2022年10月28日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア 投資目的漁獲割当第2弾設定法案 条件付きで下院第1読会通過]
投資目的漁獲割当第2弾設定のための法案が2022年10月27日(モスクワ時間)下院第1読会を条件付きで通過した。
ごく一部を除く業界の大勢と全ての沿岸地域の反対を押し切りロシア政府は、2022年7月28日、法案を承認し、下院へ提出していた。
下院は第1読会で第2弾設定法案を支持する一方で、第2読会の準備に考慮すべき指摘点も採択した。
今回の第1読会は2時間にわたり行われた。
法案支持の根拠として、ロシア漁業が目指している原料ベースでの輸出依存からの脱却、付加価値産業への成長に必要な漁船団の更新、陸上水産加工場建設等、生産施設の近代化の重要性が指摘され、イッシューが大統領プーチンの指示であることも加えられた。
但し、中小企業に与えるリスク、投資目的漁獲割当第1弾の漁船建造プロジェクトの遅れ、沿岸水産コンプレクス整備等、多くの問題が提起された。
この結果、中小企業に利用者が多い、カニを除く沿岸性の水棲生物資源を対象プロジェクトから除外すること、また、“投資クオータ”とカニ漁獲割当オークションの第2弾の発効の延期の可能性について、下院副議長ゴルデーエフの下に調停委員会を設置し検討すること等を条件に、過半数票で法案が採択された。
第2読会のための修正法案の準備は30日以内に下院農業問題委員会で検討されることになる。
第1読会に提出された法案では、“投資クオータ”の第2弾で、スケトウダラ、ニシンのTACの20%以内で、漁船建造と水産加工場建設に、利用目的に応じ漁獲割当が配分される。
加えて、第1弾の参加者の漁獲割当が削減されてしまう可能性があることから、更に4%がこの補償調整向けとして配分されることとなっている。
また、漁船建造等、投資義務が伴うカニの漁獲割当オークション第2弾として、TACの更に50%部分が対象となり、第1弾の50%を合わせると、対象資源のTACの計100%がオークションで配分される。
更にホタテ、ツブ、ナマコ、ウニ等、市場価値の高い資源の採捕割当が100%オークションで配分され、投資プロジェクトの実施が義務付けされることになっていたが、今回、このパートが中小企業保護のために配慮されることとなった。
「モスクワは涙を信じない」
いくら涙を流し、苦しみを訴えても、またどんな問題があろうと、それは相手の同情を引かず、問題の解決に役立たない。