防衛省は、反撃能力(敵基地攻撃能力)を巡り、2千メートル程度、3千メートル程度を飛行可能な長射程ミサイルをそれぞれ開発する方向で調整に入った。
2030年代の配備を目標とする。
同じ国産で、千メートル程度の射程を持つ12式地対艦誘導弾(地上発射)の能力向上型の配備は2026年度。
これに続く第2弾、第3弾と位置付ける。
関係者が12月31日、明らかにした。
実現すれば、ミサイルの長射程化による軍拡競争への懸念が強まる。
憲法9条に基づく専守防衛の理念との整合性も改めて問われる。
射程2千メートルは「島しよ防衛用高速滑空弾」の能力向上型。
数百キロ程度の早期装備型の射程を延ばす。
12式地対艦誘導弾・能力向上型の千キロの2倍で、2030年代初頭の配備を見込む。
続く2030年代前半では、射程3千メートルの極超音速誘導弾の配備を計画。
配備先の選定については、完成時期が定まった段階で着手する考えだ。
ただ今後の安全保障環境の変化や開発の進捗状況により、射程や配備時期が変更される可能性は否定できない。
防衛省が2千~3千メートルの長射程を持つミサイルの開発に乗り出す背景には、12式地対艦誘導弾の能力向上型の射程千メートルでは不十分だとの判断があるとみられる。
3千メートルを飛行する長射程ミサイルは、北朝鮮全域や中国の一部などを射程に収めることになる。
配備先について、北海道や本州など選択肢が広がり、柔軟に選定できるメリットがある。
ミサイルを分散配備すれば、有事の際、集中攻撃で壊滅的被害を受けるリスクも低減できる。
ただ地元の理解が得られるかどうかは見通せない。
秋田、山口両県への地上配備型迎撃システム「イージスーアショア」計画では、住民の反発に防衛省の不手際が加わり、撤回に追い込まれた。
東アジア地域では軍備管理の機運に乏しい。
ミサイル開発競争が加速すれば、さらに緊張が高まる恐れもある。
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