2023年06月10日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア漁業庁長官 ノルウエーと漁業協力を継続するも漁船修理問題について解決が必要となる]
ノルウエー政府は、ロシアと国境を接する国として、またNATO加盟国として、採択された制裁措置の義務を完全に果たすが、水棲生物資源の保全管理と漁業分野の協力を否定すべきではなく、むしろこの分野の協力の存在により、一定の交流をもつことで北部の状況が安定していると指摘、両国のこの分野の政府間協定を維持する立場を維持している。
現在もノルウエーは、ロシア漁船のトロムソ、キルケネス、ボーツフィヨルドの3港への寄港を認め、漁獲物の陸揚げ、乗組員の交代、燃料補給、緊急修理等を許可しているが、国内野党勢力がロシア船に対するノルウエー港の完全封鎖措置の実施を強行に主張しており、2023年5月には、ロシア漁船の計画的修理を停止する限定的措置をとった。
現在、この措置のタイムラグにより修理中のロシア漁船6隻が対象となってしまい、ノルウエーから離れることが出来ない状態に陥っている。
ロシア漁業庁長官イリヤ・シェスタコフは、このノルウエーとの関係について、最も影響を受けるムルマンスク州へ出張し、2023年6月9日、同州知事アンドレイ・チビスと会談を行った。
シェスタコフは、共通の水棲生物資源を保護管理するためにロシア・ノルウエー漁業委員会の活動を継続する必要があり、これを誰も否定していないと述べ、一方で、ノルウエーが漁船修理を制限していることには違法性があり、実際には6隻の漁船を離さないことは他国の財産の押収に等しいと言及、早期に修理を終え、これらがノルウエーから出港できることを期待すると加えた。
一方で、今後、当該地域の船団の活動の効率面からも地元ムルマンスクで修理等が行われることが重要な要素になると指摘し、そのための港湾インフラの近代化に関する提案を2023年7月中旬までに大統領府に提出して、地元と問題解決に向け協力していく所存であることを表明した。