だが1機3000万ドルのF14戦闘機の戦闘シーンが迫力がある。
2)ジーン・ネグレスコ監督の「百万長者と結婚する方法」
ラストのどんでんがえしにはずっこけるけど、モンロー、グレイブルはともかくローレン・バコールなんかが百万長者と結婚するとは誰も思わないだろう。1953年のコメデイ。
3)ジャン・コクトー監督の「美女と野獣」
1946年の製作であるが原作とはかなり違っていて、最後ジョン・マレーがデイアナに矢を射られた途端に野獣が王子に変身するのかさっぱり分からない。ヒロインのジョゼット・デイは綺麗。
4)ロバート・ゼメキス監督の「マリアンヌ」
スパイ夫婦のブラッド・ピット、マリオン・コチャールを巡る2016年の悲劇映画だが、ゼメキスのエグさと受けを狙いすぎた脚本が無理筋でリアリティがない。
5)ジェイムズ・ホエール監督の「フランケンシュタイン」
1931年の映画であるが原作とは違って最後は風車小屋で焼け死んでしまうフランケンシュタイン。しかしこの時点ではその名は発明者の名であって、まだ怪物の名前ではなかった。
6)ジョン・クロキダス監督の「キル・ユア・ダーリン」
コロンビア大学の学生、詩人アレン・ギンズバーグを巡ってケルアック、バロウズなどが入り乱れる青春文学同性愛殺人事件物語。それにしても殺人者ルシアンはなんで死刑にならなかったのか不思議ずら。
7)セシル・B・デミル監督の「平原児」
西部のガンマン、ワイルド・ビル・ヒコック(ゲイリー・クーパー)と怪女史カラミティ・ジェーン(ジーン・アーサー)の恋を軸にしてリンカーン暗殺後の西部開拓や武器密輸の陰謀、インデイアンとの戦い、カスター将軍と第7騎兵隊の全滅事件などを盛り沢山に描く1936年の大作だが、油断大敵、ラストでヒーローが射殺される。
8)アレクサンダー・コルダ監督の「美女ありき」
史上有名な英国海軍の英雄、ネルソン提督(ローレンス・オリヴィエ)と謎の美女(ヴィヴィアン・リー)の浮気話を純愛物語として描く1941年の名作ずら。いかにも映画的な波乱万丈の題材を2人が熱演している。
9)シェリー・ハーマン監督の「デザート・フラワー」
ソマリア人モデル、ワリサ・ディリーの2009年の伝記映画。3才の時に性器切除された女性が倫敦に逃れてきて世界的なモデルになるまでの波乱万丈の物語。いまでも1日6千人の女性が被害に遭っていると聞くと慄然とする。
10)セシル・B・デミル監督の「地上最大のショウ」
1952年製作の長大なサーカス物語。虎あり象ありピエロ、ダンス、空中ブランコ、加えてベティ・ハットン、コーネル・ワイルドが絡む三つ巴の宿命の恋あり。これだけ規模が大きいと団長チャールトン・ヘストンも大変。突然の列車事故にもめげずによくも再建できたもんだ。


 「感染などなかったことにしてたんだ」「だから東京で強盗続ける」 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「ヤコブの手紙」を読んで

2020-11-27 11:05:50 | Weblog

照る日曇る日第1506回

この手紙の書き手であるヤコブについてはいろんな説があるようだが、その内容と語りかけを聞いていると、パウロのようなはったりのない大人しく篤実な性格の信徒であったような気がする。

2章では、金持ちと貧乏人の分け隔てをしてはならないとか、口先だけで実行を伴わない信仰は虚しいと説き、3章では「舌を治めることのできる人は一人もいません。舌は制することのできない悪で、死をもたらす毒に満ちています」と説いて迫力がある。


 国が出す金で旅行し飯を喰う どこか間違っているのではないか? 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「ヘブライ人への手紙」を読んで

2020-11-26 16:17:16 | Weblog

照る日曇る日第1505回

またしてもパウロ選手の大演説かと思ったが、どうもパウロ書簡とは文体と叙述内容が微妙に違うので、おそらく別人の手になったものだろう。

基本的には、神とイエスとイスラエル人の神聖な契約についての考え方が述べられているのだが、パウロと違うのは、その悠揚迫らぬ叙述の仕方と、コンテンツの多くが旧約聖書の引用に基づいている点である。

パウロは「今そこにある信仰の危機」について触れることが多かったが、ヘブライ書の作者は、時制を遠い過去に置き、そこから現在までの信仰の「そもそもの在り方」についてゆったりと述べるのである。

しかし2章7節、9節で「僅かの間天使より劣る者」とされたイエスであるが、その引用先の「詩編」8章6節に「あなたは人間を、神に僅かに劣る者」とあるように、「劣る者」はイエスではなく人間である。
著者の引用のやり方は、誤っている。

  死亡率が外国よりも低いから政府はたかをくくってるんだ 蝶人
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西暦2020年蝶人霜月映画劇場その2

2020-11-25 11:27:06 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2363~72

1)エドワード・ドミトリク監督の「バターンを奪回せよ」
米軍がいかにフィリピンおよびフィリピン人を手なずけて侵攻する日本軍を逆襲したかを、ジョンウェイン主演で縷々物語る。1945年の戦争映画だから生々しい。
2)マイケル・カーティズ監督の「夜も昼も」
1946年のコール・ポーター(ケイリー・グラント)の伝記映画。
初恋の女性と紆余曲折の挙句に結ばれるまでを描くが、全篇に彼の名曲が流れる。
3)エドワード・ズウイック監督の「ジャック・リーチャー・ネバー・ゴー・バック」
2016年にトム・クルーズが主演しているが、このひとずいぶん年を取ってしまったな。サワダ君のように肥って顔容も醜い。屋根からずり落ちそうになるがアクションなんか大丈夫なんかいな。共演の女性陣も良くない。
4)ハル・ウォーカー監督の「バリ珍道中」
ビング・クロスビー、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーア主演の1952年の凸凹ギャグ映画。けっこう軽いノリで映画の常道をひっくり返すシーンがあるので、そこが面白い。
5)ウィリアム・ディターレ監督の「ジェニーの肖像」
ジョゼフ・コットンの画家と運命の女性ジェニファー・ジョーンズの恋物語。
1948年のモノクロ映画だが、最後の肖像画のショットだけカラーになる。
最近ジョゼフ・コットンの昔の映画を見る機会が多いが、実力派のいい役者だったんだなあ。
6)リテーシュ・バトラ監督の「ベロニカとの記憶」
2017年の製作。高校生時代に恋したベロニカ(後年役はシャーロット・ランプリング)を巡る主人公のイステリー仕立ての回想だが、どうにも後味が悪い。
シャーロット・ランプリングは年をとっても数多くの映画に出ているが、顔がアップになると爬虫類のように不気味だし、邦題の「と」は不要である。
7)バーナビー・サウスコーム監督の「ハイヒールを履いた女」
66歳当時のシャーロット・ランプリング主演の2012年のラヴ・サスペンス映画。ランプリングが演じるちょっと頭がおかしい妄想女は、確かにハイヒールを履いているのだが、原題通りの「私はアンナ」でよろしいのではないだろうか。
8)デヴィッド・カー監督の「ジョニー・イングリッシュ/アナログの逆襲」
英国首相エマ・トンプソンに頼まれて007を演じるローワン・ワトキンソンだが、この奇妙な人物をじっと見ていると段々身体具合が悪くなってくるようだ。
9)ファスビンダー監督の「ファスビンダーのケレル」
男色問題に真正面から向き合う1985年のファスビンダー。
男が男を背後から犯す映像をはじめてみたが、いやはや。
10)エルンスト・ルビッチ監督の「ニノチカ」
グレタ・ガルボのソ連軍兵士がメルヴィン・ダクラスのパリジャンに恋するハリウッド映画。
第2次世界大戦が勃発した年の映画なので米国のソビエットに対する複雑微妙な視線を感じ取ることができ、ガルボの存在がそれにマッチしている。


今頃はどこでどうしているのだろう空港でピアノを弾いていた人 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「テモテへの手紙二」を読んで

2020-11-24 14:59:04 | Weblog

照る日曇る日第1504回

パウロの協力者テモテに宛てた遺言のような手紙である。

「使徒行伝」ではアグリッパ王に会ったあとローマでしばらく宣教を続けたと書かれているパウロであるが、その後紀元67年に死没したとされる。

恐らく処刑されたのであろう。


 「自分では逃げたつもりで感染してる」「新型コロナの怖いところだ」 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「テモテへの手紙一」を読んで

2020-11-23 10:46:44 | Weblog

照る日曇る日第1503回

テモテはパウロと一致協力して異教の地に派遣された宣教師だから別にパウロの部下ではないが、神とイエスの委嘱を受けて聖職を任命されたと主張する
パウロは、テモテの上に立って「信仰と正しい良心を保ちながら、立派に戦い抜きなさい」と命令する。余計なお世話ではないだろうか。

男尊女卑のパウロは「女は静かに、あくまでも従順に学ぶべきです。女が教えたり、男の上に立ったりするのを、私は許しません」などとほざいているが、そんな権限をいったい誰が与えたというのだ。

あまつさえパウロは「神を冒涜してはならないことを学ばせるために、彼ら(ヒメナイとアレクサンドロ)をサタンに引き渡しました」(1章20節)といいうのだからおだやかではない。

 「皆さまに5つの小を守って頂きます」「ほんとは6つだろ小池の小を入れて」蝶人
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半蔵門で歌舞伎、新宿で展覧会をみてコロナ禍の東京から逃げ帰る

2020-11-22 13:01:32 | Weblog

蝶人物見遊山記第332回&蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話第352回

金曜日にいろいろ迷ったのだが、決行。まず国立劇場で「平家女護島」を観劇したのだが、いつもの半分のキャパがほぼ満席なので驚いた。
序幕で清盛役の吉右衛門が「鬼界ヶ島」で俊寛僧都をやるのだが、相変わらず聞きとりにくい口先発声で以前同じ役を演じた菊五郎とは大違い。自分が歳をとったからというて無理に老け役にすることもない。あんなよぼよぼの老人では上使の瀬尾をやっつけられないだろう。

そももそも、この「鬼界ヶ島」は近松の脚色に問題があって、清盛の赦免状にはなかった俊寛の名前が、同じ船に乗って来たもう一人の上使丹左衛門持参の重盛の赦免状には記されているという不可思議がある。

それならめでたく3人揃って帰還すればいいのに、俊寛が自分の代わりに成常の妻千鳥を乗せろと言いだし、結局はそのいいぶん通りになったくせに、孤島の岩上で大騒ぎするのも不可解である。

新聞の批評では、そこのところの吉右衛門の演技を激賞してあったが、菊五郎に劣ること数等のパフォーマンスであった。

それから新宿の伊勢丹で開催されている「セイ・ハシモト展」を鑑賞したが、油彩で描かれたコロナ禍の巴里の風景が胸に染みた。


  世界中を征服したるコロナ菌に学ばぬ国と学ぶ国あり 蝶人
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西暦2020年蝶人霜月映画劇場

2020-11-21 12:57:34 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2353~62

1)ラオール・ウォルシュ監督の「遠い太鼓」
1951年のゲイリー・クーパー主演映画。1840年にフロリダ・インデイアンと戦った米兵の物語だが、クーパーが毒蛇を掴みあげたりする。ヒロインのマリ・アルドンがいまいち、いまに、いまさんずら。
2)アーサー・ルービン監督の「ニューオリンズ」
ニューオーリンズ生まれのジャズの発展を描く1947年の音楽映画。ルイ・アームストロング、ビリー・ホリディ、ウディ・ハーマンなどの生演奏が圧倒的に素晴らしい。
3)ドン・シーゲル監督の「抜き射ち二丁拳銃」
二丁拳銃のオーディ・マーフィが大活躍する1952年の面白い西部劇。悪女役のスーザン・キャボットがいきているが、彼女は不幸な最期を遂げた。
4)シャリ・スプリンガー・バーマン監督の「私がクマにキレた理由」
マンハッタンのセレブの子守役をスカーレット・ヨハンセンが演じる2007年の典型的なハリウッド映画。なんでこんな下らん苦労を買って出たのかと観客もあきれ顔ずら。
5)キング・ヴィダー監督の「白昼の決闘」
グレゴリー・ペックとジョゼフ・コットンがジェニファー・ジョーンズを争う1946年の兄弟骨肉劇ずら。悪役ペックはいつも凄味がある。
6)スエファニー・アルゲリッチ監督の「アルゲリッチ、私こそ、音楽」
娘が演出した母アルゲリッチのドキュメンタリー映画。あんまりいい出来栄えではないが、偉大なピアニストの家族関係などを知って驚くこともあった。彼女がシャルル・デュトワと子供を作ったことは知っていたが、コヴァセービッチや中国系の人との子供がいたり、ミシェル・ベロフと付き合っていたとは知らなかったなあ。
7)フランク・キャプラ監督の「群衆」
1941年の無声映画。夫婦仲がこじれ、妻に罵られた夫が飛び降りしようとして果たせず、息子に慰められて生きる勇気を取り戻し、実家に戻るのをやめた妻と3人で喜劇映画に興ずるラストで映し出される「大群衆」のカットが素晴らしい!さすがキャプラだ。
8)ジャン=ポール・ラブノー監督の「うず潮」
ドヌーブとモンタンの1975年の恋物語であるが、悪魔のような最低男と結婚に踏み切ったり、大事な船を沈めてしまうような阿呆馬鹿女になんでモンタンが惚れてしまうのかさっぱり理解できないずら。
9)ジャック・ベッケル監督の「モンパルナスの灯」
ジェラール・フィリップが画家モディリアーニの生涯を演じる1958年の伝記映画であるが、その周辺にアヌーク・エーメなどの美女が遥曵する。
10ヤン・シュヴァンクマイエル監督の「アリス」
「不思議な国のアリス」をチエコの人形劇と融合させた1988年の夢幻劇映画。ユーモアとウイットがあってなかなか楽しめます。


   旅行より命が大事 強盗キャンペーンを即中止せよ 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「テトスへの手紙」を読んで

2020-11-20 20:43:29 | Weblog

照る日曇る日第1502回

偉大なる宣教師パウロがクレタ島に派遣されたテトスに与えた書簡であるが、格別目新しいことが書かれているわけではない。

不信者から攻撃されないように悪におぼれず、身を清潔にして善行に励みなさいという、まるで二宮金次郎のような徳目を列挙している。

  満天の豊旗雲に夕陽差し今日一日が無事に過ぎゆく 蝶人
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2つのブルックナー全集CDを聴いて

2020-11-19 11:20:47 | Weblog

音楽千夜一夜第459回

2つの全集とはデニス・ラッセル・デイビスとダニエル・バレンボイムがそれぞれリンツ・ブルックナー管弦楽団とベルリンフィルを率いて録れた11枚組と9枚組のCDである。

ブルックナーという人は、バッハと同様敬虔なキリスト者であり、その音楽はすべて神の栄光を讃えているのだから、その楽譜に記載されている音響のみならず、そこに内蔵されている精神をも伝えるのが指揮者や演奏者の仕事である。

そういう意味ではこの2人の音楽は失格だが、それでも外部に向かって放たれる音響を楽しむことは十二分にできるのである。


真っ白なサントリニーニ島の映像を見つつ抜かれるわが大臼歯 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「フィレモンへの手紙」を読んで

2020-11-18 13:10:03 | Weblog

照る日曇る日第1501回


預言者パウロは獄に投じられたが、その頃にネオシモという子(おそらく男子)が誕生したらしい。

そしてこの書簡では、その子をキリスト者の仲間に入れ、養育してほしいと依頼しているのが異色である。

パウロ亡きあと、フィレモンやネオシモは、どうなったのだろう?


なにゆえに両手にパンを持っている1枚2円のレジ袋が惜しい 蝶人
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藤井貞和著「<うた>起源考」を読んで

2020-11-17 12:03:29 | Weblog

照る日曇る日第1500回


序章「歌の深層へ降りてゆく」から終章「人はどのような時に絶唱を詠むのか」まで、キャッチーな見出しで埋めつくされた、「うた」の起源と現在までの変容の探求書です。

無味乾燥な究理哲学本かと恐る恐る読み始めたのだが、そんな心配は全く無用で、特に万葉集や古今集、現代短歌の現況を、それこそ「総合的俯瞰的に」総括した個所などいろいろと勉強になりました。

歌には1人称、2人称、3人称など様々な人称が出てくるが、詠歌の真の詠み手を強いて名づけるなら「ゼロ人称」であるという考察も興味深かったが、とりわけ面白かったのは、源氏物語の作中人物の和歌を論じた第23章だあ。

第1位光源氏221首、第2位薫57首、第3位夕霧39首、第4位浮舟26首、第5位紫上23首、第6位22首の中から、女流トップの浮舟を選び、歌人としての成長ぶりを具体的に指摘しておりまっせ。

 天空の世界遺産マチュピチュの映像見つつ抜かれる臼歯 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「テサロニケの信徒への手紙二」を読んで

2020-11-16 14:25:44 | Weblog

照る日曇る日第1499回


大預言者パウロはいう。「きょうだいたち、私たちの主イエス・キリストの名によって命じます。怠惰な生活をして、私たちから受けた教えに従わないすべてのきょうだいを避けなさい云々」。

しかしパウロはいつからどんな権限をもってイエスの身代わり、といって悪ければ代弁者、代理員に「なったのだろうか? 12弟子の筆頭のペテロがそえをいううなら許せるが、第2世代のパウロ如きものが勝手にイエスに成り代わっていいのだろうか?

これではパウロがキリスト教を再創造しているようなものではないか。

 300万を40億にしたという憎たらしいやらうらやましいやら 蝶人
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聖書協会2018年版新約聖書で「テサロニケの信徒への手紙一」を読んで

2020-11-15 09:27:35 | Weblog

照る日曇る日第1498回

マケドニアのテサロニケの信者に向けたパウロのメセージである。

パウロは、「合図の号令と、大天使の声と、神のラッパが鳴り響くと、主ご自身が天から降って来られます。するとキリストにあって死んだ人がまず復活し、続いて生き残っている私たちが、彼らと共に雲に包まれて引き上げあげられ、空中で主に出会います」というのだが、果たしてほんとうにそんなことが起こるのだろうか?

なんでも頭から信じれば信じられるのだろうが、私には難しいところである。

  感染の危険がなおもあるなかを観光旅行に出る人の勇 蝶人
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