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昨夜は、「戦後史の正体」の著者で、外務省国際情報局長や
防衛大学教授などを歴任した、孫崎享氏の時局講演を聞きに行ってきた。
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↑ 地下鉄金山駅から続く行列
会場の「日本特殊陶業・市民ホール」は、
1200人の来場者で埋まっていた。
アトラクションの、二胡の演奏や沖縄エイサーの後、
本題に入った。
今の日本は、柳条溝や真珠湾の頃と同じ危機的状況下
にあると、ショッキングなたとえから始まる。
当時は無謀な暴走に、異を唱える人もいたが、
時の権力に押し切られて、悲惨な戦争へ突き進んだ。
現在も、集団的自衛権や基地問題、日中関係、TPP、原発、など、
国益や国の安全性に関わる問題に異論を唱えれば、
権力者や世論から、国賊呼ばわりにされるという。
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氏は、日本の戦後史を、対米関係における「自主路線」と
「追随路線」のせめぎ合いという観点から論じている。
自主路線は潰され、追随すれば生き残れるという、
政治構造の危険な事例を、多くあげていた。
その一つに、中国の台頭と米国の退潮(中国の工業生産高が、2010年に米国を抜いたこと、日本の対米貿易の占める割が13%強で、対東アジアが39%)で、パワーバランスが変わる中、依然として集団的自衛権や、TPP参加など、国益に関わる重大な決定が、米国の強い意思で動かされている。
また、日中関係の悪化も、尖閣諸島問題は棚上げし、
政治問題にしないという、日中が合意した時にたち帰れば、
関係は直ぐに改善されるとも言う。
しかし、米国は日中の緊張状態は、むしろウエルカムで、
それをテコに集団的自衛権やオスプレイ配備、
普天間基地移設が進められている。
追随路線の危うい実態が、おぼろげながら分かったが、
外交によって平和と安全が、担保される世界を願う虚しさも、
少なからず感じた。
中高校生時代の日本史授業は、時間切れなのか、
当時の歴史認識に問題があったためなのか、
明治時代あたりで終わっていた。
系統的に、戦前・戦後史を学ばなかった者にとって、
今日の話は衝撃的で、「正体」を見極める力が、
いかに重要かを痛感する講演でもあった。