ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

カニ漁獲割当オークションで配分を失ったロシア漁船が不明船に戻り密漁を行う (原口聖二)/ 密漁再活発化(北海道新聞) 

2022-10-03 10:43:14 | 日記

2022年10月03日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[カニ漁獲割当オークションで配分を失ったロシア漁船が不明船に戻り密漁を行う]

ロシア漁業は、2019年に漁獲割当の更新をむかえるにあたり、漁獲割当の更なる長期化(10年間→15年間)を行い、このために政府と漁業者が資源利用にかかる契約を2018年に交わしたが、翌年には”投資クオータ”等、投資目的の漁獲割当の第1弾が設定され、配分済の漁獲割当の一部が引き剥がされた経緯がある。

2019年には漁船建造義務が伴うカニ漁獲割当オークションが実施され、翌年、向こう15年間のTACの50%がこれによって配分された。

2000年代、便宜置籍船(FOC船)として違法漁業を行った経緯のあるカニ漁船が、IUU漁業防止協定に対応するためロシア漁船登録を行い正規漁業に従事した後、オークションで漁獲割当を失い、不明船となり、再びカニの密漁を行う可能性を排除できない事例が報告されている。

カニ漁船”エルフォルグ”(Эрфольг)は、1990年、韓国で建造された。

ロシアEEZで30年余り活動する中、船名が、”カピタン・リゴフ”(Капитан Лигов)、”バジス”(Базис)、クラテル(Кратер)、そして”エルフォルグ”と4回変わり、フラッグは、パナマ、カンボジア、ベリーズ、そしてロシアと4国籍を経験、船主については、極東のカニ王と呼ばれスキャンダルから国際指名手配を受けているアレッグ・カン(Олег Кан)の”クック”(КУК)社と”モネロン” (Монерон)社を含め8社をわたっている。

しかし、洋上の乗組員チームは、どの所有者とも仕事をする準備ができていたとみられる。

2010年に、”エルフォルグ”はパナマ・フラッグで、カニの密漁を行いロシアFSB国境警備局に拘束された。

2017年には、当時の船主のカムチャツカ企業”フィッシュ・ネット”(Фиш-нет)の代表が、警備艇の行動秘密情報の入手を試み、”おとり情報”をつかまされ、違法操業で当局に拘束される事件もあった。

2019年、”エルフォルグ”は、韓国の釜山に入港し、メンテナンスを行い、新たなビジネスに備えた。

”フィッシュ・ネット”社は、やはりカムチャツカ登記の船名と同じに社名が設定された”エルフォルグ”(Эрфольг)社に”エルフォルグ”を2021年に売却したが、同社にカニの漁獲割当配分は存在していない。

今年2022年4月、カニ漁業に通常のルートとなる韓国-オホーツク海に沿うべく”エルフォルグ”は釜山を出港、航海に出たが、船尾と舷側の船名は隠され、フラッグの掲揚はなかった。

もちろん”エルフォルグ”は船舶位置と入域通報等をせず、同年5月、オホーツク海シェリホフ湾で違法漁業を行っていた。

当局警備艇”ザバイカル”(Забайкалье)がこれを発見、呼び出したが”エルフォルグ”は応じずに逃走、警告射撃の後、ようやく停船した。

”エルフォルグ”は逃走中、荷物を海中に投棄していたが、これらは後にカニを漁獲するための餌に使用する冷凍ニシンだと分かった。

当局が”エルフォルグ”の船内を検査した結果、違法漁獲物から加工された45トンのボイル済冷凍カニ製品と専用機器が発見された。

船内から漁具は発見されなかったが、西カムチャツカ海域の座標を示すデータ記録ノートがあり、当局が、この位置を調査した結果、一連のカニカゴが見つかり、これらを引き上げ2万5,000個体のアブラガニと4万個体のズワイガニが漁獲されていたことを確認、生存資源を海中還元した。

”エルフォルグ”社は、釜山を出港する以前に、責任の所在を外国企業、パナマの”Lebensbaum”社に移す工作をしていた。

情報によると”エルフォルグ”社は、釜山出港前にカニ製品を売るためのパナマの当該企業と契約を結んだ。

しかし、ペトロパブロフスク・カムチャツキー市裁判所は、この責任の所在の変化には説得力がないと判断、”エルフォルグ”社を有罪とし、4,600万ルーブルの罰金のほか、カニ製品を没収する判決を下している。

(関連過去情報)

北海道機船漁業協同組合連合会 ロシアFOC/IUU取締情16”エルフォルグ”(Эрфолг)

2010年02月08日 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[沿海州国境警備局がパナマ旗活カニ違法所持船を拘束]

ロシアFSB沿海州国境警備局は、違法に活カニを所持していたパナマ・フラッグ商業船”エルフォルグ”(Эрфолг)を拘束、ナホトカ港へ連行した。

”エルフォルグ”が違法に所持していた、タラバガニ、アブラガニおよびケガニ、1,000個体以上は、当局により生息地へ海中還元された。

”エルフォルグ”には、専用の漁具と2つの大きな活魚槽があったが、それらの経済活動を満たす許可証はなかった。

現在、ナホトカ港では、"エルフォルグ"のほかに、カンボジア、シエラレオネ、パナマ等のFOC(便宜地籍flags of convenience)船9隻が違法活動の罪で拘束されている。

 

2022年09月29日 北海道新聞

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2022年漁期 40°N以北-180°E以西沿岸 ロシア・北海道 シロザケ漁獲量比較(10月2日 #3)

2022-10-03 07:26:01 | 日記

2022年10月02日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[2022年漁期 40°N以北-180°E以西沿岸 ロシア・北海道 シロザケ漁獲量比較(10月2日 #3)]

一般社団法人北洋開発協会(北海道機船漁業協同組合連合会内 担当 原口聖二)は、昨年2021年漁期から、シロザケの生産において増殖事業に依存度が高い北海道とサハリン州、そして野生の割合が高いその他のロシア極東地方の各沿岸の漁獲量の比較を行っている。

今年2022年漁期、ロシア極東全体のシロザケの生産量は、同年10月2日までに6万8,768トンで、一方、北海道は同日までに3万4,007トンとなっている。

双方を合わせると、40°N以北、180°E以西の両地方沿岸で10万2,775トンのシロザケが漁獲されたことになる。

近年、北海道に隣接するサハリン州も10億尾内外の人工孵化放流事業を行っている。

北海道より漁期開始が早いサハリン州沿岸のシロザケ漁獲量は、報告日までに2万3,701トン、報告対象日ロ全沿岸の生産の23.1%相当で、これに対し北海道は、3万4,007トン、33.1%となり、1万トン以上、上回っていて、資源の北偏傾向が続いている中、昨年2021年に引き続き、サハリン州と比較し、北海道沿岸の資源来遊率が高かく、事業成功度が優位な進捗となっている。

 

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