学校現場の長時間労働が深刻化し、教員の負担軽減が課題となる中、全国47都道府県と20政令指定都市のうち、26都道府県と9市で公立の小中高の教員が、定数に対し少なくとも計600人不足していたことが7月1日、各教育委員会への取材で分かった。
5月16日時点で各教委が持つデータを共同通信がまとめた。
定年による大量退職や、若手の志望者減などが背景にある。
人員不足が続けば授業の実施が困難になったり、1人当たりの業務量が増加したりする恐れもあり、専門家は「現場の努力だけでは解決できない深刻なレベルの数字だ」と危機感を募らせている。
今回の調査で教員不足の実態の一端が浮き彫りとなった。
10人以上不足しているのは15都道府県市、10人未満は14県市だった。
不足しているが人数を非公表としたのは6県市で、実際の不足数はさらに多いとみられる。
兵庫県宝塚市と松江市、呉市の中学校では4~5月、教員不足で一部の授業が実施できなかったケースがあった。
現在教員が足りているとした教委でも「産休や病欠で欠員が出た場合の補充に不安がある」「独自に取り組む予定だった少人数学級化を断念した」と影響を指摘する。
文部科学省などによると、50歳以上が今後、大量退職の時期を迎えるほか、
育休や産休を取得する若手教員の増加で欠員を一時的に補う非正規教員のニーズが高まっている。
ただ景気が上向く中で人材が民間企業に流れ、少ない人数を取り合っている状況だ。
「教員は部活動などで多忙なイメージがある」などの理由から志望者数が伸び悩み、小中高の教員採用試験の受験者数は5年連続で減少。
昨年度は約14万4千人だった。
一度に大量採用すれば質の低下も懸念される。
少子化で児童や生徒の数は減っている一方、少人数教育や特別支援学級の需要が高まっており、クラス数の減り方が緩やかになっていることも不足の一因となっている。
教員の定数には、学級や生徒数に応じて算出する「基礎定数」と学校現場の課題に応じて政策的に配分される「加配定数」がある。
今回の調査では原則として基礎定数の不足数を計上。
一部の教委は加配定数の不足分も含めて回答した。
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