2024年03月20日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア漁業庁長官 全ての漁業協定のロシアの利益の有無の分析の開始を支持]
ロシア漁業庁長官シェスタコフは、 先に上院議長マトヴィエンコが、漁業分野におけるすべての政府間協定について、ロシアにとっての利益の有無の分析を開始する提案をしたことを支持すると表明した。
一方でシェスタコフは、漁業協定のメリットやデメリットの問題は複雑で、包括的に検討する必要があると強調し、各国がロシアEEZに入域し、単純に操業を行うことを許可するという協定を結んでいないと説明して、同時にロシア漁業者が相手国EEZに入域するものや、 金銭補償と引き換えに漁業権をロシアが提供するという協定も存在しており、 儲かるか儲からないかという問題は常に諸刃の剣だと言及した。
また、これらすべての合意を全体として検討する必要があり、上院、下院の両方と一緒に分析するつもりだと加えた。
昨年2023年、ロシアの漁獲量530万トンの内、100万トンが国際協力協定によってもたらされた。
ロシア大統領プーチンは、2024年3月11日、英国との漁業協定破棄法に署名した。
当該法案は同年2月21日下院を通過、更に3月6日上院で採択されていた。
これは、2022年3月に英国が貿易での最恵国待遇を停止したことへの報復と位置付けされている。
ソ連政府とグレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国政府は、1956年5月に漁業協定を締結した。
この協定は5年間を期間として締結され、永久延長の可能性があり、一方の当事者が破棄するまで協定は有効である旨が規定されている。
英国はコラ半島の沿岸、カニンノス岬の東側の本土沿い、およびコルグエフ島沿岸のバレンツ海水域で漁業に従事する権利を取得していた。
一方で、英国漁船がソ連海域で操業したのは1980年代末までだけだった。
ソ連崩壊後、ロシアがその法的後継者となったため、協定は引き続き有効であった。
上院では、英国漁船が2000年以降ロシア海域で漁業活動を行っておらず、当該協定が実質的な意味を失っていることも指摘された。
また、2000年以降、ロシア漁船も英国海域での操業がない中、当該協定が一方的なものであり、ロシア漁船に同様のまたは相応の権限や利益を与えていないことが指摘された。
上院議長マトヴィエンコは、協定を破棄する決定の正しさを強調し、漁業分野におけるすべての政府間協定について、ロシアにとっての利益の有無の分析を開始することを提案した経緯がある。