2017年06月08日
日刊みなと新聞
[米が法案 北制裁へ漁業権不買 中国のスルメ多獲抑止か]
米国連邦議会上院が、北朝鮮への経済制裁強化の一環として、同国からの漁業権を不買とする法改正を審議中だ。北洋開発協会(北海道機船連内)によると「北朝鮮から漁業権を買った企業に、米国企業どの取引禁止など罰則を与える内容。第三国の企業も対象となる」。中国漁船の北朝鮮水域でのスルメイカ多獲に、抑止力となる可能性がある。
(第三国企業も罰則対象)
北朝鮮の資金源を断つととなどを買的とした「対北朝鮮遮断・制裁近代化法案」が2017年5月4日に米国下院を通過、上院に諮られている。同法が可決・施行されれば、米国は北朝鮮から漁業権などを買っている人を指定し、米国での事業や米国企業・金融機関との取引を禁じることができる。
北朝鮮の漁業権販売先に中国漁船がある。「中国漁船らが昨年、北朝鮮に30億円以上の入漁料を与えたと聞く。北朝鮮排他的経済水域(EEZ)でスルメイカを多獲しているようだ」(全国いか釣り漁業協会川口恭一会長)。スルメイカの年間漁獲は「多い年で30万トン。昨年は16万トンほどとみられる」(商社筋)。「昨年の日本海では、日本の倍以上を揚げた可能性も」(川口会畏)。スルメイカの無秩序な多獲が続き、日本や韓国とも競争の様相を呈している。
日本周辺のスルメイカ漁は昨年、資源の激減から大不振にあえいだ。川口会長は「すり減った資源に、中国の多獲は脅威」と警戒する。ただ「北朝鮮EEZでの資源管理は同国政府の管轄。北朝鮮政府が公認している現状、中国のイカ漁を第三国が厳しく規制する枠組みはない」(水産庁国際課)。「本来は環日本海での資源管理体制が必要だが、北朝鮮や中国と足並みをそろえるのが難しい」(川口会長)。ただ米国の法改正が実現すれば「中国の多獲抑制、スルメィカ保全に期待がかかる」(川口会長)。ただ北朝鮮に入漁料を払っている中国企業が米国と取引しているかは不明。米国企業と取引がなければ、規制の実効性は期待できない。
また、「同法では、米国が北朝鮮の漁業権を買った人間を指定『しなければならない』のではなく指定『してもよい』扱い」(外務省担当者)。一部には「どの船、どの企業が北朝鮮にお金を払っているのか情報公開がない。米国が制裁を与えようにも、対象者を特定できるのか」との声もある。
(関連過去情報)
2017年05月04日 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[米国 北朝鮮制裁強化 漁業権販売遮断]
米連邦下院は2017年5月4日、北朝鮮への制裁を強化する法案を賛成多数で可決した。
米共和・民主両党が共同で提出したこの法案は、漁業権の販売や労働者の輸出といった北朝鮮の資金源を確実に遮断することに加え、北朝鮮への原油供給を禁止することなども定めており、その範囲あるいは厳しさいずれの面においても過去に例のないものとなっている。
具体的にはたとえば第3国の企業が北朝鮮の外貨獲得につながる取引を少しでも行った場合、その企業は米国との貿易や事業ができなくなり、米国の銀行との取引も禁止される。
また国連による対北朝鮮制裁決議を守らない国に対しては、その国の船舶が米国の領海に入れなくすることも法案には盛り込まれている。
2016年07月02日 韓国発 中央日報
[北朝鮮 中国漁船1500隻に操業権売り3000万ドル収入]
李チョル雨(イ・チョルウ)国会情報委員長と李炳浩(イ・ビョンホ)国家情報院長、セヌリ党の徐清源(ソ・チョンウォン)議員(左から)が1日、国会で開かれた情報委員会全体会議に出席している。
北朝鮮が中国に漁業操業権を売り、今年3000万ドル(約350億ウォン)の収入があったと、国家情報院が明らかにした。政府当局が北朝鮮の操業権販売と収入の規模を公式的に確認したのは今回が初めて。
李炳浩(イ・ビョンホ)国家情報院長は1日、国会情報委員会に出席し、「北がドル確保のために平年の3倍にのぼる約1500隻の船に操業権を売った」と報告したと、李チョル雨(イ・チョルウ)情報委員長(セヌリ党)が伝えた。国家情報院は「中国漁船の操業により漁獲量が減り、油かすを海に大量に捨てて環境汚染が深刻になっていて、北と韓国の漁民の共通の不満を招いている」と報告したという。
北朝鮮は毎年、東海岸のイカ漁場と西海(ソヘ、黄海)ペクリョン島・延坪島(ヨンピョンド)近隣漁場の漁業権を中国側に売り、2014年には北方限界線(NLL)南側の韓国の漁場の漁業権まで含めたという。
先月10日から1週間、漢江(ハンガン)河口で軍(海兵隊)と海洋警察で構成された韓国「民政警察」が違法操業をする中国漁船の取り締まりをした当時、中国漁船は北朝鮮側に逃げてはまた現れるという動きを繰り返した。当時、北朝鮮水域が中国漁船の避難場所になった理由は、北朝鮮が漁業権を売ったためという分析が出てきた。
北朝鮮が今年、操業権を例年より多く売ったのは、国連と国際社会の対北朝鮮制裁の影響だと、国家情報院は説明した。北朝鮮漁船が老朽しているうえ燃料が不足しているほか、操業をしても対北朝鮮制裁で海外輸出の道がふさがれたためだという。国家情報院は「北は耐乏と増産を強要し、石炭の輸出は約40%、武器の輸出は88%減少する傾向」と明らかにしたと、情報委員が伝えた。
先月22日の北朝鮮のムスダンミサイル(北朝鮮名・火星10)試験発射に関し、国家情報院は「高角発射(発射角度を高めて射程距離を減らす方式)で約400キロに到達し、飛行安全装置が付着するなど、技術的な進展があった」と報告した。これとともに「性能改善などの技術的な面と対米打撃能力を誇示するための政治的な目的を見ると、北は(ミサイル)発射を続けるとみられる」と予想した。
国家情報院は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の叔母・高英淑(コ・ヨンスク)氏の最近のインタビュー(ワシントンポスト)と関連する動向も報告した。米国に亡命した高氏はインタビューで、「金正恩は勉強しろと母から叱られると、口答えする代わりに断食のような方法で逆らったりした」と話した。国家情報院は「報道直後に金正恩が海外の大使に『こうした(インタビュー)資料が北朝鮮に入るのを必ず防ぐべき』と指示した」と報告した。
また国家情報院は「北が特権層向けの専用診療所であるボンファ病院を建て替え、ドイツ製の磁気共鳴画像装置(MRI)や米国製の放射能治療装置など西欧の先端装備を導入して入れ替えている」とし「一方、住民が利用する病院は医療品不足に苦しんでいる」という報告もした。
この日、李炳浩院長は「国家情報院は政治的に中立を守り、権力の乱用を絶対にしない」と述べた。野党議員は「来年の大統領選挙を控えて、指揮部の意志に関係なく中間幹部と4・5級実務職員が小グループを結成して介入する事態があるかもしれない」とし「政治介入問題が起きないようにしてほしい」と述べた。
2016年06月14日 ソウル聯合
[北朝鮮が中国に漁業権販売か 韓国 確認された事項ない]
韓国国防部の文尚均(ムン・サンギュン)報道官は2016年6月13日の定例記者会見で、北朝鮮が中国に対し南北軍事境界線に近い黄海上の漢江河口の漁業権を売ったとの見方が出ていることについて、「可能性はあるがこれまでに確認された事項はない」と述べた。
韓国海軍と海兵隊、海洋警察、国連軍司令部軍事休戦委員会は10、11両日、漢江河口の中立水域で違法操業する中国漁船を取り締まる合同作戦を実施した。現場水域に残っている中国漁船約10隻は取り締まりを避け、現在、北朝鮮側の沿岸に停泊している。
しかし、北朝鮮が中国漁船を取り締まる動きは見られず、漢江河口の漁業権を中国に売ったのではないかという観測が出ている。北朝鮮は韓国と国連軍司令部による取り締まりについても特に反応を見せていない。
文報道官は北朝鮮が反応を示していない理由を尋ねる質問に、「北の反応がない理由について予断はできない」と答えた。
12日は実施しなかった合同作戦を再開するかどうかについては「気象と中国漁船の動向などを総合的に考慮し判断する計画だ」と伝えた。
韓国軍などは10日と11日に作戦を実施したが、12日は中国漁船が北朝鮮側に停泊していたため出動しなかった。
作戦を行う隊員らは1953年の朝鮮戦争休戦協定の合意書に基づき、北朝鮮の沿岸から100メートル以内に進入できない。