2022年11月28日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[2022年1月-9月 ロシアのフィッシュミールの月別生産量と価格の推移]
(生産量)
ロシア漁業は、2022年1月-9月、前年同期を16.2%上回る12万2,900トンのフィッシュミールを生産した。
漁業生産量において日本の400万トンに対し、ロシアは500万トンで近年リードしているものの、フィッシュミールの生産量は日本(20万トン弱)より大幅に遅れ、これは、設備投資が求められる残滓利用が進んでいないロシアの状況を表すものとなってきた。
しかし、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほか、世界的に需要が高まっている当該製品の生産を拡大しており、2018年に初めて10万トンを突破、以後、右肩上がりで成長し、昨年2021年には14万3,400トンに達した。
毎年1月-4月、生産量が大きくなるのは、主に100万トン近く漁業生産が行われるオホーツク海抱卵スケトウダラ操業の残滓、これに次いで6月-8月、生産がやや大きくなるのは、太平洋サケマス操業の残滓と見られる。
さらに、ここ2年-3年、10月-12月に生産が大きくなる傾向を見せているのは、拡大を続けるイワシ漁業によるものと推察される。
(価格)
2012年から2013年のロシアのフィッシュミールの平均価格は、トンあたり3万ルーブル台だったが、2014年12月に5万ルーブルを記録すると、翌2015年1月には6万ルーブルを超え、以後、2019年までは平均7万ルーブル台で推移、2020年の平均価格は8万1,600ルーブル強、そして、2021年には9万3,200ルーブルで、これを上回る高値となった。
更に、2022年に入り、ウクライナ問題発生後の4月に、一気に価格は高騰、13万ルーブルを超え、同年1月-9月の平均価格は前年平均を19.4%上回る10万8,170ルーブルとなっているものの、同8月に前年2021年同期並みまで下落、同9月も前年同期並みの落ち着きをみせ9万4,220ルーブルとなっている。
なお、現地リポートに同8月からの下落の原因等に関する指摘はない。