農林水産省が2025年度以降の茶の生産に関し、一般的な「煎茶」などから抹茶の原料となる「てん茶」への転換を農家に促す方向で検討していることが1月3日分かった。
今春に見直す基本方針に盛り込む。
海外で抹茶を使ったラテやスイーツが人気で、輸出を強化できると見込んだ。
国内では急須などで入れる茶葉の消費量が減少し、価格も低迷していることから、農家の経営を支えるために調整を進める。
基本方針は茶の生産や文化振興の方向性を定めており、現行の方針は2020年4月に見直したもの。
茶の輸出額は2023年に過去最高の292億円となり、15年前から約9倍に増加。
抹茶を含む粉末状が伸びたためで、農水省は欧米での日本食普及や健康志向の高まりが追い風になったとみる。
一方、国内は農家の高齢化や担い手不足で2023年の生産量が15年前から2割以上減った。
総務省によると、この間、1世帯(2人以上)当たりの緑茶の年間支出額も4割近く低下した。
新方針は農家の減少で国内外の需要を満たせなくなる懸念があるとして、抹茶に加え、価格が高い有機栽培茶への転換も明記する方向だ。
農水省は2025年度予算で、てん茶加工施設の整備や生産作業の機械化などへの補助金を確保する。
輸出を巡っては、政府が設立した日本食品海外プロモーションセンターが、米国での消費拡大を狙いインスタグラムを活用。
抹茶スイーツの写真やレシピを紹介する動画がヒットしたといい、2024年12月時点のフォロワー数は3万人を超えた。
農水省は有識者検討会を3月末までに複数回開き、基本方針をまとめる。
農水省の担当者は取材に「付加価値が高い茶の生産は重要だ。
関係者で幅広い共通認識を持てるように検討を進める」と話した。
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