午前中は雨が激しく降っていたが、
午後には止んで日差しも戻ってきた。
雨の降りしきる中を名駅の「ウインクあいち」
で開催中の夏山フェスタを見てきた。
登山用品や山小屋、観光施設、旅行社などの
ブースが並び、登山愛好者がたくさん詰め掛けていた。
登山家や山岳関係者の講演やセミナーなども
開催され、最新の山岳情報を得ることができる。
ドキュメント御嶽「生還した私がつたえなければいけないこと」
を、登山ガイドの小川さゆり氏が語っていた。
山頂に到達し、火口を回る「おはち巡り」を
していたところ、突然噴火に見舞われた。
轟音と共に1メートルを超す噴石と真っ黒な
噴煙が襲う中を、水の枯れた一の池を横切り九合目の
小屋にたどり着いて、九死に一生を得たと語っている。
噴石の直撃を受けなかった運もあったが、
ガイドとして最短距離の崖を駆け下りる判断と、
体力が功を奏したようだ。
パニックに陥るのが人の常であるが、危険と直面
した時の行動が生死を二分するのだろう。
生還した後ろめたさと、亡くなった人へ
思いやりが、淡々とした口調から滲み出て、とてもいい話だった。
↑ 前方が山頂剣ヶ峰
3年前にお鉢巡りをしたが、火口から数百メートルの
切り立った崖を歩くコースで、硫黄臭い噴煙を間近で見ることができる。
もしここで噴火に遭ったら、ルートを外して
崖を駆け下る勇気も体力もないので、身をかがめて運を天に任せていたことだろう。
山岳遭難の現場報告をした岐阜県警山岳警備隊長は、
もと住んでいた集落の出身で、ご両親から山菜や
きのこ採りを教わったことを思い出した。
険しい山は登らなくなったが、あちこちで山の思い出だけを見つけている。