2023年06月23日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[2023年1月-4月 ロシアのフィッシュミールの生産量と価格]
(生産量)
今年2023年1-4月のロシア漁業のフィッシュミール生産量は、6万2,370トンで前年2022年同期を1.7%下回っている。
昨年2022年、ロシア漁業のフィッシュミール生産量は、前年2021年を12%上回り、16万600トンに達した。
漁業生産量において日本の400万トンに対し、ロシアは500万トンで近年リードしているものの、フィッシュミールの生産量は日本(20万トン弱)より大幅に遅れ、これは、設備投資が求められる残滓利用が進んでいないロシアの状況を表すものとなってきた。
しかし、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほか、世界的に需要が高まっている当該製品の生産を拡大しており、2018年に初めて10万トンを突破、以後、右肩上がりで成長し、前年2021年には14万3,400トンに達した。
毎年1月-4月、生産量が大きくなるのは、主に100万トン近く漁業生産が行われるオホーツク海抱卵スケトウダラ操業の残滓、これに次いで6月-8月、生産がやや大きくなるのは、太平洋サケマス操業の残滓、さらに、ここ3年-4年、10月-12月に生産が大きくなる傾向を見せているのは、拡大を続けるイワシ漁業によるものと推察される。
(価格)
今年2023年1-2月のロシア漁業のフィッシュミールの平均価格は、トンあたり9万1,120ルーブルで、前年2022年同期を10%下回っていたが、3月に急騰、10万6,010ルーブル、4月に11万1,210ルーブルに達したことが確認された。
2012年から2013年の間、平均価格は、トンあたり3万ルーブル台だったが、2014年12月に5万ルーブルを記録すると、翌2015年1月には6万ルーブルを超え、以後、2019年までは平均7万ルーブル台で推移、2020年の平均価格は8万1,600ルーブル強、2021年には9万3,200ルーブル、そして、昨年2022年はウクライナ問題発生後の4月に、一気に価格は高騰、13万ルーブルを超えた後、8月から前年2021年同期並みまで下落を見せたが、平均価格は11%上回る10万3,680ルーブルの高値となった。
一方、本日2023年6月13日付日刊みなと新聞は、世界のフィッシュミール生産の20%強を占める主要生産国ペルーの当局が同年6月8日、北中部海域のカタクチイワシの第1漁期(例年4月-8月)、試験操業による幼魚の混獲率が86.3%と高く、操業を開始しないと発表したことを受け、当該製品の価格高騰は必至だと伝えており、今後の動向が注目されるところとなっている。