これに対し、国学院久我山はCBの5番の選手が2回戦の退場で出場停止でした。そのため、2回戦ではアンカーだった福井を1列下げてCBに置き、アンカーには大窟を入れて対応しました。この影響もあったのか、国学院久我山は攻めに出ても、昌平のバイタルエリアでボールを回収されてしまい、攻撃を完結することができませんでした。
この回収が、この試合を大きく左右しました。それだけ一方的に押し込んだ昌平は、シュート数で17対3と圧倒することができました。バリエーションも豊富で、小見以外にもトップ下の須藤、右MFの紫藤、右SBの柳田などが何度もゴール前に現れ、何本もシュートを放ちますがゴールだけが遠い展開になります。
国学院久我山ベンチがうまく行っていないと見てMFを次々と代えていたところに、昌平が思うようにゲームを運んでいる様子は見て取れましたが、後半頭に紫藤のシュートがポストを叩き、小見のシュートもクロスバーをヒットするなど、ほんのちょっとの運だけが昌平に味方してくれませんでした。
昌平はボランチやCBによるバイタルエリアでの回収だけでなく、パス回しの技術にも高いものを持っていました。特に3人目の動きをよく見ており、動いているところを「使ってあげる」良さが見られました。しかしゴールは決まらないまま後半ロスタイムに入り、誰もがPK戦での決着を覚悟した展開で、途中出場の1年生篠田のミドルシュートが今度はバーに当たってゴールの内側に跳ね、今度こそ運も味方してくれました。
昌平の1-0での勝利という決着でしたが、内容にはそれだけの差はあったと思います。高校サッカーは2回戦と3回戦が二日続けての試合なので総合力も求められる大会で、それも含めて昌平がわずかに上回った結果の勝利だったと思います。