11月21日にマレーシアで開幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議は、一部加盟国が領有権を主張する海域で中国が進める人工島造成や軍事化をめぐる協議が焦点だ。
ただ、米国による人工島周辺での艦船航行への評価には加盟国間で隔たりがある。
ASEANは11月22日、安全保障分野の協力も目指す「共同体」設立を宣言するが、対中国の温度差をめぐる苦悩が結束を脅かしている。
ASEAN各国は11月21日、オバマ米大統領と首脳会議を行った。
共同声明には、「飛行を含む航行の自由が南シナ海で確保されることの重要性を確認した」との文言が入ったが、「中国」や「人工島」に言及はなかった。
ただ、オバマ氏は「(岩礁)埋め立てや拠点構築、軍事化をやめるべきだ」と述べ、人工島の造成を進める中国を批判した。
米国は中国が「領海」と主張する人工島周辺に艦船を入れる「航行の自由作戦」を継続する方針だが、ASEAN内で正面から同作戦を支持しているのはフィリピンのみ。
加盟国は貿易投資などで中国と深く結びついている国が多い。
オバマ氏は11月20日、マレーシアのナジブ首相との会談後の会見で、南シナ海問題について「ASEAN全加盟国の問題だ」と記者団に強調した。
ASEAN内の中国への過剰配慮にいらだっているようにも見える。
こうしたなか、これまで南シナ海問題で「中立」だったインドネシアは、中国が南シナ海のほとんどで権益を主張する根拠の「九段線」は国際法に違反するとし、フィリピン同様、国際司法機関への提訴も辞さない姿勢にかじを切った。
オバマ氏は、11月17日に発表した東南アジア諸国の海上警備能力向上支援の対象国に、中国と領有権問題を抱えるフィリピンやベトナム、マレーシアと並び、インドネシアを加えた。
マレーシアは今月、11月22日に開く東アジアサミットと同じ18カ国が参加したASEAN拡大国防相会議で、共同宣言のとりまとめに失敗。
南シナ海の表記を求めた日米などの要求に中国やカンボジアが反発したためとされる。
ナジブ氏が同様の失態を招けば、共同体構想が掲げる統合深化が、画餅に帰す懸念が強まる。
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