2021年02月15日
リポート:北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[CV19クライシス 現在のスケトウダラ小売単価はMD期間の”タイムラグ”]
中国の港の閉鎖によりロシアのスケトウダラ製品の卸売価格は35%下落、ロシア国内市場への供給も停止状態に陥った。
ロシア漁業庁長官シェスタコフは、製品の卸売価格と比較し、小売価格は値崩れしておらず、単価が連動していないことを指摘、中間業者による出荷調整を問題視する発言をした。
しかし、食品流通業界の専門家は、この現象が、卸売から在庫、製品化、そして小売りフェースに並ぶまでのマーチャンダイジング(MD)のタイムラグであり、早晩、小売り価格も崩れていくと指摘している。
国営単一企業”国家魚類資源”(Нацрыбресурсы:ナツ・ルイブ・リソース)のデータによると、2021年2月上旬のスケトウダラH&G(ドレス)の極東地方における価格は、キログラムあたり65ルーブルで、前年2020年同期の102ルーブルを大きく下回っている。
この価格は、最低を記録した2017年の水準に戻っている。
食品業界団体の代表者は、今後、どのように展開するかは、中国次第だと指摘、規制が解除されれば、卸売価格は上昇するだろうが、それがなければ、価格は下がり続けるだろうと言及した。
また、スケトウダラの末端小売最終製品の価格は昨年から6%上昇した状態で止まっているが、今後、卸売H&G価格が小売り製品価格に反映された時、消費者の購買意欲を刺激するかは、まだ分からないと言及した。
更に、小売りチェーンを展開する代表者は、卸売価格と末端小売製品価格について、MDのため数ケ月間のタイムラグがあると語り、その中にあって、この2月に、既に小売価格が下がり始めていると指摘した。
元漁業庁副長官で現ロシア水産物加工流通協会常務理事アレクサンドル・ファミン(報告担当者 原口聖二:元日ロ漁業委員会ロシア側代表 写真)は、現在のH&G卸売価格の65ルーブル水準もそれほど長くは続かず、更に下落する可能性があるとの観測を示し、状況は絶望的だと言及した。
さらに、漁業者は漁獲物を売る必要があるが、冷蔵庫はすでに満杯で、スケトウダラを保管する場所が限定的で、結局、価格をさらに下げざるを得ないと語り、これから、他種漁業も開始され、価格が維持または上昇する客観的な理由は現在のところないと結んだ。