2022年11月27日
リポート 北海道機船漁業協同組連合会 原口聖二
[#4 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国漁業 プロジェクトの承認は性急で違法 停止を求める]
米国では、ジョー・バイデンが大統領に就任して以来、政府が洋上風力発電プロジェクトを前進させることを強く求めてきた。
内務省海洋エネルギー管理局 (BOEM) によるリースの取り組みには、現在、東海岸沖の25 の活動地域が含まれているが、再生可能エネルギーを促進して環境を保護するとの取り組み自体が、環境上の理由からますます抵抗を受けている。
“米国漁業代表者連合”と“責任ある沖合開発同盟 (RODA)”は、マサチューセッツ州沖で建設中のヴィンヤード・ウィンド・プロジェクトを停止させるための訴訟において、ボストンのマサチューセッツ連邦裁判所に略式判決 (公判なしの判決) を下すよう求めた。
ヴィンヤード・ウィンド・プロジェクトは、マサチューセッツ州マーサズ ヴィニヤードとナンタケット島の南距岸15マイル に位置する大西洋の米国海域で建設中の洋上風力発電所で、マサチューセッツ州公共事業局は2019年にこのプロジェクトを承認、建設は2021年11月18日に開始された。
RODA は提出書類の中で、プロジェクトの承認は性急で違法であると指摘、商業漁業と希少なセイヨウセミクジラに深刻な損害を与えると説明している。
ニュージャージー州でも、漁業や環境などへの影響から、洋上風力発電プロジェクトに反対する動きが高まっている。
ロングビーチ保護を目的とする団体は、沖合9マイルに370基の風力タービンを設置することの美的、経済的損失、そして環境への悪影響を指摘、BOEM が必要な対応を準備できなかったと主張して訴訟を起こした。
他のニュージャージー州の批評家は、州政府があまりにも急速に天然ガスなどから遠ざかり、消費者に損害を与えていると述べている。
同様の動きは他にも見られている。
オレゴン州の議員2名が2022年6月に BOEM へ書簡を送り、オレゴン州南部の海岸沖に風力発電施設を設置につて、沿岸地域社会、太平洋岸の生態系、持続可能な漁業に悪影響を与えるとの懸念を表明、BOEMが、この問題に関して最も直接的な利害関係者を無視してきたと署名者の議員は批判している。