2024年03月26日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[日本EEZ“またがり資源”韓国近海スルメイカ操業概況(3月15日)]
韓国漁船による自国EEZにおける2023年度漁期(管理期間2023年7月-2024年6月)の2023年7月1日から2024年3月15日までのスルメイカのTAC管理漁獲量は1万7,320トンで、前年度同期比68%、TAC設定7万9,000トン(実証試験枠を除く)に対する開発率は22%にとどまっている。
主要漁業沖合イカ釣りの漁獲量は報告日までに2,540トン、前年度同期比38%、TAC開発率は11%にとどまっている。
2020年度漁期から近海網漁船(小規模漁業)にもイカのTAC管理が導入されている。
近海網漁業は、2023年度漁期開始から報告日までに、前年度同期を8%上回る4,240トンを生産、主要漁業沖合イカ釣りの1.7倍で、西海トロールに次いで韓国近海イカ漁業を牽引する存在となっている。
2023年度漁期から西南海区中型トロールのTAC実証試験が開始されており、報告日までに1,580トンを生産している。
これを正式TAC管理漁業種と合算すると生産量は1万8,890トンで、前年度同期比75%となる。
大型トロール、西海トロール、そして西南海区中型トロールが、東経128度以西に限定されている操業海域で、報告日までに約1万1,570トンを漁獲、現在、韓国スルメイカ漁業の6割以上の生産を西岸沖合漁場が占める実績を示しており、日本の資源評価において、この動向を論議の対象外としてきたことは、大きな問題点として指摘されるところとなる。
日本の科学研究機関は2023年度のスルメイカの資源評価のための情報として、遂に韓国西海での漁獲量を除外してしまった。
日本の科学研究機関は韓国のスルメイカの月別漁獲量を4月-10月が秋季発生群、12月-3月を冬季発生群、11月を半々と分類していた。
日本の科学研究機関によると、韓国西海での漁獲量を2022年漁期まで1%未満-20%と推定していた。
しかし、韓国管理機関の情報をもとにすると、最低限に見積もっても、2017年漁期から2022年漁期までの間、西海での漁獲量のシェアは34.9%-53.8%で推移している。
韓国西海での漁獲量を除外した理由について、秋季発生系群と冬季発生系群の親魚量算定の時のアンバランスの発生等が考えられるが、日本の科学研究機関からは、明確な説明はなく、“考慮回避”状態とうかがえる状態となっている。
*日本の自国EEZの2022年度-2024年度のTACは、漁獲シェアが高かった2007年当時のデータを参照し生物学的許容漁獲量(ABC)中60%を日本1国で獲れるとの前提で算定した値として、7万9,200トンが設定されているが、最終年度となる2024年度については、この間の資源悪化と、その対応としてのリスク低減を理由に、当初配分を2万9,000トン、残る5万200トンを国が留保することとなった。