安倍首相は北方領土問題を巡り、ロシアが北方四島のうち2島だけを引き渡す「2島決着」案を軸に、対口交渉を続ける方針だ。
当面は5月訪口を実現する方向で事前調整を本格化させる。
2月7日は「北方領土の日」。
首相は東京都内で開かれる北方領土返還要求全国大会に出席し、問題解決への意欲を改めて表明する。
2島決着案は、(1)1956年の日ソ共同宣言に基づき、ロシアが4島のうち色丹島と歯舞群島を日本に引き渡す、(2)引き渡し合意の道筋が付けば、双方は平和条約を結ぶが柱とされる。
首相は同案への直接的な言及を避けているが、1月30日の衆院予算委員会で日本維新の会の鈴杢氏がこれに理解を示すと「元島民の皆さまの元気な間に平和条約を締結したい」と応じた。
昨年の返還要求全国大会が採択したアピールでは、例年と異なり北方四島について「不法占拠」との表現を用いなかった。
2島決着案は歴代政権が掲げてきた「4島返還」からの路線修正となり、国内世論の理解を得られるかどうかが課題だ。
今年5月に検討する訪口では、首相はロシアのプーチン大統領から5月9日の対ドイツ戦勝75年式典への出席を求められている。
日本政府筋は2月6日、訪口の実現性について「首相はプーチン氏と腹を割つて話す機会とみており、前向きだ。 同じく参加に積極的なトランプ米大統領の動向も踏まえた上で、最終判断するだろう」と述べた。
首相訪口の環境を整備するため、茂木外相はドイツ・ミュンヘンで2月中旬、ロシアのラブロフ外相と会談する。
日口双方は2月上旬に外務次官級協議を恵只で開く方針だったが、新型コロナウイルス感染問題への対応を優先する観点から先送りした。
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