2021年02月10日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[アレッグ・カン事件 イヴゲニー・ペカリィ 刑事起訴へ]
ロシア検察当局は”極東のカニ王”と呼ばれたアレッグ・カンの外国への違法貿易に協力したイヴゲニー・ペカリィが刑事起訴されたと発表した。
ペカリィは、2017年、アレッグ・カンの指示により、3,870万ルーブル相当、50トン以上のカニを中国に密輸した。
ペカリィは、戦略的で重要な資源の密輸に関与し、刑法第33条5項と第226条1項に関する違法行為で起訴された。
捜査当局によると、カンは、創業したモネロン社、クリリスキー・ユニヴァサリヌイ・コンプレクス社の事業として、活カニを近隣諸国へ供給する商流と物流を構築、当該事件では、輸出製品は、自身が管理するパナマ、あるいはマーシャル諸島の企業に向ける形をとり、市場価格より大幅に下げた価格で税関申告した上で、実際には中国企業に供給、販売した。
ペカリィは、中国企業との架空の商業取引契約を作成、それに署名し、サハリン税関に対して付加価値税に関する不正確な情報を提出して、カニを密輸することに協力し利益を得た。
ペカリィは、カニの密輸により、170万ドルを受け取り、自らの判断でこれを処分したとさている。
カンには2014年から2015年、カニを輸出する際、やはり、製品価値を過小評価し脱税した疑いがかけられている。
製品はパナマの会社への通関価格で輸出申告されたが、実際には、はるかに高い価格で日本の企業へ輸出され、ロシア国家の損害は2億1,300万ルーブルと見積もられている。
また、カンには、2010年にウラヂオストクで殺害された同業他者ワレリイ・プヒデンコ事件への関与の疑いがかけられている。
カンは、1967年ネヴェリスク生まれで、同地の合弁企業ワッカナイを振出に、カニ漁業にかかわり、極東の“カニ王”と呼ばれるまでになった。
カンは不在のまま起訴され、いくつかの情報によると現在、アジアのいずれかの国に潜伏している。
報告担当者 原口聖二:
ロシアの”ロイヤル・ピープル・アワード”は毎年、国の芸術、政治、ビジネスの最も重要な人物を表彰しており、イヴゲニー・ペカリィ(Евгений Пекарь)は、2017年、海洋ビジネスの発展への貢献を評価され、これを受賞した。イヴゲニー・ペカリィは革新的な中国へのカニ輸送事業により、ロシアと中国の間の貿易関係を強化する上で重要な仲介者となったと称賛を受けていた。