2019年09月19日
日刊水産経済新聞
[ 日本海スケソウ TAC ロシア 資源量良好で再度増枠 日本側も活用を ]
北海道機船連によると、ロシア漁業庁はオホーツク海・東サハリン海域と日本海・沿海地方海域におけるスケソウ漁獲可能量 (TAC) の期中増枠を決定した。資源の増加を背景とした科学研究機関の勧告に基づいたもので、東サハリンは 1 万 8800 トン 上積みし、当初枠との合計で 14 万 4800 トン 、沿海地方は 4500 トン 上積みし、合計 2 万 3000 トン とした。
世界最大のスケソウ漁業国であるロシアの資源の良好さが改めて示された形。特に北海道に隣接する日本海 ( 沿海地方、西サハリン ) については、ロシアの総 TAC に比してボリューム自体は小さいものの、近年の増加率は著しい。 2016 年には一時 6520 トン まで落ち込んだが、その後は 3 年連続で増加。 19 年の TAC はいったん 1 万 6000 トン で決まったあと、資源調査の結果に基づき 2 度上方修正。今回の沿海地方の期中増枠により、西サハリン (2000 トン ) と合 わせた日本海の TAC は 2 万 5000 トン と、昨年 (1 万 2100 トン ) の 2 倍超のボリュームにまで膨らんだ。ロシアの科学研究機関は特に 14 年級群の資源豊度の高さを指摘している。
沿海地方の大手水産企業は同地方に水産加工場を新たに建設、漁獲されるスケソウを冷凍製品などに加工し、雇用創出、地域経済の活性化につなげているという。
道機船連の原口聖二常務は今回のニュースを受け、ロシア側日本海(沿海地方、西サハリン ) のスケソウが日本側とも往来している資源どされていることを指摘したうえで、「ロシア側は資源の増加に合わせて TAC を柔軟に改定し、地域経済の発展につなげている。日本でも日本海のスケソウ TAC 設定については、 ( 資源状態に合わせた ) 合理的な TAC 設定と資源活用を求めたい、それが漁業者の資源管理へのインセンティブにもつながる。人に利用されなければ資源とは呼べない」と訴えている。