2023年06月24日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[米国 ロシア産水産物原料 第3国加工製品禁輸法案 上院一部議員が反対を表明]
米国アラスカ州選出上院議員リサ・マコウスキー(Lisa Murkowski)とダン・サリヴァン(Dan Sullivan)が、同院に提出したロシア産原料第3国加工製品禁輸を目的とする“米ロ水産物相互主義法案”に対し、マサチューセッツ州選出上院議員エドワード・マーキー(Edward Markey)が反対を表明した。
提出された法案は全てのロシア原産の水産物製品の輸入を禁止する法律とされている。
2022年3月、大統領ジョー・バイデン(Joe Biden)は、ロシアのウクライナ侵攻に対応して課す新たな経済制裁の一部としてロシア産水産物の輸入を禁止する大統領令No.14068に署名した。
しかし、現状、大統領令No.14068は、第3国で加工されたロシア原産の水産物の輸入を完全に阻止することができていない。
エドワード・マーキーは、外国産水産物製品の原料原産地を追跡する米国税関・国境警備局の能力について懸念を表明した上で、構成されたチームで法案を精査したが、ニューイングランド地方にとって実行可能かを検討するにはもっと時間が必要だと語り、輸入に依存する地元マサチューセッツ州の水産食品加工業への影響を指摘した。
また、水産食品加工業界が大きな混乱に見舞われ、労働者が職を失い、米国人の消費コストが大幅に上昇する可能性があると加えた。
上院で論争となったダン・サリヴァンは、米国漁業者がロシアの犠牲になっている旨を述べ、中国が恩恵を受けていることを説明した。
法案の今後は不透明なところとなっている。
なお、エドワード・マーキーは、2022年3月に決定した、ロシア産水産物の輸入禁止措置法案にも反対をしていたが、その後、支持にまわった経緯がある。