英製薬会社ラインファーマが開発した人工妊娠中絶のための飲み薬について、厚生労働省が承認後は当面、外来でも中絶が確認されるまでの間、最大1日程度、病院での待機を必須条件とする方向で検討していることが4月7日、分かった。
4月下旬にも薬事分科会を開き、製造販売の承認可否を審議する。
実用化すれば国内初の経口中絶薬となる。
1月の厚労省専門部会では、緊急時に適切な対応が取れる有床施設を前提に、入院のほか、2回の投与時に外来で受診すれば、自宅に戻ることも許容する方針だったが、当面は慎重を期して母体の安全管理を徹底する。
薬は「メフィーゴパック」。
妊娠の継続に必要なホルモンの働きを抑える「ミフェプリストン」を飲み、さらに36~48時間後に、子宮の収縮を促す「ミソプロストール」を服用する。
手術と比べ、体への負担が少ない中絶の選択肢ができると期待される一方、投与後に大量出血が起きることもある。
1月の部会後に自民党議員などから、入院による服用管理を徹底すべきだとの意見や、厳重な流通管理を求める声が上がった。 ’
そのため厚労省は、外来でも2剤目投与から胎児の入る胎のうが排出されるまでは院内待機を必須条件とする対応を検討している。
臨床試験(治験)では、2剤目投与から4時間で6割、8時間で9割が中絶を確認した。
一方、1割弱は24時間後も中絶が確認できなかった。
悪用を防止するため、製造販売業者や医療機関から毎月、販売量や使用量を医師会に報告させて流通管理を徹底。
医師向けの使用手引作成や、国民向けの適切な情報提供にも取り組む。
経口中絶薬を巡っては、専門部会が1月に了承後、社会的関心が高いとして意見公募を実施。
3月下旬に上部の薬事分科会で再審議する予定だったが、約1万2千件もの意見が集まり、対応の整理に時間を要するとして、審議を延期していた。
(飲む中絶薬の使用条件のポイント)
- 2剤目投与から胎児の入る胎のうが排出されるまでは病院内で待機
- 悪用防止のため、毎月、販売量や使用量を医師会に報告させて流通管理を徹底する
- 医師向けの使用手引を作成
- 国民向けの適切な情報提供に取り組む
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