木本と書いて、きのもと、と読む。
写真は本町通りの店の軒先にあったもの。
七里御浜は
かすみに暮れりゃ
沖に漁り火
主恋し
と謡われる。
のれんには、
木本節と書いてある。
この通りは数年前、
偶然、熊野に数日間滞在しなくてはいけなくなった折、
ふらついていたところで、何ともエロティックな感じがした場所。
写真のここではないかもしれないけれど、
この道の続きであるのは間違いない。
旧道というか、42号線ができる以前、
ここ本町通りが、本道であり、
本宮への道であったはず。
だから、ここも古道と呼ばれる。
普通の商店街ではあるけれど、
僕は今回、松本峠からの帰路、
自転車を押して歩いた。
ここには、
何かありそうだ、
と予感しながら。
気づくと、
僕が感知したかったのは、
僕がたぶん歩いただろう、
前の世、またはもっと前の、
目の記憶の具体である。
以前、今生ではない時、
ここを歩いた、この近くにいた、
という確証のない確信に、
誘導されてのこと。
それでなくとも、
道は良い。