2024年03月14日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[2023年 ロシアのフィッシュミールの生産量と価格]
(生産量)
昨年2023年のロシア漁業のフィッシュミール生産量は、前年同期を8.2%上回り、17万4,600トンに達した。
漁業生産量において日本の400万トンに対し、ロシアは500万トンで近年リードしているものの、フィッシュミールの生産量は日本(20万トン弱)より大幅に遅れ、これは、設備投資が求められる残滓利用が進んでいないロシアの状況を表すものとなってきた。
しかし、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほか、世界的に需要が高まっている当該製品の生産を拡大しており、2018年に初めて10万トンを突破、以後、右肩上がりで成長を続けている。
毎年1月-4月、生産量が大きくなるのは、主に100万トン近く漁業生産が行われるオホーツク海抱卵スケトウダラ操業の残滓、これに次いで6月-8月、生産がやや大きくなるのは、太平洋サケマス操業の残滓、さらに、ここ3年-4年、10月-12月に生産が大きくなる傾向を見せているのは、拡大を続けるイワシ漁業によるものと推察される。
(価格)
昨年2023年のロシア漁業のフィッシュミールの平均単価は、前年を23.4%上回り、トンあたり12万7,930ルーブルに達した。
世界のフィッシュミール生産の20%強を占めてきた主要生産国ペルーのカタクチイワシ操業規制措置が、強いインパクトを与えた年となった。
2023年1月-2月のロシア漁業のフィッシュミールの平均価格は、トンあたり9万1,120ルーブルで前年2022年同期を10%下回っていたが、3月に急騰して10万6,010ルーブルとなり、その後も上昇を続けて、4月に11万1,210ルーブル、5月に12万2,700ルーブル、そして6月には12万3,280ルーブル達した。
7月、11万8,670ルーブルとなって、ようやく上げ止まったことが確認されたものの、8月、また急騰、9月、10月と過去最高値を更新し16万2,680ルーブルを超えた。
12月は前月期比4.6%下がり15万1,970ルーブルとなったものの、前年同期比72%高となっている。
2012年から2013年のロシアのフィッシュミールの平均価格は、トンあたり3万ルーブル台だったが、2014年12月に5万ルーブルを記録すると、翌2015年1月には6万ルーブルを超え、以後、2019年までは平均7万ルーブル台で推移、2020年の平均価格は8万1,600ルーブル強、2021年には9万3,200ルーブルで、一昨年2022年はこれを11%上回る10万3,680ルーブルの高値となっていた。