今季の浦和は、4-4-2の新戦術を導入したものの、負けるときの大量失点が大きな課題として残りました。それでも、戦術が変われば新たな選手が台頭するもので、この新戦術で台頭した選手かつ今季最も成長した選手として、MF汰木康也(ゆるきこうや)選手を取り上げます。汰木は2019年、J2のモンテディオ山形から完全移籍で加入しますが、去年はドリブル以外にあまり長所を見せられませんでした。
今季、戦術が4-4-2になったことで、左のMFという新たなポジションが出現しました。このポジションにはファブリシオ、関根などいろんな選手が試されましたが、守備の際にボランチのラインまで戻るというタスクは負担が重く、皆苦しそうにしていました。シーズンの後半戦、大槻監督に練習に取り組む姿勢の良さを評価された汰木は、左MFのポジションに入ることになります。
どうしても、本来FWや前目のポジションの汰木は、守備を要求されると厳しいところはあります。それでも、苦しくなってもMFのラインまで下がり、左SBのフォローをこなす場面もあるなど、懸命にやっているところは伝わってきました。彼のブレイクは、10月のアウェイの鳥栖戦の決勝ゴールです。
この試合は途中出場だった汰木は、マルティノスのグラウンダーのクロスに、自陣から長い距離を走って追いつき、ロスタイムでの決勝ゴールを生みました。この活躍で関根を押しのけて左MFのポジションを手中にして、ホームの仙台戦、C大阪戦の連勝を果たす、一人のキーマンになることができました。
最近は浦和の2ラインのサッカーは研究され、思うような結果は出なくなってきました。それでも、24歳と若手と呼ぶには微妙な年齢ですが、汰木がスタメンで使えるレベルまで成長してくれたのは大きいです。何か、3年計画で来年につながるものができたかと思うと、最大のものは汰木の台頭だったと振り返ります。